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日経平均株価は10月19日、前日比190.06円高の2万9215.52円と反発しました。引き続き10月6日の2万7293.62円が直近の底値になっています。
なお、10月19日の日経平均株価は、5日移動平均線(19日時点で2万8800.16円)、75日移動平均線(同2万8528.12円)、200日移動平均線(同2万8770.66円)を上回っています。一方、25日移動平均線(同2万9225.01円)は下回っています。
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よって、現在は、25日移動平均線を目指すリバウンド局面と認識しています。25日移動平均線を終値で上抜けることができれば、9月28日と29日の間に空いた窓(2万9679.26円~3万1.99円)を埋める上昇が期待できます。
ちなみに、衆院選が10月19日公示されましたが、市場には「衆院解散・総選挙では株価が上がる」という“アノマリー”(明確な理論や根拠のない経験則)があります。1969年以降に実施された衆院選では、解散前営業日から投開票前営業日の日経平均株価は、16回すべてで上昇しているとのことです。今回も「選挙期間は買い」の再現を期待したいものです。
「Go To トラベル」再開や飲食店への自粛要請の解除など
経済再開が進んでいることで、日本株が崩れる可能性は大幅に低下
岸田首相は10月16日、観光支援事業「Go To トラベル」について「昨年の経験を生かし、改良すべきことは改良すべきだ」と述べ、土日祝日の集中的な利用を避けるために平日の利用を促す制度見直しを行う意向を明らかにしました。
また、山際大志郎経済再生担当相は10月17日のフジテレビの番組で、新型コロナウイルス対策として実施している飲食店の営業時間の短縮要請などについて、「新規感染数が増えないのであれば、すべて解除されていく方向に行く。早ければ、11月に入れば何の制限もなくさまざまな生活が送れるようになる」との見通しを明らかにしました。
このように、日本経済の正常化に向けて、政府が着々と手を打つ姿勢を強く打ち出しています。このため、内部要因で日本株が大きく崩れる可能性は大幅に低下していると感じています。
一方、外部要因も改善傾向です。中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁は10月17日、「中国の恒大集団の問題が中国経済や金融システムに及ぼすリスクを、当局は封じ込めることができる」と述べました。
また、米国株も堅調です。10月18日のナスダック総合株価指数は4日続伸し、前週末比124.469ポイント高の1万5021.809ポイントと、9月24日以来となる1万5000ポイントの大台に乗せて取引を終えました。また、10月15日のS&P500種株価指数が4471.37ポイントと、これまで上値抵抗線となっていた50日移動平均を明確に上回った(強気転換した)ことが話題になりました。
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「インフレリスク」や「サプライチェーンの混乱」、
「中国の電力不足」など、世界中に不安要因が山積みに
ただし、好材料ばかりではありません。原油など国際商品価格の上昇による「インフレリスクの高まり」が悪材料となっています。
10月18日のWTI期近の11月物は、早朝に1バレル83.87ドルと7年ぶりの高値を更新しました。経済再開で原油需要が急増する一方、産油国の減産で供給が伸び悩んでいることが主因です。
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このような状況下、日本政府は10月18日、国際エネルギー機関(IEA)と連携して主な産油国に原油の増産を要請することを決めました。原油価格の高騰を受けてガソリン価格などが上昇し、企業や家計の負担が重くなっているためです。また、バイデン米政権は10月18日、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」に対して、引き続き対応を要請すると表明しました。
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このように、日米両政府が足元の原油高によるマクロ景気への悪影響を危惧しているのです。実際、IMFは10月12日改定した世界経済見通しで、「インフレの先行きに大きな不確実性がある」と強調し、2021年の実質成長率の見通しを5.9%と、前回7月の予測から0.1ポイント引き下げました。
また、半導体不足や人手不足など供給制約(サプライチェーンの混乱)や海運の需給逼迫も、企業収益を圧迫しています。
例えば、トヨタ(7203)は10月15日、11月の世界生産を直近の生産計画から15%程度減らすと発表しました。東南アジアで新型コロナウイルスが猛威を振るっていたことや半導体不足が主因です。また、SUBARU(7270)が10月の国内生産に関し、当初計画から4割減産する見通しとも伝わっています。こちらも、世界的な半導体の供給不足や、コロナ禍で東南アジアからの部品調達に支障が出ている影響だそうです。
そして、自動車のエンジン部品に使うアルミニウム二次合金の国内価格も上昇し続けています。原料のアルミや金属シリコンは、世界最大の供給国である中国の電力不足が響いて高値が続いていることを主因に、合金メーカーが製品価格に原料高の転嫁を進めているとのことです。
中国が「脱炭素」の動きを強化し、これまで発電量の7割を占めていた石炭火力発電のシェアを56%に抑え込んだ結果、中国国内に深刻な電力不足が生じてしまいました。さらに、中国の輸出品への需要が記録的に高まって電力需要が急増を続けているうえ、この冬の寒さが厳しいとの予測もあり、年末にかけて中国の電力不足が深刻化し、世界の供給網に長期で悪影響を及ぼすリスクが懸念されています。
このように世界のあちらこちらで、インフレを加速し、景気を悪化させ、結果、企業収益を悪化させ得る材料が山積しているのです。
インフレが進むとハイテク株が売られるので、
米国10年物国債利回りの動向は要チェック!
確かに、株式はインフレヘッジの手段となり得るので、投資家としては基本的に「インフレ・ウェルカム」です。しかし、インフレのピッチがあまりにも急だと、企業も家計もそれに上手に対応できません。
現時点においては、日米の株式市場の堅調さを見るかぎり、多くの投資家は「原油相場はピークアウトに向かい、サプライチェーンの混乱も近い将来収まる」との前提で運用を行っているように感じます。
10月18日の米国10年物国債利回りは、前週末比0.03%高の1.60%で取引を終えました。しかし、今後、これが心理的節目の2.0%を上回ってくるようだと、流石に投資家心理が悪化して米国市場で高PERのハイテク株が売られるリスクが高まると考えています。このため、従来以上に米国10年物国債利回りの動向には注目しておきましょう。
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同時に、高い確度でインフレが収まる見通しになるまでは、株価指標が割高な高PER、高PBR銘柄は基本的には触らないようにしてください。逆に、資源価格・エネルギー価格の上昇や、長期金利の上昇が業績にプラスに作用する企業群を選好することをおすすめします。
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