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5月の米・雇用統計の結果が予想以上に強かったことから、
FRBによる利下げ開始が9月以降に延期される見通しに!
6月7日に発表された5月の米・雇用統計が驚くほど強かったことを受け、シティグループ(C)とJPモルガン・チェース(JPM)は「7月に米国の利下げが開始される」という予想を撤回しました。具体的には、シティグループは「9月に利下げ開始」に、JPモルガン・チェースは「11月に利下げ開始」に修正しました。
5月の米・雇用統計では、失業率が前月の3.9%から上昇し、2022年1月以来となる4.0%となりました。しかしながら、非農業部門の雇用者数は前月比27万2000人増と市場予想の19万人増を大幅に上回り、平均時給も前月比の上昇率が0.4%と市場予想の0.3%を超えて伸びました。
米国では4月以降、インフレの鈍化傾向や経済の減速を示す経済指標の発表がいくつかあったため、早期利下げ観測がささやかれていました。しかし、5月の雇用統計で労働市場の逼迫が続いていることが示されたため、経済活動とインフレの減速を示すさらなる指標が相次ぐまでは、FRBが利下げ開始を決めることはなさそうです。
なお、これは高金利状態にもかかわらず、米国経済が強いことを示しています。つまり、「スタグフレーション」を危惧する必要がないため、米国の株式市場は底堅く推移する見通しです。
FRBの利下げ開始が遠のく一方、ECBは6月に利下げを実施!
利下げは、今後の欧州の株式市場にとって下支え要因に
このような状況下、FRBは6月11~12日にFOMCを開きます。インフレはやや減速しつつも依然として高水準に留まっているため、政策金利は2001年以来の高水準である年5.25~5.50%を7会合連続で据え置く見通しです。また、会合後に公表する「ドットチャート」では、年内の利下げ想定回数を3月時点の3回から減らし、利下げ開始を急がない姿勢を示すと見られています。このため、年内の利下げ想定回数が減ったとしても、それはある程度織り込み済みであり、米国の金融市場が動揺することはないでしょう。
一方、ECBは6月6日の理事会で、主要政策金利を4.5%から4.25%へ、中銀預金金利を4%から3.75%へと、それぞれ0.25%の引き下げを決めました。ECBは中銀預金金利を9カ月にわたって過去最高の4%で維持していましたが、インフレの見通しが著しく改善したとの判断から利下げに踏み切りました。
なお、ラガルドECB総裁は、記者会見で「今日から利上げを巻き戻す段階に移行するのかと聞かれれば、そうだとは言わない。その可能性は極めて高いが、データ次第だろう」と述べ、ガイダンスの明示を避けました。今回のECBの利下げ決定やラガルド総裁の発言内容は市場の予想通りだったので、市場は冷静に受け止めていると思います。そして、ECBの利下げは、今後の欧州経済および株式市場にとって下支え要因となるはずです。
6月13〜14日の日銀・金融政策決定化合では、政策金利が維持される
見通しのなか、「国債買い入れ減額」の判断に注目が集まる
そして、3月の金融政策決定会合でマイナス金利を含む異次元緩和策を終え、政策金利(無担保コール翌日物)を0〜0.1%程度に引き上げ、イールドカーブ・コントロール(YCC)も撤廃した日銀は、6月13〜14日に次の金融政策決定会合を開きます。
前回の4月会合では3月会合の政策を据え置きましたが、今回の6月会合でも政策金利を維持する見込みです。ただし、今回の会合では、国債買い入れの減額を判断するか否かが注目されています。
日銀は3月に国債の買い入れ額については6兆円を維持しましたが、植田総裁は6月6日、国会に出席して「(国債の買い入れの方針について)3月の金融政策の枠組み変更のあとの金融市場の状況を確認しているところで、今後、大規模な金融緩和の出口戦略を進めていくなかで減額することが適当だと考えている」と述べました。なお、仮に減額を決めたとしても、長期金利が急騰した場合の対応策を示す可能性が高いため、金融市場が激しく動揺することはないと見ています。
そうは言っても、国債買い入れ額の減額決定なら、短期的には国債が売られて長期金利が上昇したり、為替が円高に振れて輸出関連株や借入額の大きい銘柄への売り圧力が強まる可能性が残ります。万が一そうなっても、くれぐれも相場の急変動に驚いて悪手は打たないようにしてください。そのためにも、金融政策決定会合の結果が発表されるまでに、頭のなかでさまざまなケースをシミュレーションしておいて「急変動の発生」に備えておいてください。
なお、日本は米国とは違って景気の腰が弱いので、金利の先高観は現時点において、ほぼ皆無と見ています。というのは、実質賃金のマイナスが継続中なうえ、自動車の量産に必要な認証「型式指定」を巡って新たに不正行為が見つかったことで、先行きの企業の生産活動が低迷する可能性が高いからです。
ちなみに、6月10日に発表された2024年1~3月期GDPの2次速報は、実質で直前の四半期(2023年10~12月期)より0.5%減りました。年率換算は1.8%減となり、5月発表の1次速報の2.0%減から上方修正されたものの、2四半期ぶりのマイナス成長に変わりはありませんでした。
また、6月10日発表の景気ウォッチャー調査(2024年5月調査)では、5月の現状判断DI(季節調整値)は、前月差1.7ポイント低下の45.7でした。家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のすべてのDIが低下したことから、3カ月連続の低下となりました。さらに、2~3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは、46.3でした。こちらも家計動向関連や企業動向関連、雇用関連のすべてのDIが低下したことから、前月を2.2ポイント下回りました。
この結果に対して、内閣府は「景気は、緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる。また、令和6年能登半島地震の影響もみられる。先行きについては、価格上昇の影響などを懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている」とまとめています。しかしながら、私は「景況感の悪化」が続いているとの認識です。
日経平均株価は、上値を追うことは難しい一方、
欧米経済が良好なため下値も堅い膠着した相場展開に!
このような状況下、6月10日の日経平均株価は反発し、終値は前週末比354.23円(0.92%)高の3万9038.16円と終値で3万9000円台を回復し、5月23日以来の高値に。翌11日は続伸し、終値は前日比96.63円(0.25%)高の3万9134.79円で終えました。
しかしながら、6月10日は東証プライムの売買代金が概算で今年最低の3兆3195億円と、2023年12月29日以来の低水準でした。また、翌11日の売買代金も3兆5423億円に留まりました。
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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6月11〜12日にFOMC、13〜14日に日銀の政策決定会合、そして14日に株価指数先物・オプションのメジャーSQ算出を控え、多くの投資家が様子見姿勢を崩していません。そのためエネルギー不足となり、日経平均株価が上値を追うことは難しいでしょう。その一方、欧米経済が良好なため、下値も堅いと見ています。結果的に、日経平均株価は値動きが少ない膠着した状態となる見通しです。
このような投資環境では、SQ算出後に当面の不透明要因が一切なくなるため、SQ算出後の押し目を狙うことを推奨します。
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