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日経平均株価が先週末の7月12日に見せた大幅下落は、
米国で大型ハイテク株の利益確定売りが加速したことが要因
7月16日の日経平均株価は先週末比84.40円高(0.20%)の4万1275.08円と反発しましたが、先週末の12日には1000円を超える大幅下落となりました。
7月12日の日経平均株価は4日ぶりに大幅に反落し、終値は前日比1033.34円(2.45%)安の4万1190.68円でした。前日の11日にはザラ場ベースの史上最高値4万2426.77円、終値ベースの史上最高値4万2224.02円をつけましたが、残念ながら12日にはその反動が出た格好です。
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7月12日の日経平均株価の反動安のきっかけは、7月11日のナスダック総合株価指数が8営業日ぶりに大幅に反落したことです。
7月11日のNYダウは小幅に続伸し、前日比32.39ドル(0.08%)高の3万9753.75ドルと、この日の高値3万9875.60ドルからは伸び悩んだものの、前日比プラスで終えました。しかしながら、ナスダック総合株価指数の終値は、前日比364.04ポイント(1.95%)安の1万8283.41ポイントでした。
7月11日のナスダック総合株価指数は、前日まで7日連続で過去最高値を更新していたことで、過熱していました。このため、これまで堅調だった大型ハイテク株を中心に利益確定売りが加速しました。
米国のインフレ率は依然として「2%目標」を上回っているが、
FRBは景気悪化に配慮する「ややハト派的なスタンス」に!
ところで、7月11日に発表された米国の6月の消費者物価指数(CPI)は前月比でマイナス0.1%と、市場予想の0.1%の上昇に反して2020年5月以来のマイナスとなりました。また、コアCPIは、前月比0.1%の上昇と伸びが前月の0.2%から鈍化し、市場予想の0.2%も下回って2021年8月以来最小に。前年同月比では3.3%と、2021年4月以来の低水準となりました。変化が遅く「粘着性がある」と表現される「家賃」の伸びが0.3%と2021年8月以来最小の水準に鈍化したことが、コア指数の上昇を抑制しました。
6月のCPIが市場予想を下回る伸びとなってFRBが9月の利下げに動くとの観測が強まったことで、11日のNY債券市場で長期債相場は続伸。米国10年債利回りは、一時4.16%と約4カ月ぶりの水準に低下し、最終的に前日より0.07%低い4.21%で取引を終えました。
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本来「CPIの伸び鈍化⇒米国の長期金利低下」は、高PER(株価指標で割高)のハイテク株には好材料です。しかしながら、7月11日に関しては「目先の好材料出尽くし」となったようです。
おそらく、現状の米国経済の状況に対する市場の認識は「ディスインフレーション(インフレーションからは抜け出た一方で、デフレーションにはなっていない状況)」でしょう。
このような状況下、FRBのパウエル議長は7月9日の議会証言で「(米国経済は)もはや過熱した状態ではない」「インフレだけがリスクではない」と述べています。つまり、インフレ率は依然としてFRBの「2%目標」を上回っているものの、長期間の高金利による景気の加速度的な悪化に配慮する姿勢(ややハト派的なスタンス)を明確にしています。これは米国の経済と株式市場にポジティブな材料と考えています。
トランプ前大統領への銃撃事件の影響で、株式市場では
トランプ関連銘柄が急騰する「トランプ・トレード」が発生!
9月の利下げ期待の高まりから、7月12日のNYダウは前日比247.15ドル(0.6%)高の4万.90ドルで引け、5月17日の4万3.59ドル以来、約2カ月ぶりに4万ドルを回復しました。そして、週明け15日のNYダウは4営業日続伸し、前週末比210.82ドル(0.53%)高の4万211.72ドルと、終値として約2カ月ぶりに過去最高値を更新しました。
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一方、12日のナスダック総合株価指数は反発し、同115.04ポイント(0.63%)高の1万8398.44ポイント。そして15日は続伸し、同74.12ポイント(0.40%)高の1万8472.57ポイントでした。高値波乱となっていたナスダックも落ち着きを取り戻しています。
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7月15日の米国の株高に関しては、13日に発生した「トランプ前大統領への銃撃・暗殺未遂事件」と「負傷直後にもかかわらず、力強く拳を突き上げるトランプ氏の姿」が主な要因と感じています。
銃撃事件後、トランプ氏によって設立されたトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(DJT)の株価が急騰(7月15日早朝の時間外取引では一時、前週末比で約70%上昇。15日は約30%上昇で取引を終了)するなど、株式市場ではトランプ氏が新大統領になった場合に恩恵を受ける可能性が高い銘柄群が買われる「トランプ・トレード」が起きました。具体的には、防衛関連企業、銃器メーカー、民間刑務所の運営会社、暗号資産の採掘会社などが「トランプ関連銘柄」と言われています。
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中小型株で構成される株価指数「ラッセル2000」の上昇など、
米国市場では大型ハイテク株への一極集中の緩和が進む
なお、米国株式場に関して、現在最も注目されている指数は、中小型株で構成される株価指数の「ラッセル2000」です。ラッセル2000はナスダック総合株価指数が1.95%安となった7月11日、前日比73.29ポイント(3.57%)高の2125.04ポイントとなったことで注目を集めました。
ラッセル2000が7月11日に大幅高となった主な要因は、大型ハイテク株に対する出遅れ修正と見ています。ラッセル2000は翌12日も上昇し、同23.23ポイント(1.09%)高の2148.27ポイント、そして週明け15日は4日続伸し、前週末比38.75ポイント(1.80%)高の2187.02ポイントでした。
大手ハイテク株への一極集中となっている米国の株式市場で、物色のすそ野が中小型株に広がっている様子が窺えます。米国株式市場の足腰が一段と強化された見るべきでしょう。
日本市場でも出遅れていたグロース市場に資金が流入し、
「VTuber」「バイオ」「生体認証・個人認証」などの関連銘柄が上昇
一方、日本でも同様に、過熱気味に買われていた大型ハイテク株が調整する一方で、中小型株に見直し買いが入りました。
具体的には、日経平均株価が1033.24円(2.45%)安となった7月12日、東証グロース市場250指数(旧マザーズ指数)は前日比21.27ポイント(3.24%)高の677.13ポイントで取引を終了。連休明けの16日も続伸し、前週末比4.20ポイント(0.62%)高の681.33ポイントで終えました。
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7月12日は、東証プライム市場で、半導体関連を中心に大型のハイテク株が売られましたが、その一方で、相対的に出遅れていた新興市場の中小型のグロース株に、出遅れ修正の買いが入りました。
また、外国為替市場で円安が一服したことも、中小型のグロース株への買い材料になりました。というのは、中小型のグロース株の多くが内需系銘柄だからです。ちなみに、7月12日の東証グロース市場での売買代金ランキングは以下の通りでした。
■7月12日の東証グロース市場・売買代金ランキング
1位:カバー(5253)
2位:セルシード(7776)
3位:エヌ・ピーシー(6255)
4位:クオリプス(4894)
5位:ELEMENTS(5246)
6位:QPS研究所(5595)
7位:GENDA(9166)
8位:シンバイオ製薬(4582)
9位:ペルセウスプロテオミクス(4882)
10位:ウェルスナビ(7342)
テーマ別にザックリまとめると、VTuber関連、バイオ関連、生体認証・個人認証関連、宇宙関連、そして資産運用関連です。グロース市場では、当面これらのテーマに合致した銘柄群が物色される可能性が高いと見ています。
テクニカル的には、7月16日の東証グロース市場250指数の終値は681.33ポイントと、5日移動平均線(16日時点で665.35ポイント)と25日移動平均線(同649.26ポイント)をともに上回っており、また両線ともに上向きです。そのため、短期の上昇トレンドが発生中と認識しています。
今後、東証グロース市場250指数の75日移動平均線(同652.63ポイント)が上向きに転じるようなら、5・25・75日移動平均線の「パーフェクトオーダー」が実現し、中期の上昇トレンドも発生する見通しなので、ぜひとも期待したいものです。
一方、日経平均株価については、12日に大幅下落したとはいえ、連休明け16日の終値時点で4万1275.08円と25日移動平均線(同3万9819.84円)を大きく上回っています。
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今後「日経平均株価が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線自体が下向きに転じる」までは、上昇トレンドが継続すると見ています。
このように、日本株への投資環境は極めて良好です。これまで冴えない動きを続けていたグロース市場も復活の兆しが見えてきました。この好環境を生かして「爆益」を体験してください。引き続き、読者の皆様にとって最高の夏になることを、心より願っております。
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