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日本株を押し上げてきた海外投資家の買い越し額が減ったことで、
先行きの不安は少ないものの、さらなる上昇のエネルギーは減少か
海外投資家の日本株の買い越し額が、やや細ってきています。1月第3週(15〜19日)の投資部門別株式売買動向(東証と名証の合計)では、海外投資家は3週連続で買い越したものの、買い越し額は3841億円と、前週の9557億円の買い越しから額が大幅に減少。また、1月第3週(15〜19日)の先物の投資部門別株式売買動向でも、海外投資家は2週連続で買い越したものの、買い越し額は130億円と前週の4881億円から大幅に減りました。
現物にしても先物にしても、売り越しに転じたわけではないので、先行きに関してはそれほど心配していません。しかしながら、買いが細ったことで、足元の相場水準からさらに一段高(上げ相場のとき、さらに上昇すること)するエネルギーは乏しくなったと認識しています。
「インテル・ショック」をきっかけに日本株も調整局面に!
ただし先安観が強まって中長期的な下落相場になるリスクは低い
日米ともに上昇相場の牽引役だった「半導体関連銘柄」についても、調整入りが濃厚です。
調整入りのきっかけは、米国の半導体大手・インテル(INTC)の弱気見通しでした。インテルは、現地時間の1月25日夕方、2024年1〜3月期の売上高が122億〜132億ドルになりそうだと発表。パソコン用やAI用の半導体需要は伸びるものの、予想の上限でも市場予想の141億ドル程度を大きく下回りました。この弱気見通しが嫌気され、翌26日のインテルは前日比5.90ドル(11.91%)安の43.65ドルと、大幅安で取引を終えました。そしてインテルの急落の影響もあり、同日のSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は同130.15(2.91%)安の4342.10で取引を終えたのです。
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ただし、週明け1月29日のSOX指数は前週末比46.17(1.06%)高の4388.27と反発したので、先行きに対してそれほど悲観することはないでしょう。実際、29日のインテルの株価も前週末比0.19ドル(0.44%)高の43.84ドルと小幅ながら反発し、下げ止まっています。
前週の半導体関連株の調整の震源地であるインテルが下げ止まったことで、日米の株式市場におけるハイテク株安に歯止めが掛かる可能性が高まったと見ています。
ちなみに、インテルは日本時間の1月26日早朝(米国の25日夕方)の時間外取引で大幅安となっていたため、26日の東京株式市場では半導体関連株が一斉に売られ、まさに「インテル・ショック」の様相を呈しました。その結果、26日の日経平均株価は前日比485.40円(1.34%)安の3万5751.07円と大幅に反落し、心理的節目の3万6000円を割り込んで取引を終えました。
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1月26日の安値は3万5687.58円でした。つまり、23日の高値3万6984.51円から1296.93円(3.51%)も下落する場面がありました。このことから、現在の日本株は短期的な調整(スピード調整)局面に入っていると見てよいでしょう。なお、29~30日にかけて日経平均株価は小幅ながら2日連続で上昇し、30日の終値は3万6065.86円となっています。
日経平均株価の下値メドは、25日移動平均線(30日時点で3万4834.06円)を想定しています。あくまでも、中長期の上昇局面における短期的な調整であり、先安観が強まって中長期的な下落相場に転じるとは思っていません。
なぜならば、国内企業の資本効率の改善への期待が根強く、新たなNISA(少額投資非課税制度)口座を経由した個人投資家の資金流入も引き続き見込めるからです。また、年初から急ピッチに買い越した海外投資家の日本株買いも、足元では減速しているとはいえ、中長期的に継続されると見ていることも、強気維持の理由です。
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1月31日の米・FOMCでは利下げが見送られる見通しで、
むしろパウエル議長からは早期利下げを牽制する発言が出るリスクが
ところで、FRBは1月31日にFOMC(米国連邦公開市場委員会)の結果を発表します。
1月26日発表の2023年12月の米・個人消費支出(PCE)物価指数は、食品とエネルギーを除くコアが前年同月比で2.9%上昇。伸びは前月から鈍化し、市場予想の3.0%上昇も下回って2021年3月以来の3%割れとなりました。
PCEは、FRBが物価指標として重視していると言われています。PCEを見る限りインフレの鈍化傾向が続いていることから、FRBはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25〜5.50%で維持すると見込まれています。市場の見込み通りなら、FOMCは4回連続で政策金利を据え置くことになります。
なお、市場では「3月のFOMCで利下げを始める」との見方があります。しかしながら今回のFOMCでは、パウエルFRB議長が利下げ開始時期の明確な言及を避け、早期の利下げを牽制する発言をするリスクが残ります。そのケースでは、米国の長期金利が上昇し、米・ハイテク株が利益確定売りに押される可能性があるため、警戒しておく必要があるでしょう。
FOMC後の議長会見では、保有資産を減らす「量的引き締め(QT)」に関する質問も挙がると予想されています。QTに関して踏み込んだ発言があれば、それも市場を動揺させる材料になり得ます。ちなみに、QTに関する計画は、次回3月のFOMCで公表されると見られているようです。
今週は、アップル、アマゾンなど大手ハイテク企業の決算や
米・雇用統計の発表が要警戒材料となり、市場は様子見ムードに
今週は、米国で大手ハイテク企業の決算が相次ぎます。具体的には、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOG)が1月30日、アップル(AAPL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)が2月1日に決算を発表する予定です。
これら大手ハイテク企業の好調な業績は株価にすでに織り込まれていると見られ、余程のサプライズ決算とならない限り、当面の“好材料出尽くし”となる可能性があります。よって、大手ハイテク企業の決算もFOMC同様に要警戒材料と言えるでしょう。
さらに、週末2月2日には1月の米・雇用統計が発表される予定です。1月の米・雇用統計の市場予想では、非農業部門の雇用者数が前月比18万人増と2023年12月の21万6000人増より減少し、失業率が3.8%(2023年12月は3.7%)とされています。この市場予想から実際の数値が大幅に外れない限り、金融市場が大きく動揺することはないでしょう。ただし、実際に結果がはっきりするまで、多くの投資家は積極的な買いを手控える見通しです。
このように、今週は警戒材料・買い手控え材料が目白押しのため、米国株の上値は重そうです。そしてそれは、日本株の上値の圧迫要因となります。
決算発表シーズンが一巡する2月中旬以降、
日本株は再び上昇トレンドに回帰する見通し!
なお、日本では、3月決算企業の第3四半期決算が本格化しています。決算発表に関しては、2月9日の616件、13日の459件、そして14日の631件で一巡する予定です。決算発表が一巡した後は企業業績への不透明感が払拭される見込みのため、日本株の調整は2月中旬で終了し、その後、再び上昇トレンドに回帰すると見ています。
いずれにせよ、押し目買いを基本戦略に「強気」を維持して相場に臨むことをおすすめします。
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