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米国の長期金利の低下により米国株は堅調に推移し、
NYダウとナスダックはそろって8日続伸に!
米国株が非常に強い動きを続けています。12月18日のNYダウは小幅ながら8日続伸し、前週末比0.86ドル高の3万7306.02ドルと、連日で過去最高値を更新。ナスダック総合株価指数も8日続伸し、同90.89ポイント(0.61%)高の1万4904.81と、2022年1月以来の高値で取引を終えました。ちなみに15日までの1週間で、NYダウは1057.29ドル(2.92%)上昇し、ナスダック総合株価指数は409.95ポイント(2.85%)上昇しました。
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米国株が堅調な理由は、12月18日こそ米国10年債利回りが前週末比0.02%高い3.93%で終えたものの、米国の長期金利の低下傾向が続いていることです。
パウエル議長が「利下げ時期について議論を始めた」と発言する一方、
多くのFRB高官は「議論していない」など先走る市場を牽制
FRBは、12月13日まで開いていたFOMCで、政策金利を3会合連続で据え置きました。そしてFOMC参加者の政策金利見通しは、2024年末の中央値が4.6%と、前回9月時点の5.1%から引き下げられました。これは、現在の水準と比べ、0.25%の利下げ3回分に相当する水準です。また、2025年末の政策金利の中央値も3.6%と、9月時点の3.9%から下方修正されました。
さらに、パウエル議長がFOMC後の記者会見で、利下げの時期についての議論を始めたことを明らかにしました。これを受け、翌12月14日の米国の債券市場では、長期金利の指標となる米国10年債利回りが一時は3.88%と、7月下旬以来、およそ4カ月半ぶりの低水準をつけました。
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ただし、12月15日にウィリアムズNY連銀総裁は、パウエル議長の「利下げについて議論した」との発言を否定し、2024年3月に利下げする可能性について「市場はさまざまな要因に強く反応する。考えることすら時期尚早」と述べています。また、クリーブランド連銀のメスター総裁は18日付の英・フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、「市場は少し先走っている」と大幅利下げの市場の織り込みにクギを刺しました。そして、シカゴ連銀のグールスビー総裁は18日に米・CNBCに出演し、12〜13日のFOMCでは今後の利下げについて「議論していない」と強調しました。
このように、多くのFRB高官の発言は、利下げの織り込みで先走る市場を牽制しようというムードが強まっています。よって、今後の米国の金利に関しては、現在の水準からさらに低下し続けることはないでしょう。
金融政策決定会合は終わったが、金融政策の変更は時期尚早!
日銀が政策修正するタイミングは「2024年の春以降」の見通し
一方、円高の進行を主因に、日本株は米国株の上昇に連れ高(連動して上昇すること)できていません。
12月14日の東京外国為替市場では、一時1ドル=140円91銭まで上昇する場面がありました。日米金利差の縮小を見込んだ円買い・ドル売りが入った結果です。
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この円高を受け、東京株式市場では、輸出企業の採算悪化の懸念が強まり、外需株への売り圧力が強まりました。実際、12月18日の日経平均株価は、前週末比211.57円(0.64%)安の3万2758.98円と反落。前週末15日の米国株が強かったにもかかわらず、弱い動きとなりました。東証グロース市場250指数も、前週末比4.69ポイント(0.69%)安の672.88ポイントと軟調でした。グロース株については、個人からの“節税売り”が出ていると観測されています。
ただし、日銀は18〜19日の日程で金融政策決定会合を開き、大規模な金融緩和策の維持を決めました。これを受けてドル/円相場が円安に振れ、日経平均株価は反発。12月19日の日経平均株価は前日比460.41円(1.41%)高の3万3219.39円で終えました。
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今回の金融政策決定会合で日銀は、マイナス金利政策の解除は見送り、イールドカーブ・コントロール(YCC)やETFの買い入れといった措置も現状のまま維持しました。日銀は、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高いなか、経済・物価・金融の情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形での2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していくとのことです。そして、引き続き企業などの資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じるとの方針を堅持しています。
そもそも、現時点において、日銀が政策修正に動くことには無理がありました。10月の毎月勤労統計調査によれば、1人あたりの実質賃金は前年同月比2.3%減で、19カ月連続のマイナスでした。つまり、物価高に賃金上昇が追いつかない状況が続いています。そのため、今回の会合で、日銀が大規模な金融緩和策を維持したことは当然の帰結と考えます。
日銀が金融政策を修正するタイミングは、やはり、来年の春闘の行方が見極められるようになる「春」以降ということになりそうです。
海外投資家がクリスマス休暇に入ったことで、
「フラッシュクラッシュ」が発生しやすい相場環境に
それはさておき、前週末の12月15日は、米国の株式市場が「クアドルプル・ウイッチング・デー」でした。これは、日本の先物・オプションのメジャーSQのような需給面でのビッグイベントです。このビッグイベントを通過したため、キリスト教系の海外投資家は本格的にクリスマス休暇入りしたはずです。
その結果、今週は、世界的に市場全体の流動性が低下して、フラッシュクラッシュ(短い時間に突然相場が大きく動く現象)が起きやすくなっています。よって、今週から年末年始にかけ、投資家は、為替市場や金融市場が変動しやすくなっていることに留意する必要があります。
「円安」と「政治リスクの高まり」、さらに「節税売り」を考慮し、
年内受け渡し最終日の12月27日までは無理な売買を避けよう!
最後に、日本株が米国株よりも弱い動きを続けている理由には「円高による輸出企業の採算悪化懸念」に加えて、「政治リスクの高まり」があります。これに関しては、自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、東京地検特捜部が12月19日、安倍派と二階派の事務所に強制捜査に乗り出しました。東京地検特捜部が刑事事件として立件するかどうかの判断に向けて、重大な局面を迎えていると言えるでしょう。
さらに、需給面を見ると、小型グロース株に関しては、毎年恒例の個人からの“節税売り”が駆け込み的に出てくる見通しです。
以上のことから、年内受け渡し最終日の12月27日までは無理に売買をせず、様子見に徹したほうが無難です。積極的な株式運用は来年受け渡しとなる28日からにしたほうがよいでしょう。そして、リスクをより避けるならば、自民党の派閥の政治政治資金パーティーを巡る問題の行方にある程度の見通しが立ってからにするべききと考えます。
とにかく今は、無理して投資するタイミングではないと見ています。つまり「休むも相場」です。下手に動いて「種銭を溶かす愚」は、くれぐれも避けてください。
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