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米国では、ワクチン接種が順調に進んでいることから、
4月〜9月の行楽シーズンにガソリン消費量が増加する見通し
米国のエネルギー省エネルギー情報局(EIA)では、毎年4月から9月までの間を「サマー・ドライビング・シーズン」と定義しています。この期間、アメリカ人はマイカーでバカンスに出掛けることが多く、ガソリンの消費量も増加します。
米国のレギュラー・ガソリンの価格は、コロナ禍で外出禁止令が出た2020年4月末に1ガロンあたり1.77ドルの安値を付けましたが、現在は2.85ドルまで戻っています。
EIAは、2021年のサマー・ドライビング・シーズンの全米レギュラー・ガソリンの平均価格を2.78ドルと予想しています。これは昨年の同時期の平均2.07ドルより高いです。また、サマー・ドライビング・シーズンを通じた消費量は、1日あたり884万バレルと予想されています。2020年の同時期は781万バレルでした。
さらに、サマー・ドライビング・シーズンを迎える時期の米国内のガソリン備蓄は、2021年が2.28億バレル、2020年が2.61億バレルでした。
このように2021年はガソリンの在庫がだぶついていないので、精油所の稼働率もサマー・ドライビング・シーズンを通じて87%という高い数字が予想されています。ちなみに2020年の稼働率は75.7%でした。
つまり、ワクチン接種が順調に進んでいることを背景に、2021年の夏のバカンス・シーズンはそれなりに賑やかになることが予想されます。言い直せば、石油会社にとって良い経営環境が予想されます。
米国におけるGDPの高い成長率を見る限り、
今後、原油価格が大きく落ち込むリスクは低い
米国の原油の指標銘柄であるWTIは、去年の4月20日、先物取引特有の貯蔵能力の払底からくる需給関係の悪化で、瞬間的に1バレル当たりマイナス37ドルまで急落する場面がありましたが、今は安定的に推移しています。
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米国の2021年のGDPは、+6.5%前後で成長すると見られています。これは1984年以来の高い成長率です。原油の需要はGDPに連動するため、GDPの高い成長率は、今後、原油価格が大きく落ち込むリスクが少ないことを示唆しています。
稼働している採掘装置の数が抑えられているため、
石油価格に影響を与えるシェール・オイルの供給量は限定的
下の表は、石油探索生産会社に対してドリルビットなどを提供するベーカーヒューズ(ティッカーシンボル:BHI)が、毎週集計している北米のロータリーリグカウントの推移です。ロータリーリグアカウントとは、「シェール業者が稼働させている採掘装置の数」と考えればいいでしょう。
表を見ると、去年の苦い経験から、米国のシェール・オイル業者が生産を抑え気味なことがわかります。これは今後の石油価格の安定に寄与すると思われます。
石油をめぐる投資環境が正常化したことで、
「エクソン・モービル」と「シェブロン」が要注目銘柄に!
以上のことから、2021年の石油株を巡る投資環境は、去年の異常事態から抜け出し、すでに正常の状態に戻っていると考えて良いでしょう。
関連銘柄としては、エクソン・モービル(ティッカーシンボル:XOM)とシェブロン(ティッカーシンボル:CVX)がもっとも無難な選択肢になると思います。
エクソン・モービルは、テキサス州アーヴィングに本社を置く大手石油会社です。そのルーツはロックフェラーのスタンダード石油で、創業は1882年です。
エクソン・モービルは垂直統合された石油会社で、川上の部門では米国やカナダ、オーストラリア、パプアニューギニア、アングラ、モザンビークなどで石油や天然ガスを生産しています。一方、川下の部門では、テキサス州ベイタウンやボーモント、ルイジアナ州バトンルージュ、シンガポール、ベルギーのアントワープなどに精油所を持っています。
なお、エクソン・モービルの配当利回りは6.2%です。
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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一方、シェブロンもルーツはスタンダード石油で、本社はカリフォルニア州サンラモンにあります。シェブロンは、米国やオーストラリア、ナイジェリア、カナダ、インドネシア、バングラデシュなどの国々で石油や天然ガスの生産を行っています。
シェブロンも、エクソン・モービル同様、垂直統合されているため川下の部門を持っています。シェブロンの精油所は、ロスアンゼルスやサンフランシスコの対岸のリッチモンドなどに立地しており、カリフォルニア州では住民の反対で新しい精油所は建設できないので、これらの既存施設は貴重な存在です。事実、カリフォルニア州は、慢性的に精製キャパシティが足らない関係で、米国の他の地域よりも高い価格でガソリンが取引されています。
なお、シェブロンの配当利回りは5.1%です。
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【今週のまとめ】
米国で経済再開が本格化してガソリン消費量の伸びが予想される中、
割安に放置され配当利回りも高い石油株が狙い目に!
新型コロナウイルス向けワクチンの接種が進み、米国では経済再開がいよいよ本番を迎えています。そんな状況の中、夏の行楽シーズンを迎えて、これからガソリン消費量が伸びることが予想されます。
原油価格は去年、在庫のだぶつきから先物価格が1バレル当たりマイナス37ドルをつける異常事態もありましたが、現在では原油貯蔵タンクのキャパシティには余裕がありますし、精油所も旺盛なガソリン需要に応える形で高い操業度を維持しています。
こうした環境の中、現在はエクソン・モービルやシェブロンといった石油株が割安に放置されているのが目につきます。これらの銘柄は配当利回りも高いので、狙い目と言えるでしょう。
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