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米国では着実に「ディスインフレ」が進行中ではあるが、
6月11〜12日のFOMCでの利下げは見送られる見通し
日米の金融市場は、ここに来てFRBと日銀の金融政策の行方に対して、一段と神経質になっているように感じます。
まず米国についてですが、5月31日に発表された4月の米・個人消費支出(PCE)価格指数は、食品とエネルギーを除くコア指数が前月比0.2%上昇と予想と一致し、前月の0.3%上昇から伸びが鈍化して今年に入って最も低い伸びとなりました。また、インフレ調整後の実質PCEは0.1%減と、予想外のマイナスになりました。
そして、6月3日に発表された5月のISM製造業景況感指数は48.7と市場予想の49.6を下回り、4月の49.2から悪化しました。好不況の境目とされる50を下回るのは、2カ月連続のことです。
このように、米国経済のディスインフレ(物価の上昇率が鈍化している状態)は進行中です。
しかしながら、市場は「FOMCはインフレが一段と鈍化するとの確信を強められる指標を辛抱強く待つ可能性が高い」と見ています。おそらく、6月11~12日のFOMCでは現状の政策を据え置くだろうと考えられます。
なお、現時点においての利下げ時期に関する市場予想は、11月5日が2024年アメリカ合衆国大統領選挙のため11月6~7日のFOMCでは回避され、9月17~18日のFOMCと12月17~18日のFOMCの両方で実施される、あるいは、どちらか1回だけとの見方が大勢のようです。
6月7日の米・雇用統計が市場予想から大幅に上振れすると、
株式市場が荒れる可能性もあるので要注意!
ちなみに、FOMCが開催される前々週の土曜日からFOMC終了時まで、FRBの関係者が金融政策に関して踏み込んだ発言をしてはならない「ブラックアウト期間」です。つまり、すでに6月1日からブラックアウト期間に入っています。このため、当面は、FRB理事や連銀総裁らの発言で、米国の金融市場が大きく動くことはないでしょう。
ただし、6月7日発表予定の5月の米・雇用統計が市場予想から大幅に上振れするようだと、相場は荒れるかもしれません。ちなみに市場予想は、非農業部門の雇用者数の変化が19.0万人増(前月は17.5万人増)、失業率が3.9%(前月は3.9%)、平均時給(前年比)がプラス3.9%(前月はプラス3.9%)のようです。
■5月の米・雇用統計の市場予想 | |
非農業部門の雇用者数の変化 | 19.0万人増(前月は17.5万人増) |
失業率 | 3.9%(前月は3.9%) |
平均時給(前年比) | +3.9%(前月は+3.9%) |
一方、日本では、日銀の金融政策正常化プロセスを巡る不透明感が強まっています。
日銀は、6月13~14日に金融政策決定会合を開きますが、今回の会合で「国債買い入れなどに関する何らかの方針(国債買い入れの減額の有無、減額の規模やペースなど)」や「円安進行による輸入インフレ再燃への対応としての利上げの可能性」などを示す可能性が高いと見られています。結果として、金融政策決定会合後に今後の金融政策に関する方針が正式に発表されるまで、日本円の債券市場では長期金利が高止まりする見通しです。
なお、QUICKが6月3日に公表した5月の債券月次調査では、日銀の次の利上げ時期について「7月」と予想する市場参加者が最も多かったとのことです。
日米の長期金利の高止まりを背景に、当面は
「バリュー株有利・グロース株不利」の構図が継続
このような日米の長期金利の高止まりを主因に、割高なグロース株は避けたほうが無難と私は考えています。一方、低PER、低PBR、高配当利回りのバリュー株には資金流入が見込めると見ています。よって「バリュー株有利・グロース株不利」という物色の構図が、当面は継続する可能性が高いでしょう。
とりわけ、グロース株のうち時価総額の小さい小型株については、個人投資家が好んで信用取引を活用して売買するとされています。ちなみに、信用評価損益率は5月24日申し込み時点でマイナス7.17%と、4月19日時点(マイナス7.64%)以来、約1カ月ぶりの水準に悪化したようです。また、5月24日の信用買い残は4兆7400億円と高水準です。つまり、信用需給は悪いままなので「信用買い残が積み上がり、かつチャートが悪化した銘柄」には決して近づかないようにしましょう。
結論として、当面の運用戦略として「個人好みよりも機関投資家好み」「グロースよりもバリュー」「小型よりも大型」とのルール・判断基準を明確にしたうえで、相場に臨むべきと考えています。
日経平均株価は、短期のリバウンドが発生中だが、
上値が重く下値も堅い「ボックス相場」が続く見通し
日経平均株価に関しては、6月4日の終値は3万8837.46円と、5日移動平均線(4日時点で3万8571.88円)と25日移動平均線(同3万8552.71円)をともに上回っています。一方、75日移動平均線(同3万8980.19円)は下回っています。
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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つまり、現状は「日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線が上向き」となっているため、短期の自律反発(リバウンド)が発生中との認識です。しかし「75日移動平均線を上回り、かつ5・25・75日移動平均線によるパーフェクトオーダー(移動平均線がすべて上向きで、かつ上から短期・中期・長期の順に並んでいる状態)」が実現するまで、本格的な上昇トレンドは確認できません。よって「5・25・75日移動平均線によるパーフェクトオーダー」が確認できるまでの日経平均株価は、上値が重い一方、下値も堅い「ボックス相場」が継続する可能性が高いと考えています。
ただし「日経平均株価が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線が下向き」に変化したら、急落リスクが高まります。そのケースでは、リスク管理・資金管理を厳格にして、生き残ることを最優先にしてください。
小型グロース株は当面、売買対象から外して
じっくりと「底入れのタイミング」を待とう!
一方、深刻なのは東証グロース市場250指数(旧マザーズ指数)です。6月4日の終値は631.29ポイントと、5日移動平均線(4日時点で614.41ポイント)は上回っているものの、25日移動平均線(同633.83ポイント)と75日移動平均線(同694.09ポイント)をすべて下回っています。なお、25日移動平均線は5月15日以降、75日移動平均線は4月16日以降、下降を続けています。つまり、東証グロース市場250指数は中長期の下落トレンドが継続・発生中と認識しています。
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よって今後「東証グロース市場250指数が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線が上向き」となるまでは、少なくともグロース株は手出し無用と考えます。
ただし、永遠に下がり続ける相場はありません。東証グロース市場250指数もそうなるはずです。このため、今は投資対象にしなくとも重大な関心を持って監視を続け、底打ちのタイミングを計ってください。底打ち局面で上手に買いエントリーができれば、大きな値幅をゲットできる可能性が高いからです。
小型グロース市場に関しては、まさに今は「休むも相場」という格言が当てはまる局面でなので、とにかく「底入れのタイミング」を待ちましょう。それまでは大型バリュー株で懸命に戦い、収益獲得を目指して成り上がってください。読者の皆様を心より応援しています。
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