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FRBなどの4大中央銀行がそろって「タカ派」に転じたことで、
個人投資家の関与率の高い東証マザーズ指数が低調に
残念ながら東証マザーズ市場の低迷が続いています。東証マザーズ市場は、東証1部に比べて個人投資家の関与率の高いことが特徴です。このため、東証マザーズ市場が低調だと、個人投資家の活性度は著しく鈍化します。
ちなみに、12月28日の東証マザーズ指数の終値は前日比4.65ポイント(0.47%)高の989.99ポイントでした。5日移動平均線(28日時点で994.48ポイント)、25日移動平均線(同1031.17ポイント)、75日移動平均線(同1098.50ポイント)、200日移動平均線(同1134.55ポイント)をすべて下回っています。このため、テクニカル的には短期・中期・長期の下落トレンドが発生中と認識しています。
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前回の当コラムで指摘したように、米国のFRB(連邦準備理事会)が12月15日にテーパリングの加速を決定し、英国のイングランド銀行(中央銀行)が16日に政策金利を引き上げ、ECB(欧州中央銀行)と日銀もコロナ禍に対応した緩和策の縮小を決めるなど、これまで金融緩和でマネー供給を主導してきた4大中央銀行が、そろって緩和縮小に前向きな「タカ派」に転じました。
こうなると、株価指標で割高な高PERのグロース株の上値は重くなります。結果として、グロース株の比率の高い東証マザーズ市場には、厳しい状況が続くことでしょう。したがって、今後に関しては、高PERの小型株はアンタッチャブルという結論に至ります。
S&P500指数が過去最高値を更新するなど絶好調の米国株だが、
テーパリングや利上げに影響するイベントには注意が必要
一方、米国株は絶好調です。12月27日のNYダウは4日続伸し、前営業日(12月23日)比で351.82ドル高の3万6302.38ドルでした。また、ナスダック総合株価指数は4日続伸し、同217.888ポイント高の1万5871.262ポイント。そして、S&P500種株価指数も4日続伸し、同65.40ポイント高の4791.19ポイントと、連日で過去最高値を更新しました。
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12月27日の米国市場では、米国のマスターカード(MA)が前日の26日に、決済データを元にまとめた米国の年末商戦(11月1日~12月24日)の売上高が前年同期比で8.5%増えたと発表したことが好感されました。また、米国の長期金利が低下したこともプラス要因でした。なお、27日の米10年物国債利回りは、前営業日(12月23日)比で0.02%低い1.47%で取引を終えました。
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米国に関しては、インフレの進行や新型コロナウイルスの「オミクロン型」の感染拡大で消費が伸び悩むとの懸念もありましたが、マスターカードの集計で消費の力強さが明らかになったことがポジティブサプライズとなりました。このため、当面の米国株はそう簡単には崩れそうもありません。
ただし、2022年1月5日に12月開催分のFOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨が発表されるなど、年明けはFRBのテーパリングや利上げに影響するイベントが相次ぐため、政策メンバーの発言内容などによっては米国の金融市場が動揺する可能性もある点には注意が必要です。
日本株は、政治リスクによって低迷が続く可能性も!
今後の日米間の外交の成り行きは要チェック
日本株に関しては、政治リスクが高いため、好調な米国株に連動することは難しいかもしれません。というのは、日本経済新聞とテレビ東京が12月24~26日に実施した世論調査によると、市場に不人気な分配政策を優先している岸田文雄内閣の支持率が65%と、10月調査の59%、11月調査の61%と比較して右肩上がりになっているのです。
岸田政権下で、市場が期待する成長政策ではなく分配政策が優先されるようなら、日本株の低迷は続くでしょう。
また、「岸田文雄首相と、ジョー・バイデン米大統領による初の対面による日米首脳会談の1月開催も絶望的となった。岸田首相はやっと、北京冬季五輪の『外交的ボイコット』を表明したが、遅すぎて米国の不信感を高めたとの指摘もある」と、12月25日に夕刊フジで報じられました。今後も、外交面で日米がギクシャクするようだと、経済的にネガティブな影響が顕在化する可能性があります。今後の日米間の外交の成り行きを注視しておく必要があるでしょう。
日本株は「大型株」も「小型株」も強気になりづらい環境なので、
「低PER・低PBR株」「市況関連株」などに投資対象を絞り込もう!
日経平均株価に関しては、12月28日の終値で前日比392.70円(1.37%)高の2万9069.16円と75日移動平均線(28日時点で2万9057.71円)をかろうじて上回ったものの、同線が上向きにトレンド転換しない限り「中長期的な調整局面」が続くと見ておくべきです。
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また、東証マザーズに代表される小型株については、世界的な金利先高観が強まっているため、低迷は長期化することを覚悟するべきだ考えます。
つまり、日本株に関しては、大型株も小型株も当面は「強気」になり難い状況と認識しています。
しかし、バリュエーション面で割安な「低PER・低PBR株」、金利上昇がメリットになる「キャッシュリッチ企業」や「金融株」、「高配当利回り株」は物色されるでしょう。また、サプライチェーンの混乱や人手不足を背景にインフレが長期化する見通しのため、「市況関連株」の人気が継続しそうです。さらに、現在猛威を振るっている「オミクロン型」の感染拡大が収まれば、旅行・観光・カラオケなどの「アフターコロナ関連」も投資妙味が大きいと考えています。
前回も当コラムで指摘しましたが、「正直、『新しい資本主義』を掲げる岸田政権が発足し、FRBがタカ派に転換したことで、株式投資で儲けることの難易度がめちゃくちゃ上がったと感じています。なぜならば、岸田政権下では、今後、積極的な財政出動が期待できず、むしろ将来的な増税の足音が聞こえてきそうだからです」との認識は不変です。
【※前回の記事はこちら!】
⇒【日本株】2021年の年末は「低PER・大型バリュー株」「キャッシュリッチ企業」「資源関連」などが狙い目に! ただし相場全体は“調整局面”なので、売買は慎重に!
日本では「積極財政・成長重視」のアベノミクスが終了し、残念ながら「緊縮財政・分配重視」のキシダノミクスが始まってしまいました。このため、誰でも儲かる相場も終わったと見るべきです。
“キシダノミクス”が始まった現在の日本市場では、
これまでのような「順張り」ではなく「逆張り」がおすすめ
現在の日本市場における投資手法としては、「順張り」ではなく「逆張り」を推奨します。狙っている銘柄があったら、株価が上がっている日に買うのではなく、下がっている日に勇気を出して買い向かうようにしましょう。
また「利確は正義」です。アベノミクスの時代は、ゴリラ並みの握力で握って利益を伸ばすことが正義でした。しかしながら、キシダノミクスの下では、評価益はしょせん幻です。小さな値幅でも贅沢を言わず、せっせっと利確しましょう。「塵も積もれば山となる」の精神で相場に臨むべきだと考えます。
2021年秋以降、日本株投資で儲けることは非常に難しくなったことを覚悟したうえで、2022年の株式相場に取り組んでください。合言葉は「グロースからバリューへ!」です。
さて、早いもので本年も残すところ、あとわずかとなりました。読者の皆様には1年間大変お世話になり、心より感謝しております。来年も本年同様のご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
【※関連記事はこちら!】
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