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日経平均株価は、相変わらず非常に強い動きを続けています。5月29日の日経平均株価は3日続伸し、前週末比317.23円(1.03%)高の3万1233.54円。5月22日につけた終値ベースの年初来高値3万1086.82円を上回り、1990年7月26日以来、約33年ぶりの高値となりました。さらに、5月30日は4日続伸し、前日比94.62円(0.30%)の3万1328.16円でした。
5月29日は、米国政府の債務上限問題を巡り、5月27日にバイデン米大統領と野党・共和党のマッカーシー下院議長の協議が基本合意に達したことで、米国債の債務不履行(デフォルト)リスクが低下したことが買い材料になりました。
また、東京外国為替市場で円安が進行したことも買い材料でした。5月29日、ドル/円相場は午前9時すぎに一時、1ドル=140.91円近辺と、2022年11月下旬以来の安値をつける場面がありました。FRBによる利上げが続くとの見方が強まっており、日米の金利差拡大を見込んだ円売り・ドル買いが加速していることが、需給面での円安の主因です。
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米・個人消費者支出などの経済指標の上振れにより、
6月のFOMCで「0.25%の利上げ」がほぼ確実に!
FRBによる利上げが続くとの見方が強まっている背景は、これまでの急激な利上げにもかかわらず、このところ公表された米国の経済指標の上振れが目立っており、一向にインフレが抑制されていないからです。
例えば、5月26日に発表された4月の米・個人消費支出(PCE)物価指数は、エネルギーと食品を除くコア指数の上昇率が前年同月比4.7%と、市場予想の4.6%を上回りました。前月比も0.4%と、3月の0.3%から伸びが加速しています。PCE指数は、FRBが物価指標として重視していることで知られています。また、同じく26日にミシガン大学が発表した5月の消費者態度指数(確報値)は59.2と、市場予想の57.7を上回りました。
このような状況のため、FRB高官らからの「タカ派的な発言」が相次いでいます。例えば、FRBのウォラー理事は、5月24日の講演で「インフレが2%の物価目標に向かって鈍化するとの明確な証拠が得られない限り、利上げをやめることを支持しない」と述べています。また、クリーブランド連銀のメスター総裁は5月26日、「もう少し追加の金融引き締めが必要になると考えている」と述べました。
このようなタカ派発言を受けて、5月26日のNY債券市場では、金融政策の影響を受けやすい米国2年債利回りが一時4.63%まで上昇し、およそ2カ月半ぶりの高水準を付ける場面がありました。
結論として、6月13日~14日開催のFOMCでの0.25%の利上げは、ほぼ確実でしょう。
ちなみに、6月3日からFOMC参加者が金融政策に関する対外発信を控える「ブラックアウト期間」に入ります。つまり、6月3日以降は、FRB高官らからの「ノイズ」はいったん消える見込みです。それでも、今後発表される経済指標で、物価の高止まりや、雇用情勢が堅調さを保つなど景気の底堅さが意識されれば、FRBがインフレ抑制に向けて積極的な金融引き締めを続けるとの見方は強まる見通しです。よって、外国為替市場では、日米金利差の拡大を見込んだ円売り・ドル買いが続く可能性が高そうです。
個人投資家と国内法人の「売り」を、海外勢の「買い」が吸収する
現在の状況は当面変わらず、日本株の力強い上昇が継続する見通し
一方、日本株上昇の需給面での牽引役は、引き続き、海外投資家です。5月第3週(15日〜19日)の投資部門別売買動向では、海外投資家は現物株を7476億円買い越しました。8週連続の買い越しで、8週間の買い越し額は累計で3兆6000億円でした。また、海外投資家は株価指数先物にも買いを入れており、5月第3週は5456億円買い越しました。買い越しは3週連続です。つまり、5月第3週に海外投資家は、現物株と先物との合算では1兆2932億円も買い越したのです。海外投資家は、相変わらずFOMO(fear of missing out:取り残されることへの恐れ)に襲われて、日本株を買い続けているようです。
一方、個人のほうは、5月第3週に現物株を9273億円売り越しました。規模的には、2014年11月第1週の9911億円以来の大きさです。個人の売り越しは6週連続となり、6週間で2兆3000億円売り越しました。また、国内法人は8週連続で売り越し、8週間で1兆6044億円売り越しました。
このように、国内法人と個人投資家の売りを海外勢が吸収するという需給関係が続いています。今後については、海外投資家の買いが細ったり、売りに転換したりするまでは、日本株の力強い上昇は継続する見通しです。
今の日経平均株価の「中期の上昇トレンド」が崩れるまでは、
ダブルインバなどの「逆張り」より、上昇に乗る「順張り」がおすすめ
ところで5月29日の東京株式市場では、日経平均株価と逆方向に2倍の値動きをするよう設定されたETF、NEXTFUNDS日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(1357、通称:ダブルインバ)の口数が、5月26日時点で10億404万口と、2014年7月の設定以来、初めて10億口を上回ったことが話題になりました。5月29日のダブルインバの終値は259円で、上場来安値は5月23日の258円です。また、5月19日時点での信用残は売り残が836万6727口、買い残が1億9373万1286口で、信用倍率は23.15倍でした。ダブルインバの価格は下がり続け、信用需給も非常に悪い状況です。
また、値動きの良好な半導体関連などの空売りを仕掛けて評価損を抱えたり、実現損を出し続けている個人投資家も相当数いるそうです。
このように、一部の「逆張り大好きな個人投資家」は、相場の大幅下落を見込んで積極的に「ショート(売り)」で参加しているようです。
ですが、現時点において(売り方にとっては残念ながら)日本株が大きく崩れる兆候は見当たりません。例えば、日経平均株価をテクニカル的に見ると、5月30日の日経平均株価の終値は3万1328.16円と、5日移動平均線(30日現在3万992.36円)、25日移動平均線(同2万9742.85円)、75日移動平均線(同2万8424.87円)、100日移動平均線(同2万8011.17円)、200日移動平均線(同2万7801.31円)をすべて上回っています。また、4月17日から5月30日まで、25日移動平均線は29日連続で上昇しており、中期の上昇トレンドが継続中です。
今後については「日経平均株価が5日移動平均線を下回り、かつ5日移動平均線自体が下向き」になるようだと、それは「短期的な調整入り(スピード調整入り)」のサインになると見ていますが、そうなるまでは現在の上昇トレンドが継続するとの見方は不変です。
「ショート(先物売り建て・個別銘柄の空売りなど)」で儲けることを考えるのならば、「日経平均株価が5日移動平均線を下回り、かつ5日移動平均線自体が下向き」になってからでも決して遅くないと考えます。逆に、現在のように「日経平均株価が5日移動平均線を上回り、かつ5日移動平均線自体が上向き」の間は、株式投資で儲けるためには、発生中の上昇トレンドに乗り続けるしか選択肢はないと見ています。
よって、当面は、発生中の上昇トレンドを友達にして、投資収益の最大化を図ることを引き続きおすすめします。
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