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従来の「静止衛星」より低コストで回線遅延が生じにくい
「低軌道衛星」を使った衛星通信の活用が進む!
「衛星通信」が新たなビジネスモデルやサービスを生み出す技術として注目が集まっています。
衛星通信とは、高度数百~約3万6000キロメートルの軌道に打ち上げられた人工衛星と、地上に設置されたアンテナとで電波をやり取りして行う通信方法のことです。
以前は、地上から約3万6000キロメートル離れた静止軌道(GEO)に打ち上げられた「静止衛星」を利用して衛星通信を行っていました。しかし、静止衛星を利用する方式は、地上との距離が遠いために回線に遅延が生じやすいことが課題でした。
この課題を解決すべく、近年、活用が進んでいるのが、高度2000キロメートル以下の低軌道(LEO)を周回する「低軌道衛星」です。低軌道衛星は、静止衛星より地上との距離が近い分、通信遅延が格段に小さいことが特徴。また、打ち上げコストや製造コストが低く抑えられることも大きなメリットとなっています。
現在、低軌道衛星を使った通信の代表的存在となっているのは、米国の宇宙開発会社スペースXが提供する衛星通信サービス「スターリンク(Starlink)」です。スターリンクは低軌道を周回する数千機もの人工衛星を連携させることで、回線遅延を劇的に改善し、海上や山間部といった通信インフラが不十分な地域にも高速かつ安定した通信を提供しています。
「衛星通信」は、農業分野での活用や遠隔地の施設管理など、
新たなビジネスモデルやサービスを生み出す重要テクノロジー
最近では、AIによる衛星通信ネットワークの最適化や、再利用可能なロケット技術の実用化、さらには量子エンタングルメント(量子もつれ)を活用した量子通信技術など、次世代テクノロジーの導入によって衛星通信は大きく進化しようとしています。また、衛星通信の低コスト化や地上通信とのシームレス化が進むことで、単なる通信手段を越え、新たなビジネスモデルやサービスを生み出す可能性が広がっています。
例えば農業分野では、衛星データを活用して土壌の状態や気象条件をリアルタイムに把握し、農作業を効率化する技術が進んでいます。また、衛星通信を使った遠隔地にある施設の管理や、離島・過疎地などへの遠隔医療支援システムの導入、さらには大規模災害など緊急時における有効な通信手段の確保といったことも期待されています。
今回はそんな「衛星通信」関連銘柄に注目しました。具体的な銘柄としては、衛星通信サービスを手掛ける企業に加え、通信機器などの衛星通信に関わる設備やシステムを提供する企業を取り上げます。
【KDDI(9433)】
スペースX「スターリンク」とauスマホの直接通信実証に成功
KDDI(9433)は10月23日、米国のスペースX社が提供する衛星インターネットサービス「スターリンク」と、自社が運営するauスマートフォンの直接通信サービスの実証実験に成功したことを発表。auスマートフォンが人工衛星と直接つながることで、空が見える状況であれば、これまで圏外だったエリアでも通信可能な新サービスを提供する予定とのことです。株価は、9月3日につけた戻り高値4980円をピークに調整が続いていましたが、上向きで推移する75日移動平均線が下値支持線として機能しており、直近のリバウンドで25日移動平均線を突破。さらなる上昇に期待したいところです。
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【ソフトバンク(9434)】
衛星通信サービス「ユーテルサットワンウェブ」の提供を開始
ソフトバンク(9434)は9月3日、国内の企業や政府機関、自治体に対して、高品質な衛星通信サービス「Eutelsat OneWeb(ユーテルサットワンウェブ)」を2024年12月から提供開始すると発表しました。高度1200キロメートルという地球に近い軌道を飛ぶユーテルサット・ワンウェブ社の低軌道衛星を利用するため、高速で遅延の少ない通信を実現するとのことです。株価は、9月3日の戻り高値206.6円(分割修正済)をピークに下落が続いていましたが、直近のリバウンドで25日移動平均線を突破したことで、上昇トレンドへの転換が期待されます。
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【スカパーJSATホールディングス(9412)】
自治体や各種インフラ企業に衛星通信システムを提供
スカパーJSATホールディングス(9412)は、日本を含むアジア全域、オセアニア、ロシア、中東、ハワイ、北米などをカバーする通信衛星を保有し、衛星通信サービスを提供しています。衛星通信は、地震や台風などの大規模な災害時にも途絶する可能性が低いため、電気・ガス・石油などのライフラインを支える企業や自治体などに、防災・危機管理用の通信インフラとして導入されています。株価は、10月3日の戻り高値954円をピークに調整しており、一時は75日移動平均線を下回りました。しかし、再び75日移動平均線を上回ってきたことで、25日・200日移動平均線の突破を想定したリバウンドに期待です。
⇒スカパーJSATホールディングス(9412)の最新の株価はこちら!
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【アンリツ(6754)】
静止軌道衛星向けの試験ソリューションの販売を開始
アンリツ(6754)は、スマートフォンの動作検証や基地局の建設・保守などに使われる継続器や通信機器を手掛けています。3月27日に、基地局シミュレーターの拡張機能として、静止軌道衛星向けNTNデバイスのプロトコル試験ソリューションを開発、販売開始したことを発表しました。株価は、8月5日の急落で936.1円まで下げた後はリバウンドを見せましたが、その後は75日移動平均線が上値抵抗線として意識されています。直近でその75日移動平均線を超えてきたことから、さらなる上昇に期待したいところです。
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【日清紡ホールディングス(3105)】
グループ企業が固定型や可搬型の衛星通信システムを提供
日清紡ホールディングス(3105)は、グループ会社の日清紡マイクロデバイスが、衛星通信地球局に欠かせないコンポーネント製品を提供。同じくグループ会社の日本無線が、固定型や可搬型の衛星通信システムを手掛けています。株価は、下向きで推移する75日移動平均線が上値抵抗線として意識されるなか、直近で25日移動平均線も下回ってきました。下落トレンドが続いていますが、足元では13週移動平均線近くでの攻防を見せており、同線を上に抜けてくるようだと上昇トレンドへの転換が見込めるでしょう。
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【東京計器(7721)】
独自技術により、高精度にアンテナを制御するシステムを開発
東京計器(7721)は、計測・認識・制御機器の総合メーカーです。独自のマイクロ波応用技術と慣性センサー技術、メカニカル制御技術によって、アンテナを高い精度で制御するシステムを開発。走行する車両上という悪条件のもとで、地上から3万6000キロ離れた静止衛星に向けて正確に中継波を送信します。株価は、10月2日につけた戻り高値3670円をピークに調整が続いていますが、200日移動平均線が下値支持線として意識されるなか、上値抵抗線として機能している75日移動平均線の突破を期待した押し目狙いのスタンスで。
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以上、今回は「衛星通信」関連銘柄を発掘しました。
今後、経済成長が見込まれるインドやアフリカ諸国などでの需要増加もあって、世界の衛星通信市場は成長が期待されています。米国の調査会社フォーチュン・ビジネス・インサイツによると、世界の衛星通信の市場規模は2023年の312億2000万米ドル(約4兆6800億円)から2032年には708億9000万米ドル(約10兆6300億円)に拡大すると予測されています。
世界的に成長が期待される宇宙ビジネスのなかでも、「衛星通信」関連は大いに注目しておくべきでしょう。
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