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円安・ドル高の流れが一服して調整に入ったことが、
日経平均株価の上値が重い要因のひとつに
日経平均株価は、3月25日の2万8338.81円で目先天井を付けた後、調整を続けています。
3月9日の年初来安値2万4681.74円から3月25日の2万8338.81円まで、3657.07円急騰しました。しかし、その後は急騰の反動で利食い売りが断続的に出てきたため、上値が重くなりました。その結果、3月30日~4月1日まで3日続落し、終値ベースで586.44円下落しました。ただし、4月4日は前週末比70.49円(0.25%)高の2万7736.47円と4日ぶりに反発するなど、一方的な下落とはならず、底堅い動きを見せています。
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日経平均株価の上値が重くなった主因のひとつが、ドル/円相場の動向です。すなわち、円安が一服したことが、日経平均株価の上値の圧迫要因です。一方、円安が一服したとはいえ、現在のドル/円相場が企業の想定為替レートよりも円安水準で推移していることは、日経平均株価の下支え要因となっています。
3月の円相場は対ドルで急落し、3月28日に125円10銭と、2015年8月以来の安値をつける場面もありました。その後、利食い売りでドルはやや弱含み、対円で調整。4月5日早朝の東京外国為替市場で、ドル/円相場は1ドル=122円78~80銭でした。
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ちなみに、日銀が4月1日に発表した3月の日銀短観によると、全規模・全産業の2022年度の想定為替レートは1ドル=111円93銭(上期:111円92銭、下期:119円95銭)でした。
今後、3月28日の125円10銭を上回る円安・ドル高に進むことが、日経平均株価の調整終了・上昇トレンド回帰への一要因となるでしょう。
日経平均株価の上値を圧迫するもうひとつの要因は、
ウクライナ情勢の影響による原油先物価格の高止まり
日経平均株価の上値が重くなっているもうひとつの主因は、原油先物価格の高止まりです。
4月4日のWTI期近の5月物は、前週末比4.01ドル(4.0%)高の1バレル=103.28ドルでした。この日は、ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ近郊で多数の民間人の遺体が見つかり、同軍による虐殺との批判が高まったことを受け、EUが経済制裁の強化の検討を始めたと伝わったことが、原油先物の買い材料となりました。
また、イラン核合意の復活に向けた交渉が中断していることについて、イラン高官が4月4日、「米国に責任がある」と述べたと伝わったことも買い材料視されました。
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原油先物高はガソリン高につながり、米国の消費を冷やしかねません。これが日米の株式市場の上値圧迫要因となっています。
FRBがインフレファイターとなって利上げを加速させるのに対し、
日銀は「金融緩和を粘り強く続けていく」と真逆のスタンスに
ただし、足元の米国経済は堅調です。3月の米国の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比43万1000人増と市場予想の49万人増程度を下回ったものの、過去2カ月分は大きく上方修正されました。また、失業率は2月の3.8%から3.6%に低下し、市場予想の3.7%を下回りました。そして、平均時給は前月比0.4%増加でした。前年同月比では5.6%増と、2020年5月以来の大きな伸びとなりました。
このように、米国の労働市場は絶好調です。このため、原油先物価格の上昇による景気押し下げ圧力はあるものの、先行きの米国の景気失速を危惧する必要はないでしょう。
当然のことながら、原油先物に象徴される資源・エネルギー価格の上昇は、強力なインフレ要因です。このため、すでにインフレファイターとなっているFRBは利上げを加速させることでしょう。ちなみに、5月のFOMCでは、引き上げ幅が通常の2倍となる0.5%の利上げを実施する可能性が高まっており、米国では短期金利のみならず、長期金利の先高観も強まっています。実際、4月4日の米国10年債利回りは2.39%と、2%を大幅に上回っています。
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一方、日銀の黒田東彦総裁は4月5日、衆議院財政金融委員会に出席し、「安定的に物価目標を達成するために、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていく」と述べました。
このように、日米の金融当局の政策スタンスは真逆です。当然これは外国為替市場でのドル高・円安要因です。そして、これも日経平均株価、特に外需系銘柄にとっての追い風と言えるでしょう。
3月期決算企業の決算発表シーズンを控え、国内外の機関投資家が積極的に日本株の上値を買ってくるとは思えません。資源・エネルギー価格の上昇、コロナ禍後のサプライチェーンの混乱、世界的な半導体不足、そして、ロシアに対する経済制裁の世界経済への影響など、企業業績に甚大な影響を与える不透明要因が数多く存在するからです。このため、多くの機関投資家は、決算の内容や今期のガイダンスを見極めたいはずです。よって、彼らが投資対象とする大型株の上値は相当重いと見ています。
その一方で、円安や堅調な米国景気を根拠に、大型株の下値も堅いと思われます。結論として、当面の大型株は「膠着」する見通しです。
調整気味の日経平均株価に対して、東証マザーズ指数は好調!
当面は「グロース市場」の上場銘柄に狙いを絞って投資しよう
一方、4月5日の東証マザーズ指数は、前日比21.84ポイント(2.66%)高の842.01ポイントでした。このように、東京株式市場では、調整気味の大型株とは対照的に、小型グロース株が非常に強い動きとなっています。当面の東京株式市場では、日経平均株価に代表される大型株が調整する一方で、小型グロース株の人気が継続すると見ています。
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ご存じの通り、東証は4月4日から株式市場を再編しました。中核市場の再編はおよそ60年ぶりのことだそうです。具体的には、従来の「1部」「2部」「マザーズ」「ジャスダック」の4区分から、企業の収益や時価総額などに応じて「プライム」「スタンダード」「グロース」へと移行しました。ジャスダック・グロース市場とマザーズ市場のほとんどの企業が「グロース市場」へ移りました。したがって、当面は「グロース市場」の上場銘柄に狙いを絞って投資をすることをおすすめします。
なお、東証マザーズ指数は、2021年11月17日の1189.00ポイントから今年2月24日の648.20ポイントまで下落しました。下落幅は540.80ポイントです。この半値戻しが918.60ポイントなので、そこを上抜けるようなら、200日移動平均線(4月4日現在1005.04ポイント)を目指すという展開が、現時点での私のメインシナリオです。
ただし、25日移動平均線(同737.61ポイント)を割り込むケースでは、このメインシナリオを白紙に戻します。それまでは、「グロース市場」の上場銘柄を積極的に攻めるべきと考えています。
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