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株価上昇により時価総額1位となったエヌビディアは、
1999年1月のIPOから25年で「59万1078%」ものリターンを記録!
最近、一部の「勝ち組銘柄」の株価上昇が止まらず、勢いが勢いを呼ぶことを意味する「MOMO(More Momentum)」という新ワードが誕生したそうです。「取り残される恐怖」を意味する「FOMO(Fear of Missing Out)」という言葉は知っていましたが、「MOMO」は「FOMO」よりも「その銘柄を買わないと取り残される」というニュアンスを強調した言葉のようです。
「MOMO」という新語誕生のきっかけとなった銘柄は、おそらくエヌビディア(NVDA)でしょう。エヌビディアは6月18日に時価総額が3兆3400億ドルに増大し、マイクロソフトを抜いて時価総額世界1位となりました。
ブルームバーグによれば「同社がここ四半世紀で最もパフォーマンスの高い銘柄となり、再投資された配当金を含めて新規株式公開(IPO)以来、59万1078%のトータルリターンを記録した」とのことです。エヌビディアの上場は1999年1月なので、25年6カ月で約5900倍。まさに「化け物銘柄」と言えます。
米国では、足元でテクノオジー株の上昇が一服し、
景気敏感株やバリュー株が物色される流れに!
ここ最近のエヌビディアの株価上昇の理由は、「巨大な上場投資信託(ETF)で組み入れ比率が引き上げられる」という観測でした。具体的には、エヌビディアの保有を比較的低い比率に抑えてきた、世界最大級のテクノロジーETF、テクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンド(XLK)が、6月末近くに四半期ごとのリバランスを実施する際、エヌビディアの保有比率を大幅に引き上げる可能性があることが伝わりました。
また「エヌビディアが10対1の株式分割(権利付最終日:現地時間2024年6月7日、権利落日:現地時間2024年6月10日)を受け、半導体大手のインテル(INTC)に取って代わり、NYダウに採用される」との観測が浮上したことも買い材料となりました。
なお、エヌビディアは6月20日に140.76ドルの最高値を付けましたが、当日の終値は前日比4.8ドル安の130.78ドルでした。そして、その後24日まで、エヌビディアは3営業日続落。3日間の下落率は12.89%と、調整局面入りの目安である10%を超えました。ただ、短期的な過熱感があったので、当然の調整と考えています。
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また、主役のエヌビディアの株価上昇の勢いが鈍ったことで、足元ではテクノロジー株全体の上昇が一服しています。この上昇の一服は、当然かつ健全な調整と見ています。米国市場については、テクノロジー株が調整している間、景気敏感株やバリュー株が物色されることでしょう。株価指数的には「ナスダックは軟調+NYダウは堅調」という感じになると見ています。
ハイテクセクターの株価上昇が一服していても、米株式市場から資金流出(資金抜け)が起こるわけではないので、米国株については「強気」継続でいいでしょう。
「ETFの売却による益出し」と「海外投資家の日本株売り」が
足元で日経平均株価が調整を続けている要因に!
一方、足元の日経平均株価は調整を続けています。
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日経平均株価が振るわないことに関し、6月22日の日本経済が「株停滞『主犯』はETFか――5月、17年ぶり巨額流出 『債券損失を補填』の声」と題した記事を報じています。この記事によれば「5月月間の日本株ETFからの資金流出は全体で1兆2348億円。米サブプライムローン問題が浮上した2007年7月以来の規模だ。誰が大量解約したのか。個別のETFを丁寧にみると2つの説が浮かび上がる」「1つは『短期トレードの利益確定説』」「2つ目は『益出し説』だ。金融機関は新年度に入る4月から、含み益のあるETFを売却し、実現益を早めに確定することが多い。ほかの資産の損失処理の穴埋めに益出しを使うこともある」とのことでした。
私は、2つ目の理由として挙げられた「益出し」の影響が大きいと見ています。例えば、農林中央金庫は6月19日、2025年3月期に最大10兆円分の債券を損失覚悟で売却する方針を明らかにしており、連結最終損益が1兆5000億円の赤字となる可能性が指摘されています。
外債投資の失敗などの穴埋めに評価益の積み上がった日本株のETFを売却する動きは、他の金融機関でも粛々と行われている可能性が高そうですし、今後の国内長期金利の上昇過程でも「日本株のETFの益出し」が継続すると見ています。
日経平均株価が調整しているもうひとつの要因は、海外投資家の日本株売りが継続していることです。6月第2週(10〜14日)の投資部門別株式売買動向(東証・名証の合計)で、海外投資家は現物株式を4週連続で売り越しました。売り越し額は2494億円と、4月第3週以来およそ2カ月ぶりの規模です。
海外投資家の日本株売りのきっかけは、5月13日、日銀が3月に異次元金融緩和を解除して以来、初めて市場からの国債買い入れ額を減らしたことだと思っています。この減額を受け、6月13~14日開催予定の金融政策決定会合に向けて、日銀は事実上の量的引き締め(QT:Quantitative Tightening)への準備を始めたとの見方が強まりました。
そして、市場の観測通り、日銀は6月14日の政策委員会・金融政策決定会合で、長期国債買入れを減額していく方針を決定。市場参加者の意見も確認し、次回会合(7月30~31日)において、今後1~2年程度の具体的な減額計画を決定すると発表しました。そして、植田和男総裁は6月会合後の記者会見で「(減額は)相応の規模になる」と述べています。
ただし、4月分の毎月勤労統計調査(速報)によれば、実質賃金は前年同月より0.7%減り、過去最長を更新する25カ月連続減となっています。また、2024年1~3月期GDPの2次速報は、実質で直前の四半期(2023年10~12月期)より0.5%減り、2四半期ぶりのマイナス成長となりました。
海外投資家は、こんな状況(デフレ圧力が残る状況)で長期国債の買入れを減額する方針は拙速であり、景気の腰折れを誘発しかねないと警戒して日本株を売っている可能性が高いと考えています。現時点において、日銀が6月会合で決めた減額方針を変更するとは思えないので、海外投資家の日本株売りは継続する可能性が高いと見ています。
日経平均株価の上値は重いが、円安による輸出関連企業の業績アップと
インバウンド消費関連企業の収益拡大が、日本株の下値をサポート
一方、外国為替市場での円安・ドル高は、わが国の輸出企業の業績・株価への強烈な追い風です。6月24日早朝の東京外国為替市場では円相場が大きく下落し、午前9時ちょうどには一時1ドル=159円92銭近辺と4月29日(160円21銭近辺)以来およそ2カ月ぶりの安値をつけました。
ちなみに、アメリカ財務省は6月20日、貿易相手国の通貨政策などを分析する半年に1度の報告書を議会に提出し、その内容を公表しましたが、そこに、通貨を意図的に誘導する為替操作を行っていないかなどをチェックする「監視リスト」の対象に、再び日本が加えられました。日本については、大幅な対米貿易黒字と多額の経常黒字という2つの基準に該当したことが理由です。
これに関しては、6月24日に神田財務官が「米・為替報告書の影響は、断言して言うがまったくない」「日本の米・為替監視リスト入り、それ自身は問題ない」などと述べています。しかしながら市場では、日本政府は円買い介入を一段とやり難くなったとの見方が強まっています。よって、しばらくの間は円安基調が続き、これが輸出関連企業の株価と日経平均株価をサポートすることになると見ています。
また、2024年1〜3月期の訪日客(インバウンド)消費は年換算で名目7.2兆円と10年で5倍に拡大し、主要品目の輸出額と比べると自動車に次ぐ規模になったそうです。これも円安効果のひとつです。
まとめると、国内金融法人と海外投資家の売りが出ることで日経平均株価の上値は重いものの、円安による輸出関連企業の収益押し上げ効果の発現と、インバウンド消費関連企業の収益拡大期待の高まりが、日本株の下値を強力にサポートする見通しです。
よって、投資戦略としては「円安メリットの輸出関連銘柄」と「インバウンド関連銘柄」を狙うのが王道になると見ています。
逆に、円安が業績面でのメリットではない、それどころか円安が業績面でのデメリットになるような銘柄群には、決して近づかないようにしてください。なぜならば、現状は“全面高商状”ではなく、「買われる銘柄」と「売られる銘柄」の2極化が鮮明になっていると強く感じられるためで、メリハリをつけた運用を心掛けることが極めて肝要と考えています。
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