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連邦債務上限の引き上げ問題が先送りされたことで
米国株の底入れが遠のき、当面は下落が続く流れに
米国の上院は10月8日、連邦債務上限の引き上げ問題をとりあえず12月3日まで先送りする臨時法案に合意しました。この後、下院での承認も必要ですが、これまで10月18日が「Xデー」だと思われていた米国のデフォルトが、12月3日まで延びることがほぼ確実となりました。
このニュースを好感して、10月8日の米国のマーケットは買われるかに見られたのですが、結局プラスで終わることはできませんでした。少し考えてみればわかることですが、問題の先送りは根本的解決ではありません。市場参加者はこんな姑息な手には騙されないのです。
12月には一足先に先送りされた本年度の国家予算の策定期限も到来するので、クリスマスの直前にやっかいな問題が次々と集中することになり、その前に米国株は買いにくくなりました。これは、目先の米国株がダラダラと下がっていくことを示唆しています。
11月3日のFOMCでテーパリング開始が発表されると、
長期金利が上昇して株価が売られやすい状態に
一方、米国の連邦準備制度理事会(FRB)は11月3日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、これまで実施してきた量的緩和政策、すなわち債券買入れプログラムの縮小(テーパリング)を発表すると思われます。
手始めに、財務省証券の買入れは100億ドル減額されて700億ドルに、住宅抵当証券の買入れは50億ドル減額されて350億ドルになると見られています。
テーパリング自体は、すでに市場参加者に周知徹底されているのでニュースではありません。しかし、債券の買入れの減額は、需給関係の面から債券価格の下落ならびに債券利回りの上昇を招くリスクが増えたことを意味します。
すでに米国の10年債利回りは、10月8日に1.6%の大台に乗りました。
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債券が売られるほど、逆に債券利回りは上昇します。そして、債券利回りと株式バリュエーションはシーソーの関係にあり、債券利回りが上昇すれば株は売られやすくなります。
米国の企業業績の伸びが大幅に鈍化するなか、
石油・天然ガス関連企業の業績予想の上昇に期待!
それでも金利上昇局面に株式が騰がっているケースが見られるのは、「業績相場」と呼ばれる現象です。すなわち、金利上昇がもたらすネガティブさを補って余りあるほど企業の業績が伸びれば、株は買われます。
現在、米国企業の業績は伸びています。しかし、業績の変化率にはブレーキがかかっており、今後大幅に鈍化すると見られています。
また「S&P500採用銘柄の中で、どのセクターのEPS(1株あたり利益)予想が伸びているのか」という中味も変わりつつあります。具体的には、昨今の原油価格、天然ガス価格の上昇で、石油・天然ガス関連の企業の業績予想が上昇し、これが市場全体を牽引し始めています。
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我々投資家は、このように業績の変化率で市場全体をぐいぐい引っ張るような株を買うべきです。
シェールに代表されるエネルギー関連企業など、
インフレによるコスト増を価格に転嫁しやすい企業を買え!
米国は、これから2021年第3四半期の決算発表シーズンに突入していきますが、今回の決算発表では、特に「今後の業績に関する財務部長の考えである“ガイダンス”がどうなるか」という点に注意を払いたいと思います。どんなにEPSや売上高が予想を上回ったところで、ガイダンスが予想を下回れば株価は売られるからです。
現在はインフレ圧力が強く、企業は材料費や人件費の高騰に悩まされています。それはマージン(利幅)を圧迫する要因になるからです。
このような局面は、インフレによるコスト増をそっくり製品やサービスの価格に転嫁し、顧客に負担させることができるような会社が買われます。ちなみに、テクノロジー関連のハイテク企業はあまり値上げをしないため、現在のような環境においては不利となります。
今は「稼いでいる会社」の地図が、ガラリと入れ替わりを見せている最中です。業績見通しが好転しているセクターは、シェールに代表されるエネルギー関連です。具体的には、以下のような銘柄などが良いと思います。
・アンテロ・リソーセズ(ティッカーシンボル:AR)
・パイオニア・ナチュラル・リソーセズ(ティッカーシンボル:PXD)
・ダイヤモンドバック・エナジー(ティッカーシンボル:FANG)
・フレックスLNG(ティッカーシンボル:FLNG)
決算発表シーズンを控えた今、自分のポートフォリオを一度見直してみるといいでしょう。
【※編集部注】「世界投資へのパスポート」は、2021年10月18日、25日の2回を休載します。次回の更新は2021年11月1日の予定です。
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