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日銀の植田総裁の発言などによりドル/円相場が乱高下!
「1ドル=141円60銭」が当面のドルの安値に
日経平均株価は、12月11日に前週末比483.94円(1.50%)高の3万2791.80円と3日ぶりに大幅反発し、翌12日も前日比51.90円(0.16%)高の3万2843.70円と続伸しました。しかし、外国為替市場における急激な円高の影響を受けて、7~8日の2日間で、終値ベースで1138.04円(3.40%)も急落していたため、月初の水準を下回った状態が続いています。
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12月7日に急激に進んだ円高ですが、具体的には8月以来の一時1ドル=141円60銭を記録する場面があり、その後は1ドル=144円台まで大きく押し戻されました。このように7日の円相場は乱高下し、その値幅は、電子端末機による為替仲介システムの電子ブローキングシステム為替仲介システムのひとつである電子ブローキングシステム(EBS)ベースでは、日銀が長期金利の上限を0.5%へ拡大した2022年12月20日以来の大きさとなったのです。
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ドル/円相場が乱高下した主因は、日銀の植田総裁の発言です。植田氏は、12月7日の参院財政金融委員会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と語りました。この「チャレンジング」というキーワードが、市場に驚きを与えました。また、植田氏が7日午後に、岸田首相と首相官邸で会談を行ったことも市場に影響を与えたようです。
植田氏の参院財政金融委員会での発言と、岸田首相との会談を受け、為替市場では「日銀が早期にマイナス金利政策の解除を決める」との観測が強まり、日米の金利差縮小を意識した円買い・ドル売りが膨らんだことで、一時的に急激な円高が進行したのです。
なお、12月7日の1ドル=141円60銭は「フラッシュクラッシュ(ごく短い時間に突然相場が急落し、その後急騰する現象)」の発生によってついた可能性が高いため、この「1ドル=141円60銭」が当面のドルの安値になると見ています。
12月18〜19日の日銀金融政策決定会合で
政策金利の引き上げが実施される可能性は低い!
12月8日発表の10月の毎月勤労統計調査によれば、1人あたりの実質賃金は前年同月比2.3%減でした。マイナスは19カ月連続で、物価高に賃金の上昇が追いついていない状況が続いています。
こんな状況で、日銀が早期にマイナス金利政策の解除を決める可能性は非常に低いと思います。実際、12月11日にブルームバーグは「日本銀行は、賃金と物価の好循環の実現に向けた十分な確証が得られていないため、マイナス金利やイールドカーブコントロール(長短金利操作:YCC)の撤廃などを今月急ぐ必要はほとんどないとの認識だ」と報じています。
よって、12月18〜19日の日銀金融政策決定会合では、現在マイナス0.1%の短期政策金利を引き上げる可能性は極めて低いと見てよさそうです。2024年の春闘次第で、物価目標が見通せる状況になります。そのため、日銀が政策変更するならば、早くても2024年の4月ということになると考えています。
しかしながら、日銀は今後も政策修正に前向きな発言をして、継続的に“地ならし”を行い、市場にそれ(政策修正)を織り込ませる努力を続けると思われます。つまり、現在の日銀は、2024年春にドル安(円高)・株安・債券安という「ショック安」を引き起こすことがないように努力(市場との対話)をしていると言えます。
「自民党の政治資金パーティー問題」の深刻化により、
海外投資家の「日本株売り」が加速する可能性も!
ところで「自民党の政治資金パーティー問題」が深刻化して、国内の政治リスクが一段と高まっています。
毎日新聞は12月12日に「東京地検特捜部、自民安倍派を集中捜査へ 国会会期末後に聴取本格化」と題した記事を報じました。当該記事によれば「自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、東京地検特捜部が、政治資金規正法違反(不記載、虚偽記載)容疑で刑事告発された主要5派閥のうち、最大派閥の清和政策研究会(安倍派)を集中的に捜査する方針であることが関係者への取材で判明した」「還流資金を裏金化した議員は10人超にとどまらず、数十人規模に上るとされる。中には数千万円の還流を受けていた議員もいるとされ、裏金の総額は数億円に膨らむ可能性がある」「特捜部は臨時国会の会期末(13日)後に、裏金化が疑われる議員側への聴取を本格化させる方針」とのことです。
今回の「自民党の政治資金パーティー問題」は、政官財を巻き込む戦後最大級の贈収賄事件に発展した、1988年の「リクルート事件」級の規模の政治スキャンダルになる可能性が高そうです。そうなると、国会が紛糾し、重要政策や2024年度予算案などへの悪影響は不可避です。また、人事などを巡って自民党内での政局が発生し、岸田内閣の政権運営が立ち行かなくなるリスクも高まります。
海外投資家は「投資先の国の政治リスク」を極端に嫌気すると言われています。このため、今後の特捜部の捜査の進展次第では、海外投資家の日本株売りの加速を警戒しておく必要があります。
ただし、すでに海外投資家は日本株を売り越しています。11月第5週(11月27日~12月1日)の投資部門別株式売買動向では、海外投資家は日本株(現物株)を2週連続で売り越しており、売り越し額は3687億円でした。同じく11月第5週の先物の投資部門別売買動向(日経平均先物、TOPIXX先物、ミニ日経平均先物、ミニTOPIX先物の合計)でも、海外投資家は2週連続で売り越し、その売り越し額は322億円でした。つまり、この週の海外投資家は、現物・先物の合算では4010億円の売り越しでした。この海外勢の売り姿勢が、政治リスクの高まりで一段と加速されるようだと、日本株の上値は相当重くなると覚悟しておく必要があります。
テクニカル的に見ても、12月12日の日経平均株価は続伸したとは言え、25日移動平均線(12日時点で3万3065.32円)を下回っています。12日時点の25日移動平均線は「上向き」を維持していますが、今後、25日移動平均線が下向きに転じて「日経平均株価が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線自体が下向き」になるようだと、調整が長期化・深刻化する可能性が高まる見通しです。
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堅調な米国の株式市場が日本株を下支えするも、
「節税売り」も考慮して年内は無理をしないのが正解
一方、日本株の下支え要因は、堅調な米国の株式市場です。今後に関しては、米国株が大崩れしない限り、日経平均株価は調整したとしても、下値不安が強まることはないとも見ています。
ちなみに、12月11日のNYダウは3営業日続伸し、前週末比157.06ドル(0.43%)高の3万6404.93ドルと、2022年1月以来の高値で取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も3営業日続伸し、同28.51ポイント(0.20%)高の1万4432.49ポイントと、2022年4月以来の高値でした。そして、S&P500種株価指数も3営業日続伸し、同18.07ポイント(0.39%)高の4622.44ポイントと、2022年3月以来の高値となりました。
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米国株が堅調なのは「インフレが鈍化し、FRBが2024年の前半にも利下げに転じるとの観測が強まっていること」と「米国経済のソフトランディング期待が高まっていること」です。
そうは言っても、日本は「政治リスク」を抱えているうえ、12月は毎年恒例の個人からの“節税売り”が出る見通しのため、日本株の上値は重いでしょう。よって、年内はあまり無理せずに、積極的な運用は避けた方がよさそうです。結論として「年明けから、本気出す」ことをおすすめします。
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