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「安倍首相の辞任」が株価や株式市場に与える影響は?“ポスト安倍”が誰になっても「財政政策」と「金融政策」が大きく変化することはなく、株価への影響は限定的

2020年8月28日公開(2022年9月20日更新)
藤井 英敏
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 8月28日の14時過ぎ、「安倍晋三首相が辞任の意向を固めた」と伝わると、その直前に2万3300円台で堅調に推移していた日経平均株価はあっという間に急落。14時10分には前日比614.07円安の2万2594.79円まで売り叩かれる場面がありました。そして、その後は買い戻しが入り、結局、同326.21円安の2万2882.65円で取引を終えました。

■日経平均株価チャート/5分足・1日
日経平均株価チャート/5分足・1日(出典:SBI証券公式サイト)
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます日経平均株価チャート/5分足・1日(出典:SBI証券公式サイト)
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目先の国内政治が大きく混乱することはないものの、
後任の首相が決まるまで株式市場は不安定な状況が続く!

 安倍首相は臨時代理を置かず、後任の首相が選ばれるまで執務に当たるそうです。このため、目先の国内政治が大きく混乱することはないでしょう。

 なお、自民党は8月28日、後継を決める党総裁選の時期や形式については二階俊博幹事長に一任することを決めたそうです。その二階氏は、後継総裁選びは、党員・党友の投票は省略し、国会議員と都道府県連代表3人による投票で実施する方針を固めたもようです。このため、後継は短期間のうちに決まるでしょう。

 株式市場は不透明感を嫌います。よって、短期間とはいえ、後任の首相が決まるまでは東京株式市場のボラティリティが高止まりして、不安定な状況が続くことは不可避です。ですが、今回は政権交代ではなく、自民党内でのリーダーの交代です。このため、外交や安全保障など重要政策においてドラスティックな変化はないでしょう

コロナ禍が収束しない限りは現在の「積極財政」を進めるしかなく、
新政権下における日本経済の失速リスクは限定的

 「ポスト安倍」については、現時点で、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、河野太郎防衛相、麻生太郎副総理・財務相などの名前が挙がっているようです。ですが、仮に「緊縮財政派」が後任になったとしても、「コロナ禍」が収束しない限りは現在の「積極財政」を推し進めるしかないと思います。

 つまり、外交や安全保障と同様に、財政政策についても大きく変更される可能性は低く、新政権下での日本経済の失速リスクを懸念する必要性は乏しいと考えています

 また、日銀の黒田東彦総裁の任期は2023年4月まであり、「金融政策」についてもすぐに大きく変更することはないでしょう。万が一、黒田総裁も安倍首相同様に任期満了を待たずに辞任するとなると、話は大きく変わります。しかし、そうでない限りは、現在の「超緩和的な金融政策」が維持される見通しです。

安倍首相辞任の株式市場への影響は短期的、かつ限定的!
今後も「コロナ禍」が追い風となる銘柄群が狙い目

 以上のように、次期首相が誰になろうとも、「財政政策」と「金融政策」に大きな変化は生じないはずです。このため、今回の安倍首相辞任の株式市場への影響は短期的、かつ限定的なものにとどまると見ています。

 そして、当面の日本では、首相が誰になろうとも、「ウイズコロナ」「アフターコロナ」時代は続きます。よって、今後も狙うべきは、「コロナ禍」を業績の追い風にして好業績が見込める銘柄群でしょう

 日経平均株価については、ここ最近までのレンジ(概ね2万2000~2万4000円程度)内で推移すると思われます

■日経平均株価チャート/日足・6カ月
日経平均株価チャート/日足・6カ月日経平均株価チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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 ただし、確率的には非常に低い(ほぼゼロ)と考えていますが、もし次期首相が私の想定(期待)に反し、リフレ政策を完全否定して緊縮財政に傾斜し、増税などを実施する可能性が高まるケースでは、日本株の急落リスクは急上昇します。そのような場合には、「脱兎の如く」株式市場から逃げ出すべきでしょう。そうならないことを心底願っています。

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