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日米の株式市場は非常に強い動きを続けています。
日経平均株価は、6月1日に前週末比184.50円高の2万2062.39円と2万2000円台を回復し、2月26日以来、およそ3カ月ぶりの高値を付けました。そして、6月2日も続伸し、前日比263.22円高の2万22325.61円で引けています。
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また、6月1日のNYダウは、前週末比91.91ドル高の2万5475.02ドル、ナスダック総合株価指数は同62.18ポイント高の9552.05ポイントと、2月下旬以来約3カ月ぶりの高値で取引を終えました。
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この強い動きの需給面での要因は、日米共に高水準に積み上がった「空売り(ショート)」です。
急騰する日経平均株価の調整を見越した投資家の間で、
「ダブルインバ」と「ダブルブル」の信用売買が人気に!
米国では、米商品先物取引委員会(CFTC)によれば、「Eミニ・S&P500種株価指数先物」の投機筋の建玉(オプションを含む)が5月26日時点で30万49枚の売り越しと、2011年11月以来の高水準になっています。
一方、日本では、日経ダブルインバース上場投信(1357)(通称:ダブルインバ)の信用買い残が積み上がっています。このETFは日経平均株価を対象にした「ダブルインバース」で、当日の日経平均株価が1%下落するとETFの価格が2%上昇し、日経平均株価が1%上昇するとETFの価格が2%下落するように設計されている金融商品です。
このダブルインバの3月13日時点の信用買い残は、2168万1410口でした。それが、5月22日には約3.35倍の7258万8152口までに膨らんでいます。一方、3月13日に1531円だった価格は、5月22日には983円にまで下落しました。そして、6月1日の終値は835円にまで下落しています。
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また、日経平均ブル2倍上場投信(1579)(通称:ダブルブル)の信用売り残も積み上がっています。これはダブルインバとは全く逆に、日経平均株価の日々の変動率の2倍の値動きになる金融商品で、日経平均株価が上がるときは2倍上がり、 下がるときは2倍下がる値動きをします。
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ダブルブルの3月13日の売り残は7万4000口でしたが、5月22日には約3.15倍の23万3370口になっています。3月13日に1万2590円だった価格は、5月22日には1万7040円にまで上昇しました。そして、6月1日の終値は1万9900円にまで急騰しています。なお、5月22日時点の買い残は24万6980口で、信用倍率は1.06倍と拮抗しています。また、ここ最近の日証金ベースの貸借倍率はほぼ毎日1倍を下回り、逆日歩が発生しています。
インバース型やレバレッジ型のETFは短期売買向けの金融商品!
長期で保有するほど複利効果によって「減価」する
このように、多くの投資家が信用取引を使って「日経平均株価が下がると利益になる」ことに賭けているものの、予想と期待に反して原資産である日経平均株価が急騰していることで、ダブルインバの買い方やダブルブルの売り方の評価損が膨らみ続けているようです。
ちなみに、3月13日の日経平均株価の終値は1万7431.05円、5月22日は2万388.16円でした。値上がり幅は2957.11円で、率にすると16.96%の上昇です。そしてそれが、6月1日には2万2062.39円にまで上昇したのです。3月13日を起点にしたここ最近までの短期的な急騰局面において、多くの投資家が「さすがに短期的に上げ過ぎだ」と感じて、ダブルインバを買い建てたり、ダブルブルを売り建てたのでしょう。
個人的には、このようなインバース型やレバレッジ型ETFの売買するにあたって信用取引を活用することはアリだと思います。しかし、基本的には1日勝負(デイトレ)に徹するべきです。
ただし、例えばダブルインバなら、連続して下落するという相場想定なら買い建玉の持ち越し、逆にダブルブルなら連続して上昇するという相場想定なら買い建玉の持ち越しはアリです。ですが、多くの場合、明日は上げるか下がるかわかりません。実際、相場は上げ下げを繰り返すことが普通です。だったら、1日ごとに日経平均株価が上げるか下げるかを予測して、1日勝負で売買した方が賢明だと思います。
なぜなら、この手の商品は複利効果(元本に利息を加えた元利合計が新たな元本となり、継続的に運用されて元本が膨らんでいく効果)が発揮されて、思った方向に連日動いてくれれば凄まじいパフォーマンスを実現しますが、上げ下げを繰り返す「もみあい」になると、やはり複利効果によって「減価」してしまう性質があるからです。
通常、インバース型やレバレッジ型ETFは、2営業日以上の期間における上昇率・下落率が、同一期間の原指数の上昇率・下落率に倍数を乗じた値に一致しません。さらに、原指数のボラティリティが大きくなればなるほど、投資期間が長くなればなるほど、その差は拡大する傾向があります。つまり、インバース型やレバレッジ型ETFは、そもそもは長期投資に適さない金融商品なのです。
日経平均株価の値動きにレバレッジをかけて投資したいなら、
「ETFの信用売買」よりも「日経平均先物」がおすすめ!
もし、もみあいながら(日々上げ下げを繰り返しながら)日経平均株価が下方向に行くと思うなら、私であればダブルインバは買わずに日経平均先物を売り建てます。逆に、上がると思うなら、ダブルブルを買わず同じく日経平均先物を買い建てます。
確かに、個人の場合、先物取引と上場株式取引との損益通算ができないという税金の問題はあります。また、予想外に連続して上げ続けたり、下げ続けたりしたときに、複利効果の恩恵は享受できません。さらに、日経平均先物にはSQという決済期限があり、そこでは必ずいったん清算させられます。それでも私は、予想した相場の方向が当たれば確実に収益が獲得できる勝負の方法を選びます。
しかも、日経平均先物には「レバレッジが高い」という魅力もあり、少ない証拠金で比較的大きな金額の取引ができます。
信用取引のレバレッジは、ほぼ3倍です。一方、一部ネット証券における6月1日からの日経225先物ラージの委託証拠金額は99万円(ミニは9.9万円)です。日経平均先物取引の取引単位は、日経平均株価を1000倍(ミニは100倍)した金額です(ただし、注文を出すときに必要な証拠金の金額は、証券会社ごとに異なり、また、日経平均株価の変動の大きさによって毎週見直されます)。
例えば、日経平均株価が、2万2000円の場合、ラージ1枚当たりの想定元本は2200万円(ミニは10分の1の220万円)ということになります。このケースでの、日経平均先物のレバレッジは、ラージもミニも約22倍にもなります。
【日経225先物のレバレッジ】
ラージ: 2200万円 ÷ 99万円 ≒ 約22倍
ミニ: 220万円 ÷ 9.9万円 ≒ 約22倍
さらに付け加えるなら、日経平均先物は、信用取引と違って売りから入った場合に逆日歩がつくリスクがないことや、日中の通常取引時だけでなく夜間取引でも(超大口個人は別として)十分な流動性が確保されているため、欧米の市場動向を横目に睨みながらいつでも売り買いできるというメリットもあります。
信用取引や先物取引のようなレバレッジ取引では、
現物取引以上に「厳密な損切り」が大切!
なお、信用取引であろうと先物取引であろうと、レバレッジを効かせた取引を行うときは現物取引以上に「評価損に耐えたらダメ」です。ポジションを取った時点で、利食いはともかく、損切り価格はあらかじめ決めておき、残念ながらその価格になったら潔く負けを認めて損切りしましょう!
また、「買い建値よりも下がっているケースでの買い増し」や「売り建値よりも上がっているケースでの売り増し(いわゆるナンピン)」も、よほど腕に覚えがあるか、相場の方向性に対して相当な確信がない限りは御法度です。
一般的に、投資は「トレンドを友人にする(順張り)」方が儲かりやすく、あなたのポジションに評価損が生じているなら、そのポジションは「トレンドと喧嘩して、敵にしている」可能性が高いです。そう考えれば、トレンドを敵にするポジションの積み増しは愚策です。
もちろん、オーバーシュート局面での「トレンドを敵にする」、いわゆる「逆張り」は例外的にアリです。ですが、中途半端なところで、「トレンドを敵にする」ポジションを取ってしまったなら、傷が浅いうちに躊躇なく撤退するべきです。
逆に、上手くトレンドに乗れているポジションなら、価格の上昇に合わせてロスカットラインを引き上げていく「トレーリングストップ」を活用しながら、利益を伸ばしていきましょう。
「損小利大(小さな損切りと大きな利食いの組み合わせ)」の実現を目指して、常に冷静に売買することが、レバレッジを効かせた取引を行う際の基本だと私は考えています。
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