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日経平均株価は「4万円」の大台を突破したが、
中長期的な上昇トレンドは依然として継続中!
週明けの3月4日、日経平均株価は終値で初めて4万円台にのせました。前週末の3月1日につけた終値ベースの史上最高値3万9910.10円を198.41円(0.50%)上回る終値4万109.23円を記録し、連日で史上最高値を更新。前週末の1日に米国の株式市場で半導体を中心にハイテク株が買われたことが好感され、週明け4日の東京市場でも半導体関連株が買われたことが、日経平均株価を押し上げました。そして、3月5日の日経平均株価はわずかに反落し、前日比11.60円(0.03%)安の4万97.63円で終えました。
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3月1日の米国株高の主因は、米・長期金利の低下です。米国10年債利回りは前日比0.07%低い4.18%でしたが、これは2月の米・ISM製造業景況感指数が冴えなかったためにインフレの鈍化期待が高まり、債券に買いが入った結果です。具体的には、2月の米・ISM製造業景況感指数が47.8と前月の49.1から低下し、市場予想49.5に反して悪化しました。好不況の分かれ目となる50を16カ月連続で割り込んでいます。
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3月1日は、この長期金利の低下を追い風に半導体関連を中心とした大型ハイテク株に買いが入り、米国の株式市場が堅調に推移。NYダウは続伸し、前日比90.99ドル(0.23%)高の3万9087.38ドルで引けました。また、ナスダック総合株価指数も続伸し、同183.02ポイント(1.14%)高の1万6274.94ポイントと、連日で過去最高値を更新。そしてS&P500種株価指数も続伸し、同40.81ポイント(0.80%)高の5137.08ポイントと、こちらも連日で過去最高値を更新しました。このように、米国の主要な3つの株価指数は非常に強い動きで前週の取引を終えたのです。
なお、週明け3月4日の米国株は利益確定売りが優勢となりました。NYダウは3営業日ぶりに反落し、前週末比97.55ドル(0.24%)安の3万8989.83ドル、ナスダック総合株価指数も3営業日ぶりに反落し、同67.43ポイント(0.41%)安の1万6207.51ポイント、そしてS&P500種株価指数も3営業日ぶりに反落し、同6.13ポイント(0.11%)安の5130.95ポイント、3つの株価指数はすべて下がる結果となっています。また、3月5日の日経平均株価も、前述したとおり、前日比11.60円(0.03%)安の4万97.63円で終えました。
しかしながら、3月4日の米国の主要な3つの株価指数と3月5日は日経平均株価はすべて小幅な下落にとどまっており、中長期的な上昇トレンドは継続中と見ておいてよさそうです。
投資資金が一部の「値がさハイテク株」に集中した結果、
日経平均株価は上昇したものの、市場全体の高揚感はなし
3月4日の日経平均は非常に強い動きでしたが、一方、TOPIXは前週末比3.14ポイント(0.12%)安の2706.28ポイントと、小幅ながら3営業日ぶりに反落しました。
また、強かった3月4日の日経平均株価についても、中身を見ると、採用225銘柄のうち前週末比での“値上がり銘柄数”が84銘柄、“変わらず”が5銘柄、“値下がり銘柄数”が136銘柄と、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回りました。約60%の銘柄が値下がりしていたのです。
225銘柄のうち、値上がりした銘柄と値下がりした銘柄を見ると、3月4日は、半導体関連の日経平均株価の押し上げ効果が顕著でした。具体的には、東京エレクトロン(8035)が90.91円、アドバンテスト(6857)が69.53円、信越化学(4063)が14.82円、レーザーテック(6920)が12.79円、それぞれ日経平均株価を押し上げました。つまり、これら半導体関連4社だけで、188.05円も日経平均株価を押し上げたのです。
一方、3月4日の東証プライム市場については、値上がり銘柄数が425に対して、値下がり銘柄数は1195と、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数の約2.8倍以上に達しました。この結果、騰落レシオ(25日平均)は98.85%と、100%を割り込みました。
つまり、投資資金が半導体関連を中心とした一部の値がさ株に集中したことで日経平均株価が史上最高値圏で推移しているだけであり、東京株式市場全体としては、まったく高揚感が感じられない状況となっていました。
とは言うものの、3月4日の東証プライム市場の売買代金は5兆3879億円と3営業日連続で5兆円を超えるなど、商いを伴った上昇相場が形成されています。つまり、半導体一極集中という物色面での歪さは否めないものの、ボリューム面から見ると、日本株は「そう簡単には崩れにくい状況」と言えるでしょう。
政府や日銀の関係者から「デフレ脱却」に関する発言が相次ぎ、
「金融政策の正常化」に向かう確度は着実に高まっている
3月2日に共同通信は「政府が物価の上昇傾向を受け『デフレ脱却』を表明する検討に入ったことが、複数の関係者への取材で分かった」と報じました。報道によれば「今春闘で物価高に見合う賃上げが実現するかどうかや、消費者物価指数をはじめ幅広い経済指標を踏まえて総合判断する」とのことです。
デフレに関して、岸田総理大臣は3月2日の衆議院予算委員会で「政府としても消費者物価はこのところ緩やかに上昇していると認識しているが、日本経済は再びデフレに戻る見込みがないと言える状況には至っていない。したがって、デフレ脱却には至っていないと考えている」と述べました。
そして、林芳正官房長官も3月4日の記者会見で、デフレから脱却したか否かの判断に関して「物価の基調や背景を総合的に考慮して慎重に判断する必要がある」とし、引き続き各種の経済指標の動向などを注視する考えを示しました。
一方、日銀の植田和男総裁は2月22日、衆議院の予算委員会で「消費者物価は去年までと同じような右上がりの動きが続くと予想している。そういう意味でデフレではなくインフレの状態にあると考えている」と述べました。さらに、日銀の高田創審議委員は2月29日、経済の不確実性はあるものの「2%物価目標実現がようやく見通せる状況になってきた」と言明しました。
このように、日本経済のデフレからの脱却に関する発言が、政府サイドからも日銀サイドからも相次いで出てきています。よって、政府の財政政策や日銀の金融政策が正常化に向かう確度は、着実に高まっていると言えるでしょう。
足元の日本株の上昇トレンドは、この先、一般庶民が
景気回復を実感する頃になって、ようやく終了する見通し
なお、足元の日本株の上昇は、ほぼ間違いなく、政府・日銀の脱デフレの判断に先んじて「脱デフレ+インフレ経済突入」を織り込みにかかっている結果と考えています。
ただし、市場は、政府・日銀が拙速に脱デフレを決めつけて、政策の軌道修正をすることを望んでいるわけではありません。再びデフレに陥ることはほぼあり得ないという状況になってはじめて政策転換を行うことを期待して、将来の政策転換を織り込んでいると見ています。
ご存じの通り、日経平均株価の4万円乗せ、および史上最高値の更新など、日本株の好調ぶりを連日メディアが報じています。これに関して、政治家(特に野党の政治家)や芸能人を含む著名人、そして街角の一般庶民の感想が伝わってきますが、彼らの感想の多くは「一般庶民(一般大衆)からすれば、今の株高は異常だ。日本経済が好調とは思えない。なぜならば、給料が上がらないなか、物価高で生活は苦しいままだからだ。株価指数の『日本の景気・経済のバロメーター』としての機能は、壊れているように感じる」といった論調です。
当コラムの読者の方々に言いたいことは、「市場は先行きの景気・経済に関して、確かに間違えることはたまにあるけれども、多くの場合は正しいことが多い。それゆえ、過去において間違えることが多かった“人間”たちの意見や見通しに耳を傾けてはならない。一方、市場には、景気・経済に対する先見性に優れているという特徴があることを決して忘れてはいけない。よって、投資を続ける限り、“人間”から発せられる景気・経済に対する雑音(ノイズ)を可能な限り遮断して、相場の声なき声を聞く努力を続けてください」ということです。
個人的には、足元で発生中の日本株の上昇トレンドについては、一般庶民(一般大衆)が景気回復を実感する頃に、ようやく終了することになると見ています。そしてそれは、まだまだ先のことと考えています。とにかく、安易に弱気になることなく「押し目買い・噴き値売り」を基本戦略にして、中長期的な株高を信じ、株式市場に資金を投じることを強くおすすめします。
ただし、相場ですから短期的な乱高下は必ず発生します。このため、短期的な急落が起こっても「一発退場」になることがないよう資金管理だけは厳格にしたうえで、相場に臨んでください。
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