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米国株「リジェネロン」の株価が急騰する可能性も!トランプ大統領が使用した「リジェネロン」の新型コロナ治療薬の効果が出れば注目度アップは間違いなし

2020年10月5日公開(2022年9月20日更新)
広瀬 隆雄
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新型コロナに感染したトランプ大統領に対し、
リジェネロンが開発した未承認の新薬候補が投与される

 米国時間の10月1日(木)夜、トランプ大統領が新型コロナウイルス検査の結果、陽性と判定されました。そして翌日2日(金)に、トランプ大統領は軍関係者や政府高官が利用することの多いウォルター・リード病院に入院し、その日のうちにリジェネロン・ファーマシューティカルズ(ティッカーシンボル:REGN)が開発中の未承認新薬候補「REGN-COV2抗体カクテル」と、ギリアド・サイエンシズ(ティッカーシンボル:GILD)が開発し、現在米国で標準治療となっているの「レムデシビル」の2つが投与されました
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 今日は、トランプ大統領が使った2種類の治療薬のうち、リジェネロンの「REGN-COV2抗体カクテル」について詳しく説明したいと思います。

リジェネロンの「REGN-COV2抗体カクテル」は
「自覚症状が出ていない初期患者」に大きな効果が期待できる

 トランプ大統領が、未だ米国食品医薬品局(FDA)から承認すら受けていない「REGN-COV2抗体カクテル」の投与を受けることができたのは、いわゆる“人道的使用(Compassionate use)”と呼ばれる例外規定を利用したからです。

「REGN-COV2抗体カクテル」は、トランプ大統領に投与されるわずか3日前に、リジェネロンから「臨床試験の途中経過は良好である」というニュース・リリースが出されたばかりです

 「REGN-COV2抗体カクテル」は今年の1月から開発が始まり、現在は2000人の被験者を巻き込んだ第1/2/3相臨床試験が進行中です。そのプログラムは軽症な患者から重篤な患者までを幅広く包括していますが、中でも特に「新型コロナウイルス検査で陽性が判明したけど、未だこれといって自覚症状が出ていない初期患者」を重要なターゲットにしています。

 普通、新型コロナウイルスに感染した人には2種類の反応が出ます。ひとつのグループは、感染直後から自分の体の中にウイルスに対抗する抗体がどんどんできる人たちです。このグループに属する感染者は、すぐに快方に向きます。もうひとつのグループは、感染した後、自分の体がウイルスに対して反撃できる抗体を十分につくれない体質の人たちです。

 「REGN-COV2抗体カクテル」は、後者の自力で十分な抗体をつくれない体質の人に「抗体の援軍」を注入する仕組みです。

 ウイルスは体中に回ってしまうと退治が困難になるので、撃退するのは早ければ早いほどいいです。これは、癌の発見と加療は早ければ早いほどいいのと似ています。リジェネロンが「新型コロナウイルスに感染したけれど、まだ重篤になっていない患者」にフォーカスしている理由は、そこにあります。

 トランプ大統領のケースも、まさしくこれに当てはまるので、主治医は躊躇することなく「REGN-COV2抗体カクテル」の投与を決めたようです。

 リジェネロンが9月29日に開催したカンファレンスコールでは、「REGN-COV2抗体カクテル」を投与された患者の多くが、大体7日目までに体内の新型コロナウイルスのほとんどを駆逐することに成功したことが紹介されました。

 つまり、「REGN-COV2抗体カクテル」がトランプ大統領にも効くかどうかは、今から1週間くらいのうちにわかります。もし「リジェネロンの薬を打ってトランプ大統領が全快した!」となると、リジェネロン株が人気化すると考えられます。

「REGN-COV2抗体カクテル」は高い効果ができるが、
年間30万回分しか生産できないことがネック!

 リジェネロンは、1988年にコロンビア大学の研究者たちによって創業されたバイオ企業で、1991年に新規株式公開(IPO)しました。本社はニューヨークのタリータウンに所在しています。リジェネロンが、バイオテクノロジーの盛んなサンフランシスコやボストン、サンディエゴ、ニュージャージーなどの地域ではなく、ニューヨークのタリータウンに所在すること自体、「我が道をゆく」社風を物語っています。また、リジェネロンはとても研究開発(R&D)に力を入れています。

 リジェネロンはかれこれ30年近くに渡り、遺伝子組換えマウス技術「ヴェロシミューン」をじっくりと熟成させてきました。そのノウハウが、今回の創薬にも役立ったわけです。

「REGN-COV2抗体カクテル」の泣きどころは、製造がとても難しい点です。どんなに全力で生産しても、1年間に30万回分しかつくれないと言われています

 一般に「生きた薬」であるバイオ薬は、化学的につくられる低分子薬よりも量産が難しく、生産設備の安全性に関してFDAから承認を受けるのも難しいからです。また、量産の際に安定的に品質を保つためのハードルも高いです。

 「REGN-COV2抗体カクテル」は、単価20万円で30万回分を生産できると仮定すれば、合計で600億円前後の売上が見込めます。リジェネロンの2019年の売上高は79億ドルなので、「REGN-COV2抗体カクテル」の売上が600億円だとしても年間売上高の10%にも満たない規模ではありますが、トランプ大統領を救った薬ということになれば投資家へのインパクトは相当なものになるはずです。

 ただし、来年以降は、バイオンテック(ティッカーシンボル:BNTX)モデルナ(ティッカーシンボル:MRNA)などが開発中の新型コロナウイルス向けワクチンが完成する可能性があり、そのシナリオでは患者数が急減することも考慮しなければいけません。
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【今週のまとめ】
トランプ大統領の早期退院が実現すれば
リジェネロンの株価が急騰する可能性も!

 トランプ大統領は新型コロナウイルスに感染したため、ウォルター・リード病院に入院し、リジェネロンの「REGN-COV2抗体カクテル」が投与されました。この薬は、未だFDAから承認されてないのですが、これまでの臨床試験でめざましい薬効が報告されています。

 もし、トランプ大統領がこの薬のお蔭で早期退院できれば、リジェネロンの名声が高まることが考えられるので、その動向には注目しておきましょう

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