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中東情勢の緊迫化による原油価格の高騰の影響で、
米国の長期金利が上昇し、米国株の上値を圧迫!
日経平均株価は、4月9日には前日比426.09円(1.08%)高の3万9773.13円でしたが、8日まで6営業日連続で日足のローソク足が「陰線」でした。
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「陰線」が連続した背景には「国内の機関投資家からの期初の益出し」や「年金基金からのリバランス売り」に加え、「中東情勢の緊迫化」があると見ています。なぜならば、中東情勢の緊迫化を主因にした原油高で、米国のインフレ再燃への懸念の強まった結果、米国の長期金利が上昇基調となり、米国の株式場が軟調に推移したからです。
中東情勢が緊迫化したきっかけは、4月1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館領事部に対してミサイル攻撃が行われたことでした。この攻撃に関して、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」は同日、イスラエルからミサイル攻撃を受けたと主張し、現地司令官ら7人が死亡したと発表しました。さらに、イラン軍のバゲリ参謀総長は「敵に最大限の被害を与えて自らの行動を後悔させる」とし、「攻撃時点と場所、方法はイランが決定する」と警告しました。
イランの最高指導者ハメネイ師の上級顧問を務めるサファビー氏は4月7日、「シオニスト政権の大使館は、もはや安全ではない」と語りました。また、米国のCBSテレビは「米国政府は、イランが4月10日頃に終了するイスラム教のラマダン(断食月)明け前にも、無人機や巡航ミサイルでイスラエルの外交施設を狙うとの情報を得ている」と報じています。
このような中東情勢の緊迫化(地政学リスクの高まり)を受け、原油先物価格が上昇基調です。WTI原油先物の期近の5月物は、中東情勢の緊張が原油供給に影響することへの警戒から、4月5日に一時1バレル87.22ドルと、2023年10月下旬以来、約5カ月ぶりの高値をつける場面がありました。ただし、4月7日にイスラエル軍がガザ南部の中心都市から大半の部隊を撤収したとの報道があり、翌8日のWTI原油先物の期近の5月物は、7営業日ぶりに反落しています。
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原油価格が上がると輸送費や電気代などのコストが上昇し、その後、企業がコストアップ分を商品価格に転嫁するため物価が上がります。実際、原油高を主因に、せっかく落ち着いてきた米国のインフレが再燃することが危惧されています。
このため、4月8日のNY債券市場では長期債相場が続落。米国10年債利回りは一時4.46%と、2023年11月下旬以来の高水準をつけ、最終的に前週末比で0.02%高い4.42%で取引を終えました。
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米国の長期金利の上昇は、米国株の上値圧迫要因です。実際、4月第1週(1~5日)のNYダウは週間で903.33ドル(2.27%)安と、週間の下げ幅としては2023年3月以来の大きさでした。週明け8日も、NYダウは前週末比11.24ドル(0.02%)安の3万8892.80ドルと、冴えない動きが続いています。
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ちなみに、JPモルガン・チェース(JPM)のジェイミー・ダイモンCEOは、4月8日に公表した「株主への手紙」で「市場の予想よりもしつこいインフレが続き、金利がより高くなるかもしれない」との懸念を示したとのことです。よって「米国のしつこいインフレ」には警戒しておく必要がありそうです。
25日移動平均線自体が上向きに戻るまで、
日経平均株価は「短期的な下落トレンド」が継続!
米国の長期金利の上昇は、金利差によるドル高・円安の要因となりますが、この円安は日経平均株価を下支えします。ただ、米国株の調整が長期化するようだと海外投資家がリスクオフ姿勢を強めるため、日経平均株価の上値も一段と重くなり、こちらも調整色が強まる見通しです。
日経平均株価については、3月22日の4万1087.75円が当面の天井になった可能性が高いと見ています。一方、当面の下値メドは、3月12日につけた3万8271.38円を想定しています。
とはいえ、4月9日の日経平均株価の終値は3万9773.13円と、75日移動平均線(9日時点で3万7314.36円)を大幅に上回っており、75日移動平均線自体も上向きです。このため、中長期の上昇トレンドは崩れていないと見ています。
一方、25日移動平均線(同3万9753.79円)については、かろうじて上回っているものの25日移動平均線自体が下向きのため、「短期の下落トレンドが発生中」と認識しています。なお、25日移動平均線は4月5日に下降転換しましたが、25日移動平均線の下降転換は1月5日以来のことでした。
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このため、短期的な下落トレンド終了のサインは「日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上向き転換すること」とします。さらに、日経平均株価が再び安定し、中長期の上昇トレンドに回帰するためには、「日経平均株価のチャートが、5日・25日・75日移動平均線のパーフェクトオーダー(移動平均線が上から短期・中期・長期足の順番で並んでいる状態)」となることが必要と考えています。
「押し目買い・噴き値売り」を基本戦略に、
国策として政府も注力する「半導体関連銘柄」を狙え!
物色面については、日本が経済安全保障の観点から半導体の国内生産に取り組んでいるため、半導体関連に注目しています。
半導体の世界的大手のTSMC(台湾積体電路製造)は、熊本県に日本初の生産拠点を設け、2月から本格稼働を始めています。日本政府は、半導体の確保に向けて、TSMCの熊本第1・第2工場に最大1兆2080億円を補助します。つまり、政府は事実上の国策として、TSMCの工場建設を支援しているのです。
また、最先端半導体の量産を目指すラピダスが、北海道に工場を新設します。計画では2025年4月に試作ラインを稼働させ、2027年から線幅2ナノメートルの最先端半導体を量産するとしています。なお、経産省は4月2日、2024年度にラピダスに対して最大5900億円を支援すると発表するなど、ラピダスへの支援を経済安全保障上の観点から重視しています。
以上のように「半導体の国内生産」は国策なので、半導体関連に関しては「国策に売りなし」の相場格言がズバリ当てはまります。
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結論として、現時点における投資環境はやや不安定になっているものの、日本株の中長期的な上昇トレンドは継続中であるので、「押し目買い・噴き値売り」を基本戦略にして市場参加することをおすすめします。
また「日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上向き転換する」までは、日本株のボラティティリティーが急上昇するケースが多発する見込みのため、くれぐれも「相場のカネと、凧の糸は出し切るな」という相場格言を肝に銘じておいてください。
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