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対面証券や金融商品仲介業者(IFA)、投資顧問関係者などの友人たちと話をすると、「あるお客さんの5000万円の投資元本が500万円になった」「仕組み債のノックイン続出で、対応が大変」「米国株の評価損がすさまじく、対応に頭を抱えている」などなど、個人投資家の手の内が大幅に悪化している内容の現場レポートが相次いで出てきます。
個人投資家の相場の体感温度を如実に示すとされる東証マザーズ指数は低迷を続けていますし、米国株も冴えない動きを継続しているため、個人投資家の懐が大きく傷んでいることは頷けます。
ちなみに「マザーズ銘柄の信用評価損益率(松井証券店内)」によれば、2月14日はマイナス34.76%です。これがマイナス一桁くらいまで回復してこないと、冷え込んだ個人投資家の懐と投資マインドが温まることはないでしょう。
日経平均株価、マザーズ指数ともに下落トレンドが継続!
ただし、日経平均株価は2万6044円の底値を割り込むリスクは低い
2月15日の東証マザーズ指数は前日比13.68ポイント(1.85%)安の726.45ポイントと続落し、5日移動平均線(15日時点で747.40ポイント)、25日移動平均線(同792.98ポイント)、75日移動平均線(同971.84ポイント)、200日移動平均線(同1073.93ポイント)のすべてを下回っています。
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また、25日・75日・200日移動平均線のすべてが下向きで、かつ下から短期・中期・長期の順で移動平均線が並んでいる「下降のパーフェクトオーダー」の状態となっています。したがって、テクニカル的には短期・中期・長期の下落トレンドが発生中と認識しています。
今後に関しては、少なくとも、東証マザーズ指数自体が、5日移動平均線と25日移動平均線も上抜き、かつ25日移動平均線自体が上向きに転じてこないと、自律反発への期待が盛り上がることはないと見ています。そして当面は、25日移動平均線が強力なレジスタンス(上値抵抗線)として意識されるでしょう。
一方、日経平均株価に関しては、1月27日の2万6044.52円が当面の底値との見方は変えていません。しかしながら、2月15日の日経平均株価は、前日比214.40円(0.79%)安の2万6865.19円で、5日移動平均線(15日時点で2万7301.05円)、25日移動平均線(同2万7504.92円)、75日移動平均線(同2万8451.54円)、200日移動平均線(同2万8564.07円)のすべてを下回っています。こちらも、25日・75日・200日移動平均線が「下降のパーフェクトオーダー」を実現しています。
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東証マザーズ指数と同様に、日経平均株価が5日移動平均線と25日移動平均線を上抜き、かつ25日移動平均線自体が上向きに転じてこないと、自律反発への期待が盛り上がることはないと見ています。日経平均株価に関しても、当面は、25日移動平均線が強力なレジスタンスとして意識される見通しです。
ただし、2月第1週(1月31日~2月4日)の投資部門別株式売買動向によれば、年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行が2週連続で買い越しました。この週の買い越し額は2278億円でした。一方、海外投資家は4週連続の売り越しで、売り越し額は1705億円でした。海外勢の売りを年金が買い向かうという構図になっていると推察しています。
また、1月31日~2月4日の日経平均株価のレンジは2万6541.65円~2万7564.62円でした。この中間値が2万7053.14円です。よって、ザックリ2万7000円割れの水準では、信託銀行経由の年金買いが見込めそうです。
このため、外部環境が劇的に悪化しない限り、日経平均株価の上値は重いものの、年金買いのおかげで急落による底割れのリスクは小さいと見ています。一方、東証マザーズ指数に関しては、年金買いが期待しにくいので、底割れリスクは大きいと考えています。
ウクライナ情勢の悪化による「地政学リスクの高まり」と
原油高などによる「インフレリスクの高まり」が株価の下落要因に
世界的に株式が調整を続けている主因は、「インフレリスクの高まり」と「地政学リスクの高まり」です。
2月10日発表の1月の米国の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比7.5%上昇し、約40年ぶり伸び率でした。これを受け、今年の米国の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ、セントルイス連銀のブラード総裁は10日、「7月前半までに合計1.0%の利上げを支持する」と述べました。ブラード総裁は14日にも、FRBの保有資産を減らす量的引き締め(QT)を「2022年4~6月に開始してほしい」と、タカ派発言を繰り返し述べています。
この一連の発言を受け、インフレ抑制を優先する大幅な利上げや拙速なQT開始が米国景気を失速させる「オーバーキル」となってしまうことを、市場は警戒しています。
現在のインフレの原因のひとつは、原油価格の高騰です。2月14日のWTI原油先物(期近の3月物)は、前週末比2.36ドル(2.5%)高の1バレル95.46ドルでした。この日は一時95.82ドルまで上昇し、期近物として2014年9月以来、7年5カ月ぶりの高値をつける場面もありました。
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「米国政府がウクライナの首都キエフの大使館を閉鎖し、拠点を一時的にウクライナ西部に移す」との報道が、この日の買い材料になりました。足元では「ロシアによるウクライナ侵攻⇒欧米によるロシアへの経済制裁⇒ロシアから欧州へのエネルギー供給が止まる」というシナリオから、欧米の天然ガス相場が上昇し、原油相場が連れ高するという構図になっています。つまり、ウクライナの地政学リスクの高まりが、原油高の間接的な買い材料となっているのです。
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このような状況を受け、2月14日のCBOE Volatility Index (VIX)(恐怖指数)は、前日比0.97(3.55%)高の28.33と、不安心理が高まった状態とされる20を大きく上回っています。一時は32.04まで上昇する場面もあり、多くの投資家が米国株の下落リスクを警戒している様子が窺えます。
日本株の調整は「3月中旬」に一巡する可能性が高いので、
今は「相場反転のきっかけ」の出現を辛抱強く待とう!
繰り返しますが、下落要因として警戒されているのは、「ロシアによるウクライナ侵攻の可能性」と「FRBによる過剰な金融引き締め」です。ここで、思い出したいのが「戦争は号砲とともに買え」と、「噂で買って事実で売る」の逆バージョンの「噂で売って事実で買う」という相場格言です。
号砲が鳴るか否か、鳴るとすれば一体いつなのかということは、プーチン大統領にしかわかりませんが、次回のFOMCは3月15日~16日に予定されています。この会合で、実際に利上げなどが実行されたら、「アク抜け(悪材料出尽くしからの上昇)」する可能性が高いと見ています。また、日本では、3月11日が先物・オプションのメジャーSQとなっています。
このようなスケジュール感から、年初からの日本株の調整は3月中旬には一巡すると見ています。とにかく、ここから約1カ月は、相場が反転するきっかけの出現を辛抱強く待ちましょう。そして、待ちに待った「相場反転のきっかけ」が発生したら、機敏に行動できるように今から準備しておくことを強くおすすめします。
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