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米国の株式市場は落ち着きを取り戻しつつあります。まず、先週末10月21日のNYダウは3日ぶりに反発し、前日比748.97ドル高の3万1082.56ドルに上昇。また、ナスダック総合株価指数も同じく3日ぶり反発し、同244.88ポイント高の1万859.72ポイントとなりました。そして週明け24日のNYダウは続伸し、前週末比417.06ドル高の3万1499.62ドル、ナスダック総合株価指数も続伸し、同92.90ポイント高の1万952.61ポイントでした。
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米国株が2日続伸した背景は、FRBが金融引き締めの手を緩めるとの期待が盛り上がったことと、英国で次期首相が決まって財政不安が沈静化したことです。
長期金利がピークアウトして米国10年債利回りが4%を下回れば、
再びハイテク株が買い戻されて「ベアマーケットラリー」が発生!
米国に関しては、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)が10月21日に「FRBは11月のFOMCで、その次の12月会合で利上げ幅を縮小するかどうか協議する」と報じたことに加え、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が21日のイベントで「利上げペースを緩めることを協議し始める時期に来ている」と述べました。これらのことから、米国の政策金利の先高観が後退し、かつ過度な景気悪化懸念が後退して、リスクアセットの株式が買われやすくなりました。
一方、英国に関しては10月24日、ジョンソン政権下で財務相を務め、コロナ禍で悪化した財政を立て直す方針を示すなど、財政規律を重んじてきたスナク元財務相が、与党・保守党の新党首に選任されて次期首相に就任する見通しです。わずか1カ月半で退任に追い込まれたトラス首相の後任が決まったことで、今後の英国の財政運営が安定するとの見方が強まり、投資家心理の改善につながりました。
ただし、米国の長期金利は高止まりしています。これは米国株の上値圧迫要因です。10月24日の長期金利の指標である米国10年債利回りは、前週末比で0.02%高い4.24%でした。
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長期金利が高止まりしている主因は、仮にFRBが金融引き締めの手を緩めたとしても、高インフレ状態は長期化すると見られているからです。
今後、米国の長期金利がピークアウトするようならば、高PERのハイテク株やグロース株が買い戻され、米国の株式市場では、再び「ベアマーケットラリー(下落相場中の一時的な上昇局面)」が発生する見込みです。逆に米国の長期金利が高止まり、または上昇基調を維持するようなら、米国株の調整は続く見通しです。
より具体的に言えば、米国10年債利回りが4%を下回ることが「ベアマーケットラリー」発生の号砲になり、逆に4%を超えている間は不安定な調整局面が続くと見ています。
当面は日本政府による為替介入への警戒感が燻り続け、
ドル/円相場は「1ドル=150円」の攻防が続く見通し
一方、日本では10月21日に政府・日銀が大規模な為替介入を実施し、ドル/円相場が1ドル=151円台から一時144円台まで7円も上昇する場面がありました。この為替介入は5兆5000億円規模で、9月の為替介入額の約2兆8000億円を大幅に上回り、過去最大の規模だった可能性が指摘されています。
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しかし、為替介入に否定的とされるイエレン米財務長官は、日本政府が為替市場に再び介入しているとの報道について、米国政府は日本からそのような通知を受け取っていなかったと語っています。ちなみに、イエレン氏は10月14日に「市場で決定される為替レートがドルにとって最良の体制であり、それを支持する」と話しています。そして、日本が9月に1998年以来初めてとなる円買い介入を実施した際にも、米国の財務省は「日本の行動は理解する」との表現にとどめ、承認はしませんでした。
9月の介入にしても今回の10月の介入にしても、水面下では日本政府は米国政府と密接な情報交換を行い、かつ米国の了承を得たうえで大規模介入を実施したと見ています。というのは、あまりに急激なドル高は米国の輸出企業の収益にとってはネガティブなため、米国政府は、相場水準を人為的かつ継続的に押し下げる介入こそ認めないものの、値動きを緩める(ボラティリティを低下させる)「スムージング介入」については了承しているのではないかと思われるからです。もちろん、ドルの大幅な押し下げについては、インフレ抑止の観点から現時点で米国が認めることはないので、日米協調介入は実現しないと考えています。
このような状況下、日銀は10月27~28日に金融政策決定会合を開きます。今回の会合では、金融政策の現状維持を決めたうえで、黒田総裁が記者会見で金融緩和の継続を強調する見通しです。このため、日米金利差に着目した円売り・ドル買いは継続することでしょう。
その一方、日本政府が投機的な円売り・ドル買いを断固として許さないというメッセージを打ち出し、それを介入という形で実行したため、1ドル=150円から上は為替介入への警戒感が燻り続ける見通しです。よって、当面のドル/円相場は、1ドル=150円の攻防が続くと考えています。
現在の円安水準で相場が落ち着くことは、日本株、特に外需株にとってポジティブです。つまり、日経平均株価の下支え要因と言えるでしょう。
日経平均株価は、2万6237円を割り込むまでは「強気」の見通し!
ただし、下落に転じる可能性も十分にあるので資金管理は慎重に
日経平均株価に関しては、10月3日の2万5621.96円が一番底、6日の2万7399.19円がネックライン、13日の2万6237.42円が二番底との見方を継続しています。
今後、ネックラインの2万7399.19円を上抜けるケースでは、ネックラインからザックリ1000円程度の上昇を期待しています。ただし、13日の2万6237.42円を割れたら、シナリオを変更したいと思います。それまでは、日本株に関しては「強気」を維持します。
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最後に、ここ最近の市場関係者(証券会社、投資顧問、専業トレーダーなど)へのヒアリングベースでは、今年に入ってから現在までの相場に、上手く乗れている個人投資家の割合はザックリ1割くらいという印象です。残り9割の個人は、「米国のグロース株や日本の小型成長株を高値で掴み、塩漬け状態で身動き取れない」、または「信用取引で過度のレバレッジを効かせて失敗し、退場を余儀なくされた、あるいは退場寸前」という状況のようです。
そうならないためには「資金管理」が非常に重要となります。特に「損切り」と「適正なレバレッジ」に関しては、予めご自身の基準を定め、それを粛々と実行することが大切です。
FRBがタカ派からハト派に転じるまでは、日本株も難易度の高い相場が続く見通しです。くれぐれも退場なんてことにならないように、今一度、生き残ることを最優先にした「資金管理手法」を確認したうえで、相場に臨むことをおすすめします。
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