「夢の配当金生活」実現メソッド
【第15回】 2018年10月24日 個人投資家・立川 一(たちかわ・はじめ)

株式投資に「損切り」は必要なのか? 悪材料が出た
場合の「損切り」の必要性や増配の継続性を判断する
方法など、ネガティブなニュースへの対処法を検証!

 こんにちは、個人投資家の立川です。

 前回は、投資した元本を配当で回収する戦略を採用しても、「可能であれば最初は再投資して、あとから元本を回収したほうが効率がいい」という話をさせていただきました。
【※前回の記事はこちら!】
「配当金」を再投資すれば、複利効果によって配当金&資産増加のスピードが加速する!「増配株投資」の優位性をさらに高める「配当金」の使い道を伝授!

 さて、増配株投資といえども、投資対象は生身(?)の会社。企業は人が運営していますから、投資している増配株の業績が常に好調であり続けるとは限りません。突然、社員の不祥事や業績の下方修正などのネガティブなニュースが発表されることもあります。そこで今回は、投資先にネガティブなニュースが流れたとき、増配株投資を実践する投資家はどのように対処したらいいのかを考えてみましょう。

業績の下方修正、減収減益、減配、無配転落……etc.
保有銘柄のネガティブなニュースにどう対応するか?

 今年3月のことですが、私が10年以上保有していた「プロトコーポレーション(4298)」を配当の権利付き最終売買日の前に売却しました。2005年に初めてプロトコーポレーションを購入して以来、買い増しはしたことがありましたが、売ったことはありませんでした。プロトコーポレーションは連続増配ではなかったものの増配傾向にあり、保有期間だけでも配当は6倍になっていました。2001年からプロトコーポレーションを保有していた人は、配当が8倍になっているほど増配していた銘柄でした。

■プロトコーポレーション(4298)の配当金の推移
基準月 2002年
3月
2003年
3月
2004年
3月
2005年
3月
2006年
3月
2007年
3月
2008年
3月
2009年
3月
配当金額
(税引前)
6.25円 8.33円 8.33円 8.33円 8.33円 13.33円 25.00円 35.00円
基準月 2010年
3月
2011年
3月
2012年
3月
2013年
3月
2014年
3月
2015年
3月
2016年
3月
2017年
3月
配当金額
(税引前)
35.00円 37.50円 42.50円 37.05円 37.50円 38.00円 39.00円 50.00円
※株式分割考慮後の配当金額

 しかし、これだけ増配してきたプロトコーポレーションですが、過去には大きな下方修正を3回しています。

[2011年3月11日]
純利益(予想)40.56億円⇒(修正)29.38億円(一株利益280.90円  配当75.00円)
[2015年4月17日]
純利益(予想)34.40億円⇒(修正)24.10億円(一株利益118.01円 配当38.00円)
[2018年3月23日]
純利益(予想)21.20億円⇒(修正)6.60億円(一株利益30.24円 < 配当50.00円)

 ところが、何度も下方修正を出しながらも増配傾向にあり、株価もここ数年は1200~2000円のレンジ内で推移していました。過去の下方修正は利益が会社予想に比べて減少はしたものの、増配傾向にあったために特に売却を考えたことはありませんでした

 プロトコーポレーションは、ざっくり言うと中古車情報を加工して売るのが仕事ですが、情報の仕入れの段階でお金を受け取り、情報を販売しても受け取るという一粒で二度美味しい商売をしていたため、中古車以外にも領域を広げていくことで、将来的には売上も利益も伸びていくと考えたためです。また、プロトコーポレーションは配当も一株利益の3分の1以下で、今後の増配も十分に余裕のある状態でした

 しかし、事業拡大のための買収がことごとく失敗したプロトコーポレーションは、2018年3月期に減損損失を計上することになり、その結果として、一株利益が予想配当を下回ってしまいました。かつ、プロトコーポレーションはここ数年、売上は拡大していたものの、利益は減少傾向にあった中で、ついに純利益の予想が大きく下方修正されることになったのです。

「減損損失の発生」や「業績の下方修正」が発表されたのは2018年3月23日で、私はその時点で、プロトコーポレーションが今後、さらに増配を続けていくことに疑いを持ち、迷わずに保有していた株の大部分を翌日に売却し、しばらくして残りの保有株もすべて売却しました。幸い、買値から3倍程度の株価で売却でき、かつ、その間の配当も受け取っていたので、損をすることはありませんでした。その後、プロトコーポレーションは2019年3月期には業績が大きく回復するという会社予想を出しましたが、私はこの予想を信じることができなかったために買い戻しはせず、そのままになっています。

増配株投資で売却するかどうかの目安は
「一株利益 < 配当」となるか「減配」するか

 プロトコーポレーションはバリバリの増配銘柄で、しかも私の場合はあと少しで投資元本を配当で回収できていたので、業績が悪化しても、保有し続けて配当を受け取るのも選択肢の一つだったと思います。というのも、「仮にネガティブなニュースが出て、保有に不安があれば売却するのも選択肢の一つだが、増配株への投資であれば保有を継続したとしても損失は小さく済む」からです。

 しかし、私の場合は業績が悪化して赤字になったり、長期的に業績の低迷が継続しそうになったりすると売ることにしています。特に、増配の継続が難しそうなときには売却します。その後、業績を回復させて増配基調に戻るかもしれませんし、株価も上昇するかもしれません。実際に、増配を再開したり、株価が上がったりして悔しい思いをしたことがいくらでもあります。しかし、増配株はほかにいくらでもありますし、不安を感じながら保有するくらいであれば、一旦売却して別の銘柄に投資するか、再び増配傾向に回復するのを待って投資し直したほうが精神衛生上いいと考えています。

 実際、先ほどのプロトコーポレーションを例にとっても、保有していた期間に2回あった下方修正後は株価が横ばいで推移した期間が長かった印象です。下方修正を発表したときに売って、ほかの銘柄に乗り換えていたほうが株価も上がっていたようですし、増配率も高かったようなので、私のポートフォリオ全体のパフォーマンスはよくなっただろうと思います。これは私の投資家人生の中でも大きな反省点でもあります。

 とはいえ、保有している銘柄を買った株価よりも安い株価で売却するのは非常に難しいものです。以前は私も「株価がせめて買値に戻るまでは……」と躊躇していました。しかし、一時的に損失を出しても「買い替えた銘柄で取り返せばいい」と考えるようになってからは、判断に迷ったり、保有に値しないと考えたりしたら、すぐに売却できるようになりました。結局、保有するか、売却するか迷うような銘柄は、結局はその後もズルズルと株価を下げるケースが多いですし、もし、売却後に保有していても問題がなかったと思い直せば、そのタイミングで買い戻せばいいのです。

 私は「売却するかどうかの目安」として、「一株利益 < 配当」となるか、もしくは「減配」となったら、その銘柄の売却を検討することにしています。「一株利益 < 配当」となると、将来的には「減配」する可能性が高くなります。そして、いよいよ「減配」となったら「増配株に投資して、配当で投資元本を回収する」という「増配株投資」の前提が崩れるので、保有する理由がなくなります。

 あとは、その銘柄を信じられるかどうかで、その銘柄のことを信じられなければ売るだけです。「売る=失敗を認める」ことを過剰に恐れて躊躇するのが最悪です。どんなに敏腕なファンドマネジャーであっても、投資する銘柄選択に失敗することなんていくらでもあります。私のようなサラリーマンの兼業投資家が失敗を失敗と認めなければ、それは傷口を広げるだけです。

増配株投資は「うまくいかなかった」場合でも
損失が小さくて済むのが最大のメリット!

 一方で、多くの銘柄に分散投資をしている場合は、その1銘柄がポートフォリオ全体の成績や受取配当金に与える影響は小さくなるので、保有し続けるという考え方もあります。複数の増配株に分散投資をしていれば、配当で投資元本を回収するためにかかる期間は1~2銘柄が倒産したとしても大きくは変わらないので、保有しながら業績の回復を待つこともできるでしょう。
【※関連記事はこちら!】
増配株への分散投資は、預貯金よりもリスクが低い? 配当金だけで投資元本を回収できる期間が短くなり、元本回収後はリスクフリーで高い配当金がもらえる!

 そもそも増配株は倒産しにくいビジネスモデルを持っているからこそ増配できるのです。ネガティブなニュースが流れたとしても、その企業の業績の回復を信じることができれば、保有を継続するのも「あり」でしょう。増配株に投資対象を絞って分散投資をしていた場合は、たとえ鳴かず飛ばずの銘柄がポートフォリオに発生しても、その他の銘柄が補って余りあるフォローをしてくれる可能性が高いので、その影響はわずかで済むのです。

 株式投資で失敗してしまうと、投資資金を半減させてしまったり、酷いときにはすべてを失ってしまったりすることもあります。しかし、増配株に分散投資する「増配株投資」では、投資をやめなければならないほどの致命傷を負うようなリスクをかなり減らすことができます。「うまくいかなかった」場合でも「被害がかなり小さくて済む」のが増配株投資の最大のメリットなのです。

 ちなみに、私が今年の3月に売却してしまったプロトコーポレーションですが、私は売却した時点でプロトコーポレーションという会社に疑いを持ってしまい、結局その後も買い戻すことができませんでした。しかし、今期に入ってからの業績は好調のようで、9月には2019年3月期の第2四半期の業績予想を上方修正して、最近は株価も見直されつつあります。もしかして、売却せずに保有を継続していても問題はなかったかも……と思わずにはいられない、ちょっと残念なことになっています。しかし、その後に少しずつ買い進めたほかの増配株の株価がそれなりに上昇しており、トータルでは悪くない結果になっています。

株価が下落した場合の「損切りライン」は必要なし。
ただし、仕事や生活に影響が出るなら売却して仕切り直そう!

 さて、「業績の下方修正」などのネガティブなニュースが出ていなくても、なぜか保有銘柄の株価が下落する、あるいは株式市場全体の軟調な動きに巻き込まれて株価が下落するということがあります。その場合、例えば「買値から10%下がったら」というように、株価が一定のラインまで下がったら売却する、いわゆる「損切り」が頭をよぎる人もいるでしょう。私もあまり株価は気にしないはずの増配株投資を心掛けているのですが、同時に資産も増やしたいという邪(よこしま)な考えを持っているので、保有銘柄の株価下落が続くと「何か自分が知らないネガティブな情報が漏れているのではないか?」と不安になることもあります。

 しかし、私は「株価が下落したから」という理由で「損切り」をしたことはありません。といのは、やはり業績を頼りに投資をして、その後の配当をあてにしているからです。株価が上がれば利益を確定する、という売買をしているわけではないんです。ただし、これが正解とは言い切れません。なぜなら、株価下落の背景として、大口の投資家が上場会社のネガティブな面を先に見抜いていたり、先に情報を入手して売り抜けていたりする場合もあるからです。

 究極の結論としては、保有している銘柄の株価下落が、あなたの仕事や生活に影響を及ぼすほどの「動揺」をもたらすようでしたら、いったん株を売却してスッキリしたほうがいいでしょう。株は売却したとしてもいつでも買い戻すことができますが、株価が下落する株を保有し続けて落ち着かない日々を過ごしてしまうと、その時間はもう取り戻すことができないからです。「動揺」をもたらすほど株価が下落した場合には、株をいったん売却して頭を冷やし、その銘柄への投資が本当に妥当だったのか、冷静な目で検討してみましょう。

 それでは、今回のまとめです。

【ポイント①】
増配株投資の場合、売却するかどうかの目安は「一株利益 < 配当」となるか、「減配」もしくは「増配が期待できなくなった」時点で売却を検討しよう!
【ポイント②】
複数の増配株に分散投資している場合、1銘柄当たりの影響は少ないので、業績が一時的に悪くなっても会社を信用できるなら保有継続も一つの手。
【ポイント③】
「上手く行かなかった」場合でも「損失が小さくて済む」のが増配株投資のメリット!
【ポイント④】
株価が下落して仕事や生活に影響が出るほど「動揺」するようなら、株をいったん売却して、頭を冷やして再度検討するのもおすすめ!

 さて、今回は最後に私が注目している増配株を一つ取り上げてみましょう。

 現在、EV(Electric Vehicle=電気自動車)化、自動運転など、自動車にまつわるテクノロジーは大きく変化する過程にあります。しかし、どんな自動車も「タイヤ」がないと道を走ることはできません。しかも、自動車が走ると「タイヤ」は消耗するので、世の中に自動車がある限り、「タイヤ」は売れ続けます。そこで注目しているのが「ブリヂストン(5108)」です。ブリヂストンは増配株で、過去20年間で配当は10倍以上に増えており、配当利回りも3%台と比較的高くなっています。

■ブリヂストン(5108)の配当金の推移
基準月 1999年
12月
2000年
12月
2001年
12月
2002年
12月
2003年
12月
2004年
12月
2005年
12月
2006年
12月
2007年
12月
2008年
12月
配当金額
(税引前)
14円 16円 16円 16円 16円 19円 24円 24円 26円 24円
基準月 2009年
12月
2010年
12月
2011年
12月
2012年
12月
2013年
12月
2014年
12月
2015年
12月
2016年
12月
2017年
12月
2018年
12月
配当金額
(税引前)
16円 20円 22円 32円 57円 100円 130円 140円 150円 160円
(予定)
※株式分割考慮後の配当金額

 仕事の同僚には「いまどき高級なタイヤなんて売れないですよ!」と言われたのですが、ブリヂストンは売上も利益も伸びていて、自動車が便利に進化すれば、さらなる成長が期待できるのでは、と考えています。

 さて、第11回で紹介した「インフラファンド」を覚えていらっしゃいますでしょうか?「インフラファンド」とは、太陽光発電施設などの「インフラ」を保有し、そこから得られる収益を投資家に分配する「J-REIT」によく似たファンドです。
【※関連記事はこちら!】
インフラファンドのメリット・デメリットを解説!「J-REIT」と比較しても、「インフラファンド」には高利回り+安定度、不況に強いなど、メリット多数!

 しかし、最近になって九州電力が太陽光発電設備に対して出力抑制を実施したり、数年内に太陽光で発電した電力の買い取り価格が半分に引き下げられる方針が決まったりと、「インフラファンド」にとってはネガティブなニュースが流れており、株価も軟調に推移しています。そこで、次回は逆風が吹く「インフラファンド」の未来について、改めて考えてみたいと思います。
【※連載第16回はこちら!】
インフラファンドが抱える「出力制御」「自然災害」「売電価格の低下」という“3つのリスク”を解説!投資対象としてのインフラファンドに未来はあるか?