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日経平均株価は3月に入ってから終値で3万円を回復できていませんが、米国株式市場は相変わらず非常に強い動きを続けています。
3月15日のNYダウは7日続伸し、前週末比174.82ドル高の3万2953.46ドルと4日連続で過去最高値を更新しました。また、S&P500種株価指数は5日続伸し、同25.60ポイント高の3968.94ポイントと、3日連続で過去最高値を更新。そして、ナスダック総合株価指数は反発し、同139.843ポイント高の1万3459.708ポイントでした。
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この3月15日は、1.9兆ドル規模の経済対策に盛り込まれた1人最大1400ドルの現金給付の手続きが始まったと伝わったことや、NY連銀が発表した3月の製造業景況指数が市場予想を上回って前月から改善したことなどが買い材料になりました。
「景気敏感株買い+グロース株売り」の傾向が顕著で、
「TOPIXが強く、日経平均株価が相対的に弱い」という流れが継続
それにしても、米国の長期金利の上昇を機に、日米株式市場では「景気敏感株買い+グロース株売り」の物色傾向が顕著になっています。株価指数で言えば「NYダウが強く、ナスダック総合株価指数が相対的に弱い」「TOPIXが強く、日経平均株価が相対的に弱い」という流れが続いています。
例えば、3月15日の日本では、TOPIXが5日続伸し、終値は前週末比17.67ポイント(0.91%)高の1968.73ポイントと1991年5月14日以来およそ29年10カ月ぶりの高値を付けました。この日は高値引け(その日の最高値で取引を終えること)で、2月16日に付けたザラ場ベースの昨年来高値の1974.99ポイントに肉薄。そして3月16日には6日続伸し、終値は1981.50(前日比0.65%)と昨年来高値を超えてきました。
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一方、3月15日の日経平均株価の終値は同49.14円(0.17%)高の2万9766.97円と、上昇率はTOPIXの0.91%に対して非常に小さいものでした。そして16日は続伸し、終値は2万9921.09円(前日比0.52%)でしたが、日経平均株価のザラ場ベースの昨年来高値が2月16日の3万714.52円なので、依然としてそれを793.43円も下回っています。
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「金融系」や「インフラ系」「小売り・サービス系」など、
景気敏感株の中でも特に内需系が強い動きに
ちなみに3月15日は、東証1部上場の2195銘柄(3月15日現在)のうち約1割の214銘柄が昨年来高値を付けました。また、この日の東証1部の「値上がり銘柄数」は1800銘柄、「値下がり銘柄数」は338銘柄、「変わらず」は57銘柄でした。約82%の銘柄が値上がりしたことから、多くの投資家にとっては非常に良好な相場だったと言えるでしょう。
しかしながら、この日の東証1部の売買代金上位のうち、2位のソフトバンク(9984)は前週末比2.49%安、12位の東京エレクトロン(8035)は同1.56%安、14位の日本電産(6594)は同2.24%安、22位のファナック(6954)は同0.40%安、23位のエムスリー(2413)は同0.97%安、そして30位のシャープ(6753)は同6.57%安でした。
一方、3位の三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)は同4.12%高、8位の三井住友フィナンシャルグループ(8316)は同3.55%高、9位のマネックスグループ(8698)は同11.99%高、15位のみずほフィナンシャルグループ(8411)は同2.80%高、16位の日本航空(9201)は同3.79%高、そして、16位のANAホールディングス(9202)は同4.43%高でした。
3月15日の東証1部の売買代金上位銘柄の騰落率からも明らかなように、グロース系や外需系のハイテク株は総じて軟調で、「収益セグメントの中でも国内の比率が高い」内需系の景気敏感株が非常に強い動きになっているのです。足元では、内需系の景気敏感株のリーディングストック(特に値上がりが大きい銘柄)が、メガバンクに代表される金融株になっています。
なお、内需株の代表的なセクターとしては、銀行、保険、証券、保険などの「金融系」のほか、不動産、建設、倉庫、陸運、電鉄、電力などの「インフラ系」、「小売り・サービス系」、鉄鋼、紙・パルプなどの「素材系」が挙げられます。当面は、このあたりの内需系に注目しておきましょう。
3月21日に首都圏の緊急事態宣言が解除された場合、
「化粧品・美容」「外食」「旅行」など「リベンジ消費関連」に注目!
ところで、政府は、3月21日を期限に首都圏1都3県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言の要否について、18日にも対策本部を開いて判断する検討に入ったそうです。菅義偉首相は15日の参院予算委員会で、緊急事態宣言解除の見通しについて「言える状況ではない。専門家の意見も聞きながら最終的に判断したい」と述べました。しかしながら、産経新聞は、13日、「〈独自〉政府、21日で緊急事態宣言解除へ 1都3県」と題した記事を配信しており、市場は「21日解除」を織り込んでいる可能性が高そうです。
仮に、緊急事態宣言の「21日解除」が実現するようなら、東京株式市場での「リベンジ消費関連」の人気化を予想します。「リベンジ消費」とは、新型コロナウイルス感染拡大の抑制策として、外出を制限され、不要不急の買い物を我慢させられてきた人々の購買意欲が、規制緩和・解除により爆発的に高まる消費のことを指します。
「リベンジ消費」されやすい「サービス」は、「化粧品・美容」「外食」「旅行」、そして「スポーツ」などです。よって、3月相場の後半戦の主力テーマの大枠は「景気敏感の内需系」であり、その中で特に「金融」と「リベンジ消費」に私は注目しています。
日経平均株価は、3月下旬まで急騰は期待できないものの底堅く、
2万8308~3万714円のボックス相場を形成する見通し
最後に、3月下旬まで日経平均株価の見通しは、底堅いとは見ていますが、急騰相場は期待薄だと見ています。というのは、3月第1週(1~5日)まで、年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行が8週連続で売り越したことに加え、日銀が、「相場水準が切り上がり、リスクプレミアムが低下している状況」でのETF購入に慎重になったことが明らかになったからです。
国内投資家の買い主体の「両横綱」である年金と日銀が、日本株を売りこそすれ、上値を買わない状況では、日経平均株価の急騰を期待するのは無理があると考えます。また、ここから相場水準が上がるようなら、逆張り好きの個人も売り向かってくることが予想されます。
ただし、世界的な過剰流動性相場が続いているため、下値は相当堅いはずです。日経平均株価については、3月5日の2万8308.57円で当面の底入れを果たしたと見ています。一方、上値に関しては、2月16日の3万714.52円が当面の天井と考えています。
当面の運用戦略としては、日経平均株価がボックス相場を形成するとの前提で、引き続き、外需系グロース株は見送り、内需系の景気敏感株狙いで収益獲得に全力を尽くすべきでしょう。
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