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宇宙ビジネスの世界市場は、2040年には約1兆ドルまで成長!
日本でも民間企業の宇宙ビジネスへの参入が加速
最近になって宇宙ビジネスが急速に拡大しています。米・モルガン・スタンレーによると、宇宙ビジネスの世界市場は2040年に1兆ドル(約150兆円)超と2020年の3倍程度に増える見通しとのことです。高い成長が見込まれる宇宙ビジネスへの投資意欲が世界的に盛り上がるなか、国内でも民間の参入が活発化しています。
2023年3月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(7011)やIHI(7013)が開発を進めていた次世代国産ロケット「H3」の打ち上げが失敗。また4月には、ispace(9348)の月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション1が行われましたが、月着陸船の月面への軟着陸に失敗しました。相次ぐ失敗により重たいムードとなりましたが、三菱重工業は「H3」について「将来的に年間で最大6基の打ち上げを見込んでいる」ことを表明。ispaceも2024年に「HAKUTO-R」のミッション2を実施し、月面着陸や月面探査への取り組みを行う計画であることを明らかにしています。
一方、米国では、イーロン・マスク氏が率いる米国の宇宙開発企業・スペースXが11月18日、大型宇宙船「スターシップ」の試験飛行を実施。1段目のブースターと2段目のスターシップの分離が予定通り行われ、スターシップは初めて宇宙に到達しました。
ただ、ブースターの爆発の影響により、スターシップからのデータが失われたと発表されました。データの消失は一見失敗とも言える結果ですが、イーロン・マスク氏は、8割がた完成すればどんどん現場で実証し、失敗してもそれを迅速に反映してより良いものに変えるIT開発と同じ手法でロケット事業を進めており、これがスペースXの圧倒的な成長スピードの源だと言われています。今回の試験飛行においても、データが失われたとはいえ新たなマイルストーンを達成したことで、試験飛行全体を成功と見なしているようです。
今後10年間で計1兆円を基金とする「宇宙戦略基金」など、
日本政府も宇宙ビジネスを行う企業を積極的に支援
宇宙ビジネスの推進は国も後押しをしています。その一環として、政府は11月20日、宇宙分野の先進的な技術開発を行う企業や研究機関に資金を提供するため、JAXAに「宇宙戦略基金」を設置することを閣議決定しました。今後10年間で計1兆円を基金として設け、スタートアップや大学などを長期にわたり支援することを目指しています。
また、文部科学省と経済産業省による「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3)」では、前出のispaceや民間ロケット開発のインターステラテクノロジズなど、「宇宙」関連のスタートアップ16社を対象に最大388億円の交付金の拠出を決定しています。
宇宙ビジネスは実現までの期間が長く、商用化が難しいとして投資家からの資金が集まりづらいと見られていました。しかし、政府による民間企業や大学などへの長期にわたる支援により、宇宙ビジネスの推進は加速され、将来的には「日本のスペースX」の誕生も期待されます。
そこで今回は「宇宙」関連銘柄に注目。銘柄としては、月面着陸を目指しているispace(9348)を中核に、ロケット製造の関連分野を手掛けている三菱重工業(7011)や川崎重工業(7012)、IHI(7013)、SUBARU(7270)、三菱電機(6503)、NEC(6701)などが代表的な企業となります。しかし今回は、ispace以外の大型株は避け、より大きな成長が期待できる中小型株を中心に選定しました。
【ispace(9348)】
2024年のミッション2に向け、月面探査への取り組みを推進
ispace(9348)は、4月に行った月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション1で得られた成果を踏まえ、2024年にミッション2を実施する計画です。すでにミッション2で使用される月着陸船の実機の組み立ても進行中で、月面着陸のみならず、その先の月面探査への取り組みも進めています。10月6日には、インド初の民間開発ロケットの宇宙空間到達を成功させたSkyroot社、および衛星向けコンポーネントの供給に実績を持つオーストラリアのHex20 Pty Ltd社との間で、月周回衛星ミッションの需要創出に向けて協力する覚書を締結したことを発表しました。株価は10月10日、IPO(新規上場)後に主要株主が保有株を売却しないロックアップ期間が終了したことで、売却への警戒から急落しましたが、その後は900円辺りでの底堅さが見られており、ここからのリバウンドに期待したいところです。
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【Rudge-i(5572)】
人工衛星からのデータをAI分析することで、幅広いビジネスに活用
Rudge-i(5572)は、AI活用コンサルティングやAI開発サービスなどを手掛けています。人工衛星データAI解析サービスでは人工衛星から得られた多様なデータをAIで解析し、自然災害や社会活動などの環境リスクを可視化するなど、さまざまな人工衛星データ活用ビジネスを支援します。株価は、10月23日につけた安値1451円をボトムに足元でリバウンドの動きを見せており、75日移動平均線の突破と、そこからのさらなる上昇が期待できます。
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【INCLUSIVE(7078)】
人工衛星データの活用による「SX」を推進
INCLUSIVE(7078)は、DXコンサルティングやアドネットワークの運用と活用、地域密着メディアなど幅広い事業を展開しています。宇宙関連領域では、人工衛星のデータ活用により、農林水産業を中心としたさまざまな領域において「SX(スペーストランスフォーメーション)」を推進しています。株価は、1000円を挟んだ保ち合いが長期化していますが、1050円辺りの心理的な上値抵抗線を突破してくると、上昇トレンドへの転換が見込めるでしょう。
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【大興電子通信(8023)】
筑波宇宙センターで人工衛星に関わるさまざまな業務を実施
大興電子通信(8023)は、「つくば研究支援センター」の宇宙航空研究開発機構の筑波宇宙センターにおいて、軌道制御計画などの人工衛星追跡管制軌道力学系運用業務や、スペースデブリ(宇宙ゴミ)観測システム、高精度軌道決定システムの運用や各種解析などを行っています。株価は足元で強い上昇を見せており、短期的な過熱感が警戒されますが、このまま堅調に推移すれば2020年2月の高値1248円が意識されてくるでしょう。
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【酉島製作所(6363)】
ロケットエンジンで使用する液化水素昇圧ポンプの開発に着手
酉島製作所(6363)は、水道施設や火力発電所などに使うポンプ大手ですが、ロケットエンジンで使用する液化水素昇圧ポンプの開発にも取り組んでいます。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、液化水素の管理に必要なマイナス253度の条件下での実験に乗り出し、2030年の商用化を目指しています。液体水素用のポンプはこれまでまったくなかった新技術で、酉島製作所がポンプの研究開発を担い、JAXAが検証試験サポートを行います。株価は、上向きで推移する13週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが続いており、13週移動平均線辺りでの押し目買いが狙い目です。
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【スカパーJSATホールディングス(9412)】
アジア全域から中東、北米まで、グローバルに衛星通信サービスを提供
スカパーJSATホールディングス(9412)が保有している通信衛星は、日本全国はもちろん、アジア全域からオセアニア、ロシア、中東、ハワイ、さらには北米までカバー。衛星通信ネットワークは災害時にも途絶することがないため、全国の自治体や企業に通信インフラとして導入されています。今後は先端技術や新しいアイディアをも持つ国内外のパートナーと協力し、低軌道衛星ビジネスや衛星画像サービス、情報分析サービスなど幅広い宇宙ビジネス領域に事業をしていく計画です。株価は、2023年に入って上昇トレンドが継続しており、2015年4月につけた高値806円が目先のターゲットになりそうです。
⇒スカパーJSATホールディングス(9412)の最新の株価はこちら!
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以上、今回は「宇宙」関連の銘柄を、中小型株を中心に発掘しました。
なお、12月6日には、九州大学発の人工衛星ベンチャー・QPS研究所(5595)が東証グロース市場に上場する予定です。
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⇒「QPS(キューピーエス)研究所」のIPO情報総まとめ! スケジュールから幹事証券、注目度、銘柄分析、他の衛星の開発・製造企業との比較や予想まで解説!
QPS研究所は小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発、製造、衛星から取得した画像データの販売などを手掛けています。現在は政府の「宇宙開発利用加速化プログラム(スターダストプログラム)」に参画しており投資家の関心も集まりやすいと思われるので、こちらも要注目です。
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