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全米の新型コロナウイルスの新規感染者数が、7月16日に約7万7000人と過去最多を更新するなど、新型コロナウイルス感染拡大に歯止めが掛かっていません。米国の南部や西部では再び経済活動の制限に追い込まれています。そんな中でも、米国株式市場は堅調さを維持しています。そして、米国株式市場が堅調なこともあり、日本株も堅調に推移しています。
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足元の米国株が堅調な主因は2つです。それは、新型コロナウイルス向けワクチンの早期開発・実用化実現への期待が根強いことと、米国の政策当局による追加の経済対策策定への期待感の高まりです。
世界中で新型コロナのワクチンの開発が進んでいることで、
ワクチン実用化後の経済活動の早期回復に期待が高まる
ワクチンに関しては、7月13日にワクチンを開発中のファイザー(PFE)が、FDA(米食品医薬品局)から優先的に審査される指定を受けたと発表しました。また、7月14日にモデルナ(MRNA)は、開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、初期の治験で投与した参加者全員に免疫反応が確認できたと発表しました。そして7月16日、米製薬大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は、開発中のワクチンの最終段階の臨床試験を早ければ9月に前倒しすると発表しました。
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さらに、英国の製薬大手・アストラゼネカ(AZN)は7月20日、英国のオックスフォード大学と共同開発するワクチンの初期臨床試験で強い免疫反応を確認したと発表しました。一方、ファイザーも20日にドイツの製薬ベンチャー・バイオンテック(BNTX)と共同開発するワクチンで好結果(「キラーT細胞」と呼ばれる免疫システム反応を引き起こすことを確認)が得られたと発表しました。
ちなみに、アストラゼネカのワクチンについては、日本での実用化に向け8月にも臨床試験を実施することで調整が進んでおり、日本では2021年春の実用化を目指すそうです。アストラゼネカのワクチンは、すでにブラジルや英国、米国などで治験が実施されており、海外では最速で9月にも実用化する計画だと伝わっています。
さらに、日本でも「大阪大学発のバイオ企業のアンジェス(4563)が6月末から治験に入っている。塩野義製薬(4507)は11月にも治験に入り、第一三共(4568)や田辺三菱製薬(4508)も子会社を通じて開発に取り組む」と一部で報じられています。
このように、米国のみならず日本国内でも有効なワクチンの開発に関するニュースが連日報じられ、市場ではワクチン実用化後の経済活動の早期正常化に対する期待が高まっているのです。
トランプ大統領は、新型コロナ対策として
2兆ドル規模の「追加財政出動」を調整中!
一方、トランプ米政権と議会は、7月中にも追加の新型コロナウイルス対策である「第4弾の財政出動」を発動する方針です。これは、これまでの対策のうち、7月以降に起こる支援策の期限切れなどへの対応です。追加の財政出動では、失業保険の特例加算を部分延長するほか、失業者が再就職した際にボーナスを支給する案などが浮上しているようです。また、トランプ大統領は給与税減税を求めており、これが追加策の柱となるとの指摘があります。
ちなみに、トランプ政権はすでに約3兆ドルの財政出動に踏み切っていますが、第4弾の追加策の規模としては、野党民主党の議会指導部が3兆ドル程度を求めているのに対し、財政規律を重んじる共和党は1兆ドル程度で考えているもようです。
なお、トランプ政権及び議会は、上院が夏の長期の休会に入る8月7日までの合意を目指す見通しです。ムニューシン財務長官が7月17日の下院委員会に出席し、議会に早期の追加対策を求めており、ホワイトハウスと議会指導部は具体策の検討に入っています。その際にトランプ大統領は2兆ドルの追加対策を要求したもようです。
現時点でトランプ政権と議会が追加対策の策定を急ぐのは、新型コロナによる経済封鎖が当初想定のように解除できず、かつ感染拡大の歯止めが一向にかからず、景気の停滞懸念が強まっているためです。
新型コロナの感染拡大が止まらないものの、
日米の株式市場は底堅く、急落リスクは非常に低い!
このような状況で、「新型コロナウイルスの感染拡大は世界的に継続しているし、足元の実体経済はよくないから、ここは空売りだろう」と考えるべきではない、と私は見ています。
なぜなら、少なくとも市場が「ワクチンと政策」への期待を抱いている間の日米株式市場は底堅く、比較的に堅調に推移し続け、急落リスクは非常に低いと考えているからです。
とりわけ、米国では主要な3株価指数のうち、ナスダック総合株価指数の強さが際立っています。7月20日のナスダック総合株価指数は、前週末比263.90ポイント(2.5%)高の1万767.09ポイントと続伸し、過去最高値を更新しました。この日の米国市場では、マイクロソフト(MSFT)やアップル(AAPL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)などの大型のIT関連株や、テスラ(TSLA)が買われました。
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また、SOX指数(フィラデルフィア半導体指数)は、前日比41.48ポイント(2.00%)高の2110.47ポイントでした。
このIT関連や半導体指数の強い値動きから示唆されることは、「市場は、ワクチンの実用化が仮に遅れて、現在のようなコロナリスクを常に意識しながら経済活動を粛々と行っていくことを覚悟している」、つまり「コロナ問題長期化」や「コロナとの共生」を覚悟しているふしがあります。
よって、仮に新型コロナウイルスとの共生の実現確度が高まったとしても、むしろそのような状況が業績面でのプラスに寄与するようなIT関連株やそのニーズに合ったサービスを提供する企業群が、今後も投資するべき対象ということになるでしょう。
7月第2週は海外投資家が日本株を買い越し!
このまま買い越しがつづけば「夏相場」は堅調に推移する可能性も
ところで、7月第2週(6~10日)の投資部門別株式売買動向を見ると、海外投資家は現物株を5週ぶりに買い越しました。買い越し額は1108億円でした。一方、先物は8週連続で買い越しました。日経平均先物とTOPIX先物を合算した買い越し額は1584億円でした。つまり、先物と現物株との合算では2693億円の買い越しとなります。
ですが、この週は、投資信託が先物を3754億円売り越しました。この売り越し額は、2018年7月第3週以来、ほぼ2年ぶりの高水準です。また、投資信託は現物を4週ぶりに売り越しました。売り越し額は2495億円と過去最高でした。先物と現物株との合算では6249億円もの売り越しとなります。
この週の投資信託は、ETF分配金を捻出する目的で、保有する先物や現物株を売却する動きが加速した結果と考えます。その意味では、7月第2週の投資信託の売りは特殊な需給要因でした。つまり7月第3週以降は、このような投資信託からの大量の売り物は降ってこないと見ています。
最後に、私は日経平均株価の先高観が強まるためには、海外投資家の買い越し(現物+先物の合算)が必要条件だと思っています。だから、7月第3週以降も海外投資家の買い越しが続くようならば、今年の夏相場は「夏枯れ」ではなく「意外高の夏相場」になるかもしれないと密かに期待しています。
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