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米・トランプ大統領の新型コロナ感染により、米国株は「10月第3週」が買い場に!? 現職大統領が不利な大統領選挙の年は“10月の株式市場が荒れる”ジンクスに注目

2020年10月4日公開(2022年9月20日更新)
広瀬 隆雄
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トランプ大統領が新型コロナに感染!
体調のほうは問題なく、当面はホワイトハウスで執務を継続

 日本時間の10月2日の午後13時54分、トランプ大統領が自らのツイッターで、新型コロナウイルスの感染テストで陽性反応が出たことを公表しました。いまのところトランプ大統領は元気なようで、当面はホワイトハウスで自宅隔離しつつ執務を継続する予定とのことです

 ただし、今後の大統領選挙戦のスケジュールは狂ってくることが予想されます。実際、10月9日に予定されていた支援者との会合に、トランプ大統領は出席しないそうです。また、10月15日にマイアミで予定されていた第2回大統領候補討論会も、実施できない可能性があります。

トランプ大統領の新型コロナ感染により、
株式市場の不確実性が高まり、リスクオフの流れに!

 一般的に、株式市場は不透明感を嫌います。トランプ大統領の新型コロナウイルス感染症がこの先、重症化するかどうかはまだわかりませんが、株式市場における不確実性が一層高まったことは間違いありません。投資家のリアクションとしては、「とりあえずポジションを少し落とそう!」と考えるのが普通だと思います。つまり、「リスクオフ」になるということです

 リスクオフになると、株式が売られるのはもちろんのこと、金や原油などのコモディティー価格も下落します。折から投資家は、新型コロナウイルスの感染第二波の到来を恐れていた矢先なので、このまま投資家のセンチメントが暗転するリスクがあります。

 米国経済は、ロックダウンの解除後に急回復する兆候を見せていましたが、最近になってその勢いが失われつつあることを感じさせるデータも出ています。例えば、10月1日に発表されたISM製造業景況指数は、やや衰えを感じさせるものとなっています。

 また米国の議会は、現在、追加の景気支援法案を策定中で、すでに下院は2.2兆ドルの法案を提示しているのですが、その後の上院で宙ぶらりんになっています。この景気支援法案がなければ、倒産に追い込まれる事業主も多く、景気悪化がより深刻になるだろうと思われます。

旅行関連株の下落リスクが高まる一方、「バイオンテック」など
新型コロナワクチン関連銘柄への資金流入に期待

 トランプ大統領の新型コロナウイルス感染に対し、株式市場の最初のリアクションとしては、ほとんどの銘柄が下げると思います。とりわけ、デルタ・エアラインズ(ティッカーシンボル:DAL)マリオット(MAR)カーニバル(CCL)など、新型コロナウイルスの感染拡大が業績悪化に直結する旅行関連株は急落が心配されます。現地時間で10月2日の昼過ぎ、航空業界に対する追加支援予算が議会から承認される観測が高まったため、現時点では大きな下落は見せていませんが、苦しい状況にかわりはないので警戒が必要です。

 その一方で「今の状況で頼れるのは、もうワクチンしかない!」と考える投資家も多いと思われます。いま新型コロナウイルス向けワクチンの開発レースで先頭を走っている企業は、バイオンテック(ティッカーシンボル:BNTX)なので、この銘柄に買いが集中する可能性は十分に考えられます。

 バイオンテックは現在、パートナー企業であるファイザー(ティッカーシンボル:PFE)と共同で第3相臨床試験を進めており、すでに被験者に対する2回目の注射も打ち終わっています。いまは、ワクチンを投与された被験者が実際に新型コロナウイルスを跳ね返し、感染を防げているかどうかを統計的に判定する段階に入っています。この試験はしばらく観察期間を置かなければいけないので、データが揃うには10月いっぱいかかると予想されます。つまり、大統領選挙には間に合わないだろうということです。その辺りの状況を踏まえ、今後のバイオンテックの動向は要注目です。
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 ちなみに、大統領はリジェネロン(ティッカーシンボル:REGN)の「REGN-COV2抗体カクテル」、ならびにギリアド(ティッカーシンボル:GILD)の「レムデシビル」を投与したようです。
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 このうちリジェネロンの「REGN-COV2抗体カクテル」は、第1/2/3相臨床試験が進行中の新薬候補ですが、先日、会社側から詳細なデータとともにリリースがあって、非常に効果が高いことが報告されています。この治療薬は未承認ですが、報告されたのデータを踏まえ、いわゆる「人道的使用(Compassionate use)」という特別扱いでトランプ大統領への使用が認められました。「7日でウイルスの99%を殲滅できる!」という触れ込みの、パワフルな新薬です。もしトランプ大統領が本当に1週間くらいで元気になって退院したら、リジェネロンは一気に人気化すると思われます。
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 ちなみに、仮にトランプ大統領が重篤になった場合でも、大統領選挙当日までに彼が死ぬ確率は極めて低いでしょう。彼が生きている以上、大統領が病院に寝た切りの状態でも、大統領選挙はそのまま実施されると思います。

現役大統領が大統領選挙戦でより不利になったことで、
「10月の第3週」が絶好の買い場になる可能性も!?

 米国では「大統領選挙で現職大統領が不利な年は、10月の株式市場が荒れる」というジンクス(経験則)が知られています

 トランプ大統領は以前から支持率調査でバイデン候補に遅れを取っていましたが、今回、新型コロナウイルス感染したことで、より一層不利になったと見られます。実際、ブックメーカーによる大統領選挙のベッティングオッズ(勝率)を見ると、トランプ大統領のオッズがここ2日で急速に悪化しています。
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 つまり、残念ながら今年も「10月の株式市場が荒れる」パターンになりそうです。

 ただし、その場合でも11月3日の投票日より少し前のタイミングで株式市場は大底をつけ、反転に転じると信じられています。このジンクスが今年も通用するのであれば、10月第3週あたりが絶好の買い場になることが期待できます

 いずれによせ、新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領が、今後重症化するのかどうかで状況は変わってくるので、関連ニュースはこまめにチェックしておきましょう。

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