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6月29日の日経平気株価は前日比235.41円安の2万8812.61円と下落しましたが、「米国株は強いけど、日本株の上値は重いなあ……」というが、足元の日米株式市場に対する私の率直な感想です。
政府が6月28日公表した新型コロナウイルスワクチンの接種実績によれば、2回目の接種を終えた人は6月27日までに1300万2462人となり、国内総人口の1割を超えました。このように、欧米に比べて遅れが懸念されていた国内のワクチン接種ですが、ここに来て順調に進んでいます。その割に、足元の日経平均株価の上値は非常に重い状況が続いていると感じています。
確かに6月25日、日経平均株価と連動性の高いナスダック総合株価指数は5日ぶりに反落し、前日比同9.321ポイント安の1万4360.388ポイントでした。しかしNYダウは続伸し、同237.02ドル高の3万4433.84ドル、S&P500種株価指数も続伸し、同14.21ポイント高の4280.70ポイントと連日で過去最高値を更新しました。
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それにもかかわらず、6月28日の日経平均株価は3日ぶりに反落し、前週末比18.16円(0.06%)安の2万9048.02円。さらに6月29日も続落しました。米国株式市場の強い動きを考慮すると、残念かつ非常に物足りない動きです。
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テクニカル的に見ると、6月28日の日経平均株価の終値は2万9048.02円と、5日移動平均線(28日時点2万8949.69円)と25日移動平均線(同2万8916.06円)をともに上回っていましたが、75日移動平均線(同2万9072.95円)は依然として下回っていました。ここ最近、この75日移動平均線が非常に強力なレジスタンス(上値抵抗線)として機能しています。瞬間的に同線を上回ってもすぐに押し返されということを繰り返しているのです。
さらに6月29日の下落で、5日移動平均線(29日時点2万8935.39円)と25日移動平均線(同2万8926.41円)もともに下回りました。
7月2日に米国の雇用統計が発表された後は、
その内容がどうあれ「米国株高+米国債券高」が見込まれる
なお、週末7月2日に6月の米国雇用統計という重要指標の発表を控え、今週は週を通して多くの投資家にとって動き難い状況が続きそうです。なぜなら、米国の雇用情勢の動向は、FRBの金融政策、とりわけテーパリングの開始時期などに大きな影響を及ぼすと考えられるからです。
ちなみに、6月の非農業部門の雇用者数は前月比68万3000人増と、増加幅が5月の55万9000人から若干拡大するというのが市場コンセンサスのようです。また、失業率は5.7%と5月の5.8%から改善し、経済活動の正常化による雇用増の流れは続くと見られています。
ただし、雇用統計自体がコンセンサス比で上下に多少ブレても、FRBがただちに金融政策を見直すことはないはずです。このため、重要なことは「6月の雇用統計発表というイベントを無事に通過する」ということ“だけ”なのです。
実際の発表数値が悪ければ、FRBのハト派的なスタンスが長期化するとの期待が強まると同時に、将来のインフレ期待の低下が見込まれるため「米国株高+米国債券高」が見込まれます。
一方、6月22日のパウエルFRB議長の議会証言以降、市場では米国の利上げ前倒しへの懸念が薄れています。このため、実際の発表数値がコンセンサスから上振れたとしても、単月の統計の結果だけで米国の金融市場が「FRBが利上げに前のめりになるのではないか」と不安に陥る可能性は低いでしょう。よって、この上振れケースでも、イベントリスクの低下により「米国株高+米国債券高」が実現する可能性が高いと見ています。
潤沢な待機資金や東京オリンピックの開催などにより、
当面の間、日米ともに株式市場の底値は堅い見通し
米国株に対して強気を維持する主因は、潤沢な待機資金です。ちなみに6月22日付けのブルームバーグの「ゴールドマンが予想、米国株には5000億ドルの投資資金がさらに流入へ」と題した記事によれば、「米国や欧州の株式相場が最高値付近で取引され、米金融政策当局者が緩和策の縮小を視野に入れ始めていることを示唆しているにもかかわらず、株式への投資家の意欲が衰える兆しは一切ない」とのことです。ゴールドマンの予想どおりなら、FRBが多少タカ派に傾いたとしても、当面、米国株が大きく崩れることはないでしょう。
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米国株が崩れないのであれば、日本株の下値は堅いと見てよさそうです。
日本に関しては、7月23日~8月8日の日程で東京オリンピックが開催されますが、さすがにこの期間中に日本株が急落することは「お上」が避けたいはずです。このため、オリンピック期間中については、万が一、外部環境が悪化するケースであっても、日銀による積極的なETF購入や、GPIF (年金積立金管理運用独立行政法人)による積極的な日本株の組み入れが顕在化する可能性が高いと見ています。いわゆる「クジラ」と呼ばれる「官製資金」による「PKO(プライス・キーピング・オペレーション)」か「PLO(プライス・リフティング・オペレーション)」が発動されることになると思います。
また、日本国内でもワクチン接種が加速していることや、東京オリンピックが会場の収容定員の50%以内で1万人を上限とすることを原則に観客を入れて開催されることなどから、日本経済も着実に正常化が進んでいます。
さらに、米国同様、日本でも待機資金は潤沢です。日銀が6月25日に発表した1~3月の資金循環統計によれば、2021年3月末時点の個人の金融資産は1946兆円と、2020年度における増加額は130兆円に達し、バブル期である1987年度の108兆円を超えて33年ぶりに最高額を更新しました。また、企業の3月末の金融資産残高は1247兆円、そのうち現預金は320兆円と、ともに過去最高を記録しました。
個人の金融資産の一部は経済の正常化に伴って、コロナ禍で我慢していた消費欲を爆発させる、いわゆる「リベンジ消費」の原資になるでしょう。また、株式投資などの資産運用の原資にもなるはずです。一方、企業も、経済が正常化するなら積極的な設備投資を再開するはずです。これらは景気・株式市場にとってのポジティブ材料です。
したがって、当面の日本では「個人消費の回復」「民間の設備投資の回復」「個人の資産運用の積極化」が見込めると見ています。
米国の利上げリスクが低下したことにより、
割高とされる「グロース系ハイテク株」が狙い目に!
なお、物色面では、引き続きグロース系ハイテク株を狙うべきです。というのは、6月22日のパウエルFRB議長の議会証言以降、米国の長期金利の上昇リスクが大幅に低下したと思われるからです。長期金利が低位で推移するのであれば、株価指標で割高とされるグロース系ハイテク株が買われるのは当然の帰結でしょう。
さらに絞り込むならば、投資テーマは「半導体」「電気自動車(EV)」の2択です。この2大テーマに沿った銘柄のうち、高成長が見込めると「市場が認めている」であろう「強い値動きをしている人気銘柄」に乗りましょう。
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市場はすでにFRBのタカ派転換をほぼ完全に織り込んだため、今年の夏相場は、例年のような「夏枯れ」とはならず「熱いサマーラリー」が実現すると見ています。ですから、積極的に市場参加して、ぜひとも株式投資で夏のレジャー資金を捻出してください。
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