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バイデン次期米大統領は1月14日、総額1.9兆規模の追加経済対策案の第1弾を発表しました。国民1人当たりの現金給付は、前回の景気対策で支給した1人当たり600ドルに加え、さらに1400ドルを上乗せし、最大2000ドルとなります。また、失業手当を週400ドルに拡充する措置を9月まで延長します。
バイデン次期大統領は演説で、「2月の上下両院合同会議で、より広範となる第2弾の経済回復プランを公表する」と述べています。このプランには、インフラや気候変動対策など、一段と長期的な開発目標向けの資金が含まれるそうです。
このバイデン次期大統領による追加経済対策案の第1弾に対する市場の反応は、「目先の好材料出尽くし」でした。規模・内容ともに事前に伝わっていたものと大きな差がなかったため、サプライズ感がなく、まさに「Buy the rumor, sell the fact (噂で買って事実で売れ)」との相場格言がドンピシャにはまった格好となりました。
実際、NYダウは、1月15日終値で前日比177.26ドル安の3万814.26ドルと5日移動平均線(15日現在3万988.73ドル)を下回り、かつ5日移動平均線自体も1月14日から「下向き」に転換しました。つまり、NYダウは、すでに1月14日から短期のテクニカル的な調整局面に入った可能性が高そうです。今後に関しては、少なくとも5日移動平均線が上向きに転じるまで、NYダウの調整は一巡しないと見ています。
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日経平均株価は、NYダウの影響もあって短期的な調整もあり得るが、
中長期には上昇トレンドなので「押し目買い」のチャンスと考えよう!
一方、日経平均株価ですが、NYダウが調整するようなら、こちらも短期的な調整局面が到来すると思われます。
日経平均株価の今年に入ってからの安値は、1月6日の2万7002.18円です。それが、わずか5営業日後の1月14日には一時2万8979.53円まで急騰しました。値幅1977.35円、上昇率7.32%の上昇は、さすがに「スピード違反」だと思います。
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日経平均株価の急騰劇の主演は、おそらくコンピューターによるアルゴリズム取引でしょう。また、多くの投資家の想定を超える短期急騰で、日経平均株価が下がると利益が出るポジションを取っていた売り方は、致命傷を負った可能性が高そうです。そして、売り方はほぼ完全に焼き尽くされ、最後の売り方の買い戻しが1月14日に入った可能性が高いと見ています。
このため、短期的な需給は悪化(というか、通常モードへの回帰)したため、買い方も売り方も冷静さを取り戻すでしょう。その結果、1月14日までのような“買い方が圧倒的有利”の状況ではなくなり、買い方と売り方のパワーバランスは拮抗していくことになるでしょう。つまり、売り方と買い方が互角の力で綱引きするため、上昇ピッチ自体は鈍化することになると思われます。
日経平均株価についての当面のメインシナリオは、25日移動平均ベースのボリンジャーバンド+1σ(1月18日現在2万7919.42円)と同+2σ(同2万8603.68円)との間を推移する「バンドウォーク」です。
そして、同+1σを割り込んだら、25日移動平均線(同2万7248.24円)付近まで調整するでしょう。逆に、同+2σを上回ったら、同+3σ(同2万9287.95円)まで上昇すると見ています。
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なお、日経平均株価の中長期のトレンドは上向きのため、安易な空売りは避けたほうがいいでしょう。中長期のトレンドを友達にするべく、私は「押し目買い狙い」をおすすめします。
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日本や米国、EUなど世界規模で「脱炭素」が国策テーマに!
今こそ「国策に売りなし」という相場格言に従うのが“吉”
個別銘柄の物色テーマとしては、やはり「脱炭素」がど真ん中です。
日本政府は1月18日召集の通常国会で、2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする方針を明記した「地球温暖化対策推進法改正案」を提出する見通しです。また、菅義偉首相は1月18日の施政方針演説で、「次世代太陽光発電、低コストの蓄電池、カーボンリサイクルなど、野心的イノベーションに挑戦する企業を腰を据えて支援することで、最先端技術の開発・実用化を加速させます。水素や、洋上風力など再生可能エネルギーを思い切って拡充し、送電線を増強します。デジタル技術によりダムの発電を効率的に行います。安全最優先で原子力政策を進め、安定的なエネルギー供給を確立します。2035年までに、新車販売で電動車100%を実現いたします。成長につながるカーボンプライシングにも取り組んでまいります」と述べました。
したがって「脱炭素」はまさに「国策」なのです。有名な相場格言に「国策に売りなし」というものがあります。これは、「国が行なおうとしている政策によって、業績面で追い風を受ける企業の収益は大きく成長する可能性が高いので、国策銘柄は買うべし」という意味です。私は、この格言に素直に従うのが「吉」だと強く思います。
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また、バイデン次期米大統領も大統領選の期間中、2050年までに米国の温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げると公約しています。一方、欧州連合(EU)も、2050年に域内の温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標を見据え、電気自動車(EV)向けなどの電池生産の環境規制をつくるなど、「脱炭素」の実現に積極的に取り組んでいます。
つまり「脱炭素」は、「世界規模の国策」と言えます。だからこそ、国内外で「脱炭素」実現に向けた官民の取り組みや発言が相次いでいるのです。
例えば、風力発電は日本政府が掲げる2050年の温暖化ガス排出実質ゼロの実現で重点施策のひとつですが、日本政策投資銀行は再生可能エネルギー事業者と組み、風力発電専門の投資ファンドの事業を始めるそうです。
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日本政策投資銀行は、再生エネルギーを使った発電を手掛ける企業・グリーンパワーインベストメント(GPI)と連携し、約530億円のファンドを設立しました。日本政策投資銀行は、GPIで新たな発電設備が完成するたびに新たなファンドを立ち上げる方針だそうです。
また、ゲオルギエバ国際通貨基金(IMF)専務理事は、コロナ危機で深まった国内外の経済格差是正のための具体的な解決策として「気候変動対策へのインフラ投資」を挙げ、太陽光発電の拡大や省エネビルへの改修などで、雇用創出と民間投資をともに誘発する必要があると訴えています。
「次世代太陽光発電」「蓄電池」「カーボンリサイクル」「水素」など、
2021年は「脱炭素」関連の物色テーマから目が離せない!
このような状況下、世界的に民間企業の動きも「脱炭素」の方向に大きく舵を切ることでしょう。
例えば、TDK(6762)は、3年で5200億円超を投じて蓄電池などを増産。ローム(6963)は、EVに使う次世代型「パワー半導体」の生産能力を5倍に高めると伝わっています。また、電源開発(Jパワー・9513)は、二酸化炭素(CO2)を地中に貯留する新技術の開発を始めるそうです。そして、東芝(6502)子会社の東芝エネルギーシステムズ(ESS)は、水素エネルギー関連製品の生産ラインを移設して、昨年11月中旬から稼働を始めました。
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さらに、米国のアップル(AAPL)や中国のインターネット検索最大手のバイドゥ(百度:BIDU)、日本のソニー(6758)などのハイテク企業がEV市場に参入すると伝えられています。アップルに関しては、1月8日に韓国の現代自動車が提携交渉を認め、アップルがEV事業への参入に意欲を見せていることが明らかになりました。また、バイドゥも1月11日、中国の民営自動車最大手である浙江吉利控股集団(ジーリーホールディンググループ)と戦略提携し、自動運転EVの製造販売に乗り出すと発表しました。そして、ソニーも1月12日、EV試作車「VISION-S」がオーストリアの公道で実験走行する様子を公表しました。
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以上のことから、「脱炭素」関連が株式市場での人気テーマとして一段と存在感を増す可能性は非常に高いと見ています。
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「脱炭素」という物色テーマを細分化すると、「次世代太陽光発電」「低コストの蓄電池」「カーボンリサイクル」「水素」「洋上風力」「送電線」、そして「EV(電気自動車)」などが挙げられます。
なお、バイデン米次期大統領は1月20日の就任直後に、地球温暖化防止の国際枠組みである「パリ協定」に復帰する見通しです。これをきっかけに、世界的に官民が一体になった「脱炭素」への取り組みが一段と過熱していくでしょう。
2021年の株式投資で儲けたいのであれば、この「世界的な国策」で収益拡大が見込める企業への関心を常に持ち続けていきましょう。
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