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2023年の日経平均株価は9カ月半ぶりの安値でスタート!
その後もなかなか大納会を上回れず、冴えない出だしに
新年明けましておめでとうございます。旧年中は、格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。本年が読者の皆様にとって輝かしい年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
さて、1月4日の大発会の日経平均株価は、大納会(12月30日)比で377.64円(1.45%)安の2万5716.86円と大幅反落でした。これは2022年3月15日の2万5346.48円以来、9カ月半ぶりの安値で、冴えないスタートとなりました。
しかしながら、1月5日は前日比103.94円高、6日も同153.05円高と2日続伸しました。それでも6日の終値は2万5973.85円と、大納会の終値2万6094.50円を下回っています。1月10日には前日比201.71円(0.78%)高の2万6175.56円と、ようやく大納会の終値を上回りましたが、2023年の東京株式市場は出だしでつまづいたと言えるでしょう。
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米国で金融引き締めの長期化への懸念が和らいだことで、
NYダウとナスダック指数はどちらも堅調に推移
一方で1月6日のNYダウは大幅に反発し、前日比700.53ドル(2.13%)高の3万3630.61ドル。また、ナスダック総合株価指数も大幅に反発し、同264.05ポイント(2.56%)高の1万569.29ポイントでした。
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2022年12月の米・雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比22万3000人増と市場予想の20万人増を上回りました。その一方で、平均時給が前月比0.3%増と市場予想の0.4%増を下回りました。この雇用統計で賃金インフレの減速が確認できたため、FRBによる金融引き締めの長期化への懸念が和らぎ、リスクアセットの株式が買われたのです。
また、1月6日の米国10年債利回りは、前日比0.16%低い3.56%で取引を終え、一時は3.55%と2022年12月中旬以来の低水準をつける場面がありました。こちらも、今回の雇用統計を受けてインフレがピークに達したとの見方が強まり、安全資産の債券が買われたのです。そして、この金利低下が6日のハイテク株への買い材料となりました。
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テクニカル的には、ナスダック総合株価指数は1月6日の大幅高で、5日移動平均線(6日時点で1万437.35ポイント)を上抜きました。また、9日も前週末比66.36ポイント(0.63%)高の1万635.65ポイントと続伸し、5日移動平均線(9日時点で1万471.19ポイント)を上回り続けています。
ナスダック総合株価指数は、今後、再び5日移動平均線を下回らない限り、終値ベースでは25日移動平均線(9日時点で1万739.70ポイント)や75日移動平均線(同1万842.46ポイント)程度までの戻りを想定しています。
75日移動平均線を超えてもう一段の戻りを試すには、さらなる好材料の出現が必要とも見ています。例えば、1月12日に発表される2022年12月の米・消費者物価指数(CPI)が市場予想を超えて鈍化すれば、それは米国株と債券の上値追いの材料になり得るでしょう。というのは、この数値次第で2月のFOMCでの利上げ幅が0.25%になるのか、または0.50%となるのかを大きく左右する可能性が高いからです。
米国の金利低下でドル高がピークアウトしたことにより、
為替レートによる日本の輸出企業の業績上ブレ要因が消滅!
なお、米国のCPIの鈍化が鮮明になるケースでは、米国の金利が低下し、外国為替市場で日米の金利差縮小に着目した円買い・ドル売りが加速する可能性が高いと見ています。
ご存じの通り、1月3日の外国為替市場で円が対ドルで上昇し、一時1ドル=129円台半ばと2022年6月上旬以来、7カ月ぶりの円高・ドル安水準をつける場面がありました。この円高は、12月31日に日経速報ニュースが「日銀は1月に示す消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の前年度比上昇率の見通しを前回(10月時点)から上方修正する検討に入った」と報じたことがきっかけになりました。この報道を受け、日銀への緩和修正への圧力がさらに増す可能性が意識されたからです。なお、その日銀は、1月17日~18日に金融政策決定会合を開き、会合後に公表する「展望リポート」で物価や景気に対する委員の見通しを示す予定です。
足元のドル円相場は、2022年10月21日に1ドル=151.945円でドル高がピークアウトし、現在はおおむね1ドル=130円~135円のレンジで動いているように見えます。主要企業の6割が2023年3月期の想定レートを131円以上の円安で設定しているため、現在のレートで推移する限り、為替レートによる我が国の輸出企業の業績上ブレ要因がほぼ消滅したと考えておく必要があります。このため、今後、円安基調に戻らない限り、電機・ハイテク株指数の色彩の強い日経平均株価の上値余地は限定的と覚悟しています。
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なお、日銀が2022年12月の政策設定会合で金融緩和を修正したことを機に、今後、日銀が許容する長期金利の変動幅をさらに拡大したり、長期金利の操作目標を撤廃したりするとの見方が燻り続けています。その結果、12月の会合以降、利ざや改善を見込んだ銀行株人気が過熱しました。
しかしながら、1月6日の14時48分ごろ「(日銀関係筋の話として)日銀はイールドカーブコントロール(YCC)の再修正は急がない。12月決定の影響と効果を見極める」との報道が出て、これまで買われていた銀行株が軒並み売られる場面がありました。
このように2022年12月の政策決定会合以降、外国為替市場も東京株式市場も、日銀の一挙手一投足に過敏に反応するようになっています。
2023年4月に控えた日銀総裁の交代によって、
日銀が「タカ派」に傾斜していくリスクが日本株の上値圧迫要因に
また、市場では、日銀の金融政策の行方のみならず、次期総裁人事への関心が高まっています。
これに関しては、2022年12月28日、産経新聞Web版が「来年4月に任期を迎える日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁の後任人事を巡り、白川方明(まさあき)前総裁を副総裁として支えた山口広秀氏の名前が浮上している。黒田体制で『異次元の金融緩和』を支えた“本命”の雨宮正佳副総裁と中曽宏前副総裁に加え、3人目のプロパー(生え抜き)候補だ。安倍晋三元首相の経済政策『アベノミクス』と急速に距離を置き始めた政府・日銀の対応が、臆測に拍車をかけている」と報じました。
この報道を受けて、市場では、次期総裁のもとで日銀が金融引き締めに前向きな「タカ派」に傾斜していくリスクが意識され始めています。総裁人事は1月にも明らかになる見通しです。このような日銀リスクの存在も、日本株の上値圧迫要因といえるでしょう。
前回も述べましたが、2023年の金融政策決定会合は1月17日~18日、3月9日~10日、4月27日~28日、6月15日~16日、7月27日~28日、9月21日~22日、10月30日~31日、そして12月18日~19日に予定されています。まずは、1月17~18日の会合を前に、投資家は警戒感を強める見通しです。
日経平均株価の25日移動平均線が上向きに転じるまでは
タネ銭を減らさないよう「守り重視の運用」を
欧米の中央銀行が自国景気を犠牲にしてでもインフレ退治を最優先にして金融引き締めを粛々と行う一方、日銀のタカ派傾斜リスクが燻り始めたことで、日本株投資の難易度が一段と上がったように感じます。新年早々、景気のいい話ができないことは残念ですが、引き続き、守り重視の運用を心掛けることをおすすめします。
テクニカル的にも現時点では、日経平均株価の25日移動平均線・75日移動平均線・100日移動平均線が、下降のパーフェクトオーダー(25日移動平均線・75日移動平均線・100日移動平均線がすべて下向きで、25日<75日<100日の順番でキレイに並んだ状態)となっています。
よって、少なくとも25日移動平均線が上向きに転じるまでは、タネ銭を減らさないことを最優先に相場に臨むべきと考えています。「休むも相場」です。当面は、ディフェンスを優先して、儲けやすいチャンスをじっくりと待つ戦略をおすすめします。
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