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長期金利の上昇や中国恒大集団のデフォルト懸念など、
米国株をめぐる不安要因は足元で改善へ
以前のコラムで米国株をめぐる不安要素を解説しましたが、最近になってそれらの環境は改善しています。
【※関連記事はこちら!】
⇒【2021年・秋】米国株をめぐる「5つの不安要素」と個人投資家が取るべき戦略を解説! 長期金利の上昇、テーパリング、恒大集団問題などにどう対応すべきか
まず、長期金利の上昇や企業業績の鈍化に歯止めがかかりました。次に中国の恒大集団については、かろうじてデフォルトを回避しました。連邦債務上限引き上げ問題だけは先延ばしされ、不確実性が残っているものの、全体としてはかなり目処がついてきたと結論づけることができます。
ひとつずつ解説していきましょう。
次回のFRBでテーパリング開始が発表されるとの予想から、
長期金利の上昇に歯止めがかかり、株式に対する下げ圧力が弱まる
長期金利と株式バリュエーションはシーソーの関係にあります。つまり、長期金利がスルスルと上昇している局面では、株式バリュエーションは下がりやすいのです。
長期金利の代表的な指標のひとつである米国10年債利回りは、10月21日に1.68%をつけた後、現在は1.57%まで下がりました。これは、株式バリュエーションに対する下方プレッシャーが和らいだことを意味します。
米国10年債利回りチャート/日足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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長期金利の上昇が一段落した原因は、連邦準備制度理事会(FRB)が11月3日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、いよいよ債券買入れプログラムの縮小(テーパリング)を発表するという観測が強まっているからです。
テーパリングが完了するのは2022年の半ばだろうと言われています。そして、テーパリングが完了するとFRBは利上げに移行し、2022年のうちに3回前後は利上げすると市場参加者は予想しています。
利上げとなれば、現在は過熱気味の米国経済は鎮静化すると思われます。それはインフレ・プレッシャーが和らぐことを意味します。
そもそも中央銀行が利上げする意図は、景気が過熱し過ぎることで突然、不景気に襲われるリスクを低下させることにあり、好景気をなるべく長持ちさせるという考えから来ています。
下は、米国の10年債利回りと2年債利回りの差(10年債利回り−2年債利回り)をグラフにしたものです。
FRBが2022年後半から利上げに踏み切ることを織り込み、2年債利回りは上昇しています。一方で、「そのような金融の引き締めは景気の過熱を防ぐだろう」という観念から、10年債利回りは下落しました。その結果として両者の「差」は圧縮されたわけです。
現時点で、この長短金利差の縮小は「過度の景気過熱リスクが遠のいた」と解釈すべきだと思います。
エネルギー価格の高騰により業績予想が伸びた石油株が、
S&P500全体のコンセンサス予想の上昇に貢献!
次は企業業績についてです。
2021年のS&P500全体コンセンサス予想は、10月中旬以降、一度は下落しかかったのですが、今は再び上昇に転じています。その理由は、折からのエネルギー価格の高騰で、石油株などを中心に業績予想が伸びたためです。石油会社は売上規模が大きいため、石油価格が上昇する局面では利益がドカンと増えやすく、それがS&P500全体の利益に大きく貢献します。
言い直せば、「S&P500全体の利益を駆動する主役が、モノを売っている会社からエネルギー関連企業へとシフトしている」ということです。
中国の恒大集団は、心配されていたデフォルト危機を回避!
不動産関連企業が連鎖倒産する最悪のシナリオは遠のく
心配された中国恒大集団に関しては、先週、ドル建て債の利払いを行ってデフォルトを回避しました。
もちろん、今回やりくりできたからといって中国の不動産関連企業が安泰ということではありません。しかし、ハチャメチャな連鎖倒産のシナリオは、やや遠のいたと見るべきでしょう。中国は、これから時間をかけて売れ残りや建設半ばで中断している物件の消化を進める必要があり、これは長期化する恐れがあります。ただ、突然ショックが起こる可能性は低下しました。
毎年11~1月は米国株が強い時期なので、
今は全力で株を仕込んでおくべき局面!
以上のことは、いずれも米国株にとって良い進展です。また、下のグラフのように、季節的にも11月から翌年の1月にかけては米国株がとりわけ強いシーズンであることが知られています。
したがって、今はフル・インベストメント、つまり、現金比率を最小にして目一杯まで株を買うべき局面です。
最も良い投資先は、全米の株式をまるごと買うETF(上場型投信)のバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(ティッカーシンボル:VTI)です。
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このETFをおすすめする理由は、今のように金融相場から業績相場へと移行する過渡期においては物色のリーダーシップが変わりやすく、どの銘柄が「勝ち組」になるのかを見極めるのが困難だからです。
マクロ経済の文脈から考えれば、「リベンジ旅行」の恩恵をこうむるデルタ・エアラインズ(DAL)、マリオット・インターナショナル(MAR)、カーニバル(CCL)などの行楽関連株が期待できます。とはいえ、旅行関係は足下の業績が新型コロナウイルスの影響でボロボロですので、なかなか決算を手掛かりとして買いにくい面もあります。
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さらに、エネルギー価格の高騰により、エクソン・モービル(XOM)、シェブロン(CVX)に代表される石油株などが良いはずです。
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ただし、もし個別銘柄を買うタイミングがわからないということであれば、先ほど挙げたバンガード・トータル・ストック・マーケットETFでお茶を濁すというのも立派な戦略だと思います。
いずれにせよ、今は11月から翌年1月までの米国株の強い時期に向けて仕込むチャンスです。ぜひ、このチャンスをものにしてください。
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