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日経平均株価は、先週末に1200円超も下落したが、
今週に入ると幅広い銘柄が自律反発をして2日連続で上昇
先週末(4月19日)の日経平均株価は、前日比1011.35円(2.66%)安の3万7068.35円でした。前場終了間際の11時25分には1346.64円安の3万6733.06円をつける大幅な下落で、終値ベースの下げ幅としては2021年2月26日の1202.26円以来、3年2カ月ぶりの大きさでした。
値下がり銘柄数を見ても1554銘柄と東証プライム市場全体(1651社)の9割を超え、全面安の展開でした。さらに、週間(先々週末4月12日⇒先週末19日、終値ベース)では2455.20円(6.21%)の下落となりました。
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ただし、週明け4月22日の終値は前週末比370.26円(1.00%)高の3万7438.61円と反発。幅広い銘柄に自律反発狙いの買いが入った結果、東証プライム市場では1471銘柄が値上がりしました。さらに23日も前日比113.55円(0.30%)高の3万7552.16円と続伸しました。
4/26発表の米・PCEが予想より下振れした場合、
米・長期金利が低下して米国株の上昇が期待できる展開に!
4月19日に日経平均株価が大幅安となった要因は大きく3つ。それは(1)米国の長期金利の上昇、(2)日米の半導体関連株の調整の本格化、そして(3)中東情勢の緊迫化です。
まず(1)米国の長期金利が上昇しているのは、米国経済が底堅さを保つなかで、インフレの再加速や利下げ時期が後にずれ込むことへの警戒が強まっているからです。
例えば、パウエルFRB議長は4月16日に「最近のデータは明らかに私たちに自信を与えていない」「(物価上昇率が2%に戻る確信を得るには)予想以上に時間がかかりそうだ」などと述べ、これまでの「楽観的な物価認識」を修正しました。
この議長の修正発言を受け、4月16日の米国10年債利回りは上昇し、一時は4.69%と2023年11月以来の高水準をつけました。その後、米国の長期金利の上昇は一服し、22日の米国10年債利回りは前週末比0.01%低い4.61%で終えましたが、依然として4.6%を上回っており、米国の長期金利は高止まりしていると言ってよいでしょう。
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4月26日には、FRBが物価指標として重要視している3月の米・個人消費支出(PCE)の発表があります。もちろんこれは、FRBの利下げ時期を探るうえで最も注目度が高い指標のひとつです。事前予想では、食品とエネルギーを除くコア指数が前年同月比2.7%上昇し、伸び率が前月の2.8%を若干下回ると見られています。
発表された数値が事前予想から上振れるケースでは、インフレ再燃への懸念が強まるため、米国の長期金利が上昇し、米国株の上値圧迫要因となる見通しです。逆に下振れするケースなら、米国の長期金利は低下し、米国株高が見込めます。
なお、すでに米国では、4月30日〜5月1日開催のFOMCに向けてFRB高官が金融政策に関する対外発言を控える「ブラックアウト期間」に入っているため、FOMC終了までFRB高官の発言は市場に伝わってきません。
ですが、ブラックアウト期間に入る直前の4月18日、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が「利下げの緊急性をまったく感じていない」と述べていることから、今回のFOMCはタカ派的(インフレを警戒して利下げに慎重)な結論となる可能性が高そうです。
ただし、これまでの過程(債券安・株安)で、タカ派的な結論はある程度は織り込み済みであり、仮にFOMCでタカ派的な結論が発表されたとしても米国の金融市場が動揺することはなく、冷静さを保った値動きを続けるとは見ています。なぜなら、現時点においてFOMCのタカ派的な結論はサプライズではないからです。
オランダのASMLホールディングと台湾のTSMCの
決算発表をきっかけに、半導体関連株の調整が本格化!
次に、(2)日米の半導体関連株の調整の本格化ですが、きっかけは、オランダの半導体製造装置大手、ASMLホールディングが4月17日に発表した2024年1〜3月期決算が嫌気されたことでした。1〜3月期の売上高は前年同期比22%減の52億9000万ユーロと市場予想の54億6000万ユーロを下回り、受注額も36億1100万ユーロと市場予想の57億9000万ユーロを下回りました。さらに、4〜6月期の売上高は57億〜62億ユーロを見込んでいますが、上限でも市場予想の63億9000万ユーロに届きませんでした。
この結果を受け、株式市場では半導体需要や製造装置受注の先行きを懸念した売りが加速し始めました。
そして、半導体受託生産の大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、4月18日に発表した2024年1〜3月期決算が大幅な増収増益となり、4〜6月期の売上高見通しも市場予想を上回りましたが、2024年のメモリーを除く半導体業界全体の生産予想を「10%以上の伸び」から「10%の伸び」に引き下げました。これが、半導体関連株全般への失望売りのトリガーとなりました。TSMCによれば、業界全体については、AI開発用半導体の受託生産が好調な一方で、自動車向けの減少やスマートフォン向けの回復が弱いとのことです。
中東情勢の緊迫化については、一時的に狼狽売りが出たものの、
当面の間、イスラエル・イラン間の紛争は拡大しない見通し
最後に、(3)中東情勢の緊迫化による株価の下落ですが、結論から言えば「イスラエルがイランの核施設をミサイル攻撃した?」との憶測・観測(結果としてデマ)が市場に流れた結果、多くの投資家が狼狽売りをした影響と見ています。
確かにイランとイスラエルは対立を続けています。そして4月19日、「イラン領内の複数箇所で爆発があった」「イラン領内の核施設周辺で爆発があった」などの報道があり、その直後に先ほどの「イスラエルがミサイル攻撃をした」との憶測・観測(結果としてデマ)が市場に流れたのです。
しかしながら、時間の経過とともに「イスラエルの空爆はイランの核施設を標的にしていなかった」などと伝わるなど、攻撃は限定的な範囲にとどまったとの見方が強まっていきました。
さらに、4月19日の東京株式市場の通常取引の終了後、「イラン軍事筋は19日、共同通信の取材に、中部イスファハンが無人機による攻撃を受けたことに関し、イスラエルへの再攻撃は『現時点では検討していない』と語った」との共同通信の記事が伝わりました。また、同じく4月19日にイランのアブドラヒアン外相が「イスラエルが我が国の利益に反する新たな冒険主義を取らない限り、我々は新たに反応することはない」と米・NBCのインタビューで述べました。
これら各種報道から、当面の間、両国の紛争はエスカレーションすることはないと見てよいでしょう。
短期的に日本株は依然として調整局面にあるが、
中長期では「強気」のスタンスを維持するべき
4月23日の日経平均株価の終値は3万7552.16円と、25日移動平均線(23日時点で3万9406.08円)を大幅に下回っています。また、25日移動平均線自体も13日連続で下降中です。テクニカル的には「日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上昇転換するまで」は、日本株の調整が続くと見ています。
ただし、これは短期的、かつ健全な調整であり、日本の「脱デフレ」が見込めることを前提に、日本株に関しては中長期では「強気」を維持するべきと考えています。
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それにしても、足元の相場急落を受けて心配なのは、信用取引を積極的に活用している個人投資家の損益状況です。
4月12日申し込み時点の信用買い残(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は3週連続で増え、4兆5953億円と2006年7月以来およそ18年ぶりの高水準を更新しています。
将来の売り予約である信用買い残が積み上がる一方で、相場が急落してしまいました。このため、個人投資家の関与率が高い銘柄のうち、「株価が上昇する過程で信用買い残を積み上げ、その後、株価が急落してチャートが悪化(例えば、株価が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線自体も下向き)した」ものはアンタッチャブルだと思います。
読者の皆様は、新規で株を購入する際には、くれぐれも今まで以上に「信用買い残」と「チャート」を入念にチェックしてください。そして「信用需給とチャート形状が良好な銘柄」のうち、前回の当連載で挙げたような「国策」に沿った事業を展開し、かつ業績が好調な銘柄群をメインに組み入れたポートフォリオを構築することをおすすめします。
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