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エネルギー価格などの物価上昇による景気悪化が懸念される一方、
「Go To トラベル」再開と「まん延防止」解除がポジティブ要因に
原油・天然ガスなどのエネルギー価格、銅・アルミなどの素材価格、そして小麦・とうもろこしなどの穀物といった商品価格が、歴史的な水準にまで高騰しています。日銀が3月10日に発表した2月の企業物価指数は前年同月比9.3%上昇し、伸び率はオイルショックの影響があった1980年12月の10.4%以来、およそ41年ぶりの高水準になりました。
ロシアのウクライナ侵攻に伴う供給懸念から、今後も物価上昇は加速、もしくは高止まりする見込みです。このため、世界的に企業収益や家計を圧迫する恐れが危惧されています。特に資源輸入国の日本は、原油高による企業収益の悪化や家計圧迫を主因に、景気が低迷しやすい構造です。
しかし、悪い話ばかりではありません。まず、岸田文雄首相は3月12日、政府が一昨年末から中断している観光支援事業「Go To トラベル」について「適切な時期が来たら迅速に再開できるよう準備は進めたい」と話しました。
また、新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」が適用中の18都道府県は、3月21日に期限を迎えます。ここまで、全国的に「まん延防止等重点措置」が長引いた結果、飲食や宿泊などの接客業を中心に個人消費の回復は鈍い状況が続いています。
しかし、「Go To トラベル」再開と「まん延防止等重点措置」解除が実現するようなら、消費者物価が多少上がったとしても「リベンジ消費」がけん引役となり、個人消費が一方的に悪化することはないでしょう。
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3月期末の配当権利取りが意識されて月内は売り圧力が低下するが、
日本株の中長期的な上昇トレンドはしばらく発生しない
ところで、3月14日の日経平均株価の終値は2万5346.48円と、5日移動平均線(15日時点で2万5245.01円)は上回っているものの、25日移動平均線(同2万6397.68円)、75日移動平均線(同2万7605.11円)、200日移動平均線(同2万8325.55円)をすべて下回っているうえに、25日・75日・200日移動平均線が下から順番に並ぶ「下降のパーフェクトオーダー」を形成しており、テクニカル的に中長期的な下落トレンドが継続しています。
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しかし、下値に関しては、3月9日につけた昨年来安値の2万4681.74円が当面の底値になる可能性は低くはないと見ています。なぜなら、米国の金融政策の不透明感がやや後退したことに加え、国内の行動制限解除による経済の正常化が期待できるようになったからです。
そうは言っても、日経平均株価が2万4681.74円を割り込むようだと、需給が悪化し、チャートも崩れるので、もう一段の下落を覚悟するべきでしょう。
ただ、2万4681.74円を割り込むには、想定を超える悪材料の出現が必要と考えています。なぜなら、2万4681.74円までの下落により、現時点で想定される悪材料がほぼ織り込まれたと認識していることに加え、需給的にも3月11日の先物・オプションのメジャーSQで国内外の機関投資家のポジション調整は一巡したと見ているからです。今後は、3月期末の配当権利取りが強く意識され、少なくとも月内は売り圧力が低下する見通しです。
実は、3月11日のメジャーSQ前にセリングクライマックスが発生して底入れする展開をメインシナリオにしていたのですが、少なくとも3月中のセリングクライマックスは起こりそうもないと、見通しを変更しました。
しかし、世界的にインフレ圧力は強く、FRBが「インフレファイター」になっているため、中長期的な日本株の上昇トレンドが発生するとは見ていません。「3月1日の2万7013.26円からの調整は、3月9日の2万4681.74円でいったん止まった可能性が高いかもしれないな」と感じている程度です。
4月から投資家の関心は2022年度の企業業績に集中!
「ドル高・円安トレンド」が続けば輸出企業の追い風に
4月になれば、投資家の関心は2022年度の企業業績に集中することになります。商品価格の上昇や半導体不足、サプライチェーンの混乱、欧米の人件費高騰、欧米中央銀行の金融引き締めの影響、ロシアのウクライナ侵攻などが、企業業績に一体どのように反映されるかが注目されるはずです。
仮に、2022年度の業績について保守的な見通しが相次ぐとの見方が強まるようなら、相場は下に振れるでしょう。
ただし、3月14日の外国為替市場で円が対ドルで下落し、一時1米ドル=118円台をつけました。米ドルが118円台になるのは2017年1月以来、5年2カ月ぶりのことです。
FRBは利上げを決める見通しなのに対し、日銀は大規模な金融緩和を続ける見込みのため、日米の金利差は拡大します。また、日本の貿易収支は2021年以降の原油高で赤字が定着しつつあり、その影響で1月の経常収支は過去2番目の大幅な赤字となりました。つまり、金利・実需の両面で、ドル高・円安トレンドは継続する可能性が高く、これは⾃動⾞や精密機器、機械などの輸出企業の収益に追い風になるはずです。
大和証券の企業業績見通しでは、2021年度の金融を除く主要企業の経常利益は前年度比39.8%増と、前回予想の35.0%増から上方修正しました。一方、2022年度は同7.6%増、2023年度は同3.3%増と3期連続で過去最高益を更新するとの見方を示しました。
当分の間「グロース株」に資金が回帰することはなく、
好業績・低PER・高配当利回りの「バリュー株」が物色の主役に
しかし、今後も最高益を実現する見込みとはいえ、増益率鈍化を主因に、日経平均株価などの株価指数の上値は相当重い状況が続くことも覚悟すべきと考えています。
ご存じの通り、世界の金融・経済の中心は米国です。その米国では、2020年の「新型コロナウイルスのパンデミック」と「ロックダウン」への対応で、FRBが刷りまくって市中にばら撒いたマネーの回収期に突入しつつあります。FRBが「インフレファイター」になるのですから、仕方ありません。世界的に株式に関しては、なんでもかんでも上がる時代は終わり、選別物色される時代が到来したと考えています。
インフレもそう簡単には収まらないでしょう。このため、米国の長期金利は今後も上昇基調を辿る見通しです。そうなると、当分の間、グロース株に資金が回帰することはないでしょう。米国の長期金利がピークアウトする見込みになるまでは、物色の主役はバリュー株でほぼ決まりと考えています。つまり、好業績・低PERの高配当利回り銘柄を、多くの投資家が選好するでしょう。
一方、当面の物色テーマとしては、「アフターコロナ関連」がど真ん中だと見ています。なぜなら、今、国内市場で最も期待できるのが「リベンジ消費の盛り上がり」だからです。具体的には、航空会社、鉄道会社、旅行代理店、宿泊や航空券予約サイト運営、観光、レジャー施設運営、外食、ホテル、クルージング、カラオケ、イベント企画、インバウンド(訪日外国人)などです。
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サブテーマとしては、「防衛関連」と「サイバーセキュリティ関連」にも注目しています。
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ここ最近まで難易度の高い相場が続いていましたし、残念ながらこれからも続くでしょう。2021年後半にFRBが「インフレファイター」に転じてから、株式投資はゲームチェンジしました。読者の皆様も、この市場の大きな変化に柔軟に対応し、これからも株式投資で収益獲得を目指してください。
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