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NYダウとナスダック総合株価指数は足元で上昇したが、
トランプ関税による不安定な状況は依然として継続中!
今週も米国市場の動向から見ていきましょう。3月17日のNYダウは続伸し、前週末比353.44ドル(0.85%)高の4万1841.63ドル、ナスダック総合株価指数も続伸し、同54.58ポイント(0.31%)高の1万7808.66ポイントでした。

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米国株は3月13日まで軟調でしたが、14日、17日と続伸し、足元で買い戻しや押し目買いが優勢となっています。ですが、トランプ政権の関税政策による世界経済の不確実性の高い状況は依然として続いています。
4月2日から導入予定の相互関税と自動車などの分野別関税は、
日本経済だけでなく世界経済全体の圧迫要因に!
米国のラトニック商務長官は3月14日、FOXビジネスネットワークのインタビュ-で「すべての国から輸入される車に関税を課すべきだ。それが重要な点だ」「日本が韓国やドイツなどよりも不公平に有利になるようなことはしない」などと述べ、輸入される自動車への関税について、日本も対象になるという認識を示しました。
したがって4月2日には、米国に輸入されるすべての自動車に25%前後の関税が課される見通しです。米国は現在、乗用車に2.5%の関税を課しているため、約10倍に引き上げられることになります。
この関税による国内の自動車産業への打撃は、大きいと覚悟しておく必要があります。自動車産業の裾野は非常に広く、部品、素材、設備など、あらゆるメーカーが自動車産業に関わっているため、関税の影響は広範囲に及ぶでしょう。
なお、トランプ大統領は、4月2日に自動車などの分野別関税とともに相互関税も課す意向を示しています。自動車への関税引き上げや相互関税導入は、日本経済はもちろん、世界経済全体の圧迫要因として機能することでしょう。当然これは、日本株へのネガティブ材料です。
トランプ関税は米国市場にとってもネガティブ要因だが、
米国株が急落する局面は中長期的に見ると「絶好の買い場」に!
ただし、トランプ大統領の盟友、イーロン・マスク氏が率いるテスラ(TSLA)は3月11日、USTR(アメリカ通商代表部)に宛てた書簡で「米国の貿易措置に他国が反応した場合、不均衡な影響にさらされる」として、各国が報復関税に乗り出すことへの懸念を示したと伝わっています。つまり、トランプ政権が仕掛けている関税引き上げ合戦が加速すれば、米国の自動車産業も無傷では済まないということです。当然これは、米国株への悪材料です。
また、関税引き上げは米国の物価を上昇させ、インフレの再燃と個人消費の低迷を招く可能性があります。当然これは、米国株式市場の上値圧迫要因です。
このような状況にもかかわらず、米国のベッセント財務長官は3月7日、「われわれは政府支出に病みつきになっていた。この先はデトックスの期間になる」「『トランプ・プット(米国市場の急落時にトランプ大統領が株価の下支えに動くという想定)』といったものは存在しない」と話しました。
また、 ベッセント氏は3月16日、最近の株価下落に関して「これは健全な調整であって、トランプ政権が適切な税制や規制緩和、エネルギー安全保障政策を遂行する限り、市場は素晴らしい値動きになる」「われわれは移行期間を経験する。危機にはならない」などと語っています。このため、市場は「短期的なトランプセッション(トランプ政権の政策に起因した米国の景気減速)」に身構え続けています。
ただし、米国の実体経済が悪化するケースでは、FRBは躊躇なく「利下げ」に動いて「パウエル・プット」を発動する見通しです。このため、米国の株式市場については、短期的な急落(ベッセント氏の言う「移行期間」)があったとしても、中長期スタンスで見れば、そこが絶好の買い好機になるはずとの見方は変わっていません。
5月の日銀金融政策決定会合での追加利上げ観測から、
新発10年物国債の利回りが上昇して16年5カ月ぶりの高水準に
今週の3月18〜19日に米国ではFOMC、日本では日銀金融政策決定会合が開催されます。
今回のFOMCでは、フェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標が「4.25−4.5%」のレンジで据え置かれる見通しです。ただし、3月7日にパウエルFRB議長が、FOMC参加者らの政策金利見通しを示す「ドットチャート」を見直す可能性があることを示唆したので、市場に向けた“アナウンスメント”に「何らかの変更」があるかもしれません。
なお、現時点の市場コンセンサスは「2025年中に2回の利下げが実施される」です。FOMC後のパウエル議長の記者会見に関しては「トランプ政権の関税引き上げがこれから本格化するため、利下げに前向きな姿勢は見せることはない」と見ています。このため、今回のFOMCは「無風(ノーサプライズ)」で、市場を大きく動かす材料にはならないと考えています。
一方、金融政策決定会合については、政策金利である「無担保コール翌日物レート」を0.5%に据え置く見通しです。米国の関税政策などに伴う世界経済の下振れリスクへの警戒感が強まっているため、拙速な利上げは見送られると考えています。
ただし、2025年の春闘は、前年同様の大幅な賃上げの流れとなっています。このため、トランプ政権の関税強化策の国内経済や物価への影響を見極められたら、日銀は利上げに踏み切るでしょう。現時点では、5月会合(4月30日〜5月1日)での追加利上げが見込まれます。
実際、日銀の内田真一副総裁は3月5日、静岡市での金融経済懇談会で「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げる方針だ」と述べています。
このような状況を反映して、国内債券市場では、新発10年物国債の利回りが3月10日に1.575%と16年5カ月ぶりの高水準に達するなど、長期金利が上昇しています。

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この長期金利の上昇と高止まりは、日本株の上値圧迫要因であり続けるでしょう。とりわけ、株価指標で割高な高PER銘柄には強く影響が及ぶと見ています。
日経平均株価が3万6000台まで下落する局面では、
年金基金の買いが「相場の下支え役」となることに期待!
日本株の需給面を見ると、3月7日時点の信用買い残は4兆5656億円と、2月28日時点と比べて1452億円減りました。6週ぶりの減少ですが依然として高水準です。一方、信用評価損益率は7日時点でマイナス8.10%と、前週のマイナス7.69%からマイナス幅が0.41ポイント拡大し、3週連続で悪化しました。つまり、信用買い残が高水準で、買い方の手の内も悪化しています。
このため「株価が25日移動平均線を下回る」「25日移動平均線が下向き」などチャートが悪化し、信用買い残が積み上がっている銘柄に関しては、信用買い方の“手仕舞い売り”が上値を圧迫し続ける見通しです。
ただし、暗い話ばかりではありません。3月第1週(3〜7日)の投資部門別株式売買動向では、年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行の買い越し額が3342億円と、2022年6月第5週の3522億円以来、およそ2年8カ月ぶりの高水準となりました。相場水準が下がったことで年金が買いに動いた可能性が高く、相場の下支え役として期待できそうです。日経平均株価がザックリ3万6000円台になると年金の買いが見込めそうです。
日経平均株価については、3月11日の3万5987.13円(一番底)でいったん底入れをしたとの認識です。

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目先に関しては、どこまで戻れるかを試す状況と認識しています。ですが、トランプ関税の問題もあり、一発で上昇トレンドに回帰できるとは見ていません。「戻ったタイミングで買いポジションを軽くして、二番底の形成時に買い向かえる準備をしておく戦略」をおすすめします。
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