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今週は、日銀、FRB、そしてECBが金融政策を決める「中銀ウィーク」のため、「中央銀行の金融政策を見極めたい」とのムードが強まり、通常モードなら積極的な売買が手控えられることが多いです。しかし、現在のところ、多くの投資家はそんなことを意に介していないかのように、日米株式市場ともに上昇が止まりません。
まず米国では、6月12日のNYダウが5日続伸し、前週末比189.55ドル高の3万4066.33ドル、ナスダック総合指数が同202.78ポイント高の1万3461.92ポイント、そしてS&P500種株価指数が同40.07ポイント高の4338.93ポイントでした。なお、6月8日、S&P500種株価指数は、2022年10月12日につけた直近安値からの上昇率が20%に達し、「強気相場」入りしました。
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一方、CNN Moneyが開発した指標で、株式市場に対する投資家のセンチメント(投資家心理)を示す指標として有名な「Fear and Greed Index」は、6月12日時点で78と、すでに「Extream Greed:極度の貪欲」のゾーンに突入しています。一般的に、Fear & Greed Indexが75以上の「Extream Greed」は、市場が強気に傾き過ぎであり、バブル気味になっている可能性があるため、「売りシグナル」とされています。しかしながら、現時点において、米国の株式市場が急落する兆候は確認できません。
6月13日〜14日のFOMCで発表される「政策金利見通し」が
事前予想を大幅に超えてくると「金利上昇・株式下落」の可能性が!
FRBが6月13日~14日に開くFOMCに関しては、利上げをいったん休止(Skip)し、政策金利を据え置くとの予想が多いようです。というのは、NY連銀が12日に公表した5月の消費者調査で、1年先の期待インフレ率が4.1%と2021年5月以来の低水準だったことで、期待インフレの上振れ懸念が弱まっているからです。
なお、今回のFOMCに関しては、利上げの有無よりも、現在は5~5.25%の政策金利の誘導目標を「市場参加者はどこまで引き上げる必要があると考えているか」がわかる「政策金利見通し(ドットチャート)」への関心が高そうです。これが米国の金融市場が事前に織り込んでいる水準を大幅に超えてくるようだと、市場は「金利上昇・株式下落」で反応する可能性がありそうです。そのケースでは、高PERのハイテク株の下げがきつくなるでしょう。逆に、ドットチャートが市場の想定内ならば、「金利低下・株式上昇」になると見ています。
日経平均株価は今週に入っても上昇が止まらず、
約33年ぶりに「3万3000円」の大台を回復!
一方、日本では、日経平均株価が前週まで9週連続で上昇し、終値ベースで4746.86円(17.25%)も上がりました。
しかし、6月9日に6月物の先物・オプションのSQ算出を無事に通過したことに加え、今週は「中銀ウィーク」のため、流石に日経平均株価の上昇は一服するのかなと思っていました。ところが、週明け12日は、前週末比168.83円(0.52%)高の3万2434.00円と続伸。さらに、翌13日は前日比584.65円(1.80%)高と3日続伸し、1990年7月以来、約33年ぶりに3万3000円を回復しました。
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米国株が強く、1ドル=140円付近の円安が続いているため、日経平均株価は引き続き「上がりやすく、下がりづらい状況」が続いているのでしょう。買い方にとっては天国が続いていますが、売り方にとっては地獄が続いています。つまり、現時点においても「踏み上げ相場」が継続していると見るべきだと思います。
東証マザーズ指数と東証グロース市場指数が大幅に上昇!
新興市場が日経平均株価に対する「出遅れ修正」に動き出す
ところで、6月12日の東京株式市場では、東証マザーズ指数や東証グロース市場指数が大幅高を演じたことが話題になりました。12日の東証マザーズ指数は大幅に続伸し、終値が前週末比24.88ポイント(3.22%)高の797.67ポイントと、2月9日につけた794.36ポイントを上回って年初来高値を更新しました。なお、翌13日も前日比8.55ポイント(1.07%)高の806.22ポイントと3日続伸しています。
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また、東証グロース市場指数も前週末比30.34ポイント(3.08%)高の1014.54ポイントと、2月9日につけた1008.61ポイントを上回って年初来高値を更新。翌13日も前日比9.49ポイント(0.94%)高と3日続伸しました。なお、東証グロース市場とは、2022年4月4日の東証の市場区分見直しで誕生した市場です。東証グロース市場は、それまでの市場区分である東証マザーズ市場とJASDAQグロース市場を集約したもので、新興企業が多く上場していることに特徴があります。
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6月12日〜13日に、個人投資家の関与率の高い新興市場が大幅高を演じ、先駆して上昇していた大型株に対する“出遅れ修正”に動き出したことは、多くの個人投資家にポジティブに作用する見通しです。
テクニカル的に見ると東証グロース市場指数では、6月12日に、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜いたことで、5日移動平均線(12日時点で995.00ポイント)、25日移動平均線(同960.62ポイント)、75日移動平均線(同960.15ポイント)の「強気のパーフェクトオーダー(短期・中期・長期の3本の移動平均線がすべて上向きで、かつ上から短期・中期・長期の順にきれいに並んでいる状態)」が発生し、翌13日も継続しています。
今後については「東証グロース市場指数が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線自体が下向きの状況」に変化するまでは「強気相場」が続くと見ています。
6月15日〜16日の日銀金融政策決定会合は、
高い確率でサプライズはなく「無風」で終わる見通し
実のところ、日銀は6月15日~16日に開く金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(YCC)を含めた大規模な金融緩和を維持することが濃厚のため、今回の会合について市場ではそれほど注目されていません。というのは、日銀の植田和男総裁は、6月9日午前の衆院財務金融委員会で「粘り強く金融緩和を継続していく」などと語ったからです。
ただし、万が一、YCCを含めた大規模な金融緩和の変更が行われた場合、または近い将来の変更を示唆した場合は、ネガティブサプライスとなり、「株安・債券安・円高」という形で市場は反応することでしょう。
とはいえ、植田氏は、これまでの発言などを聞く限り、現時点では前任の黒田氏とは異なり、市場に対して「サプライズ」を与えることは好まない可能性が高そうなので、今回の会合は非常に高い確率で「無風」と見ています。
多くの買い方にとっては、最高の投資環境が続いてはいますが、「好事魔多し」で思わぬ急落が発生するかもしれません。このため、「勝って兜の緒を締めよ」ではありませんが、現在、勝てているからといって気を緩めたり慢心したりすることなく、リスク管理を徹底して相場に臨み続けてください。そして「山高ければ谷深し」という有名な相場格言を常に忘れずに、上手く立ち回ってください。
その一方で、「上昇トレンドが続いている」とあなたが確信している間は「トレンドを友人にして、素直に、かつ勇気を持って現在の上昇トレンドに乗り続けること」をおすすめします。
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