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「米国の長期金利の上昇」と「中東の地政学リスクの高まり」で、
NYダウとナスダック総合株価指数は不安定な動きに
米国の株式市場は、インフレ再燃懸念の強まりを主因にした「米国の長期金利の上昇」と、「中東の地政学リスクの高まり」で、不安定な動きを続けています。4月15日のNYダウは6日続落し、週末比248.13ドル(0.65%)安の3万7735.11ドルと、1月18日以来およそ3カ月ぶりの安値で取引を終えました。また、ナスダック総合株価指数は続落し、同290.07ポイント(1.79%)安の1万5885.02ポイントでした。
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米国の長期金利に関しては、4月15日の米国10年債利回りが一時4.66%と2023年11月中旬以来、約5カ月ぶりの水準に上昇し、最終的に前週末比0.08%高い4.60%で取引を終えました。
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4月15日に発表された3月の米・小売売上高は前月比0.7%増と、市場予想の0.3%増を大幅に上回りました。さらに、2月分も0.9%増に上方修正され、2カ月続けて高い伸びとなりました。つまり、米・個人消費が依然として堅調であることからインフレ圧力が増すとの見方が強まり、債券が売られたのです。
なお、物価に関しては、4月11日に発表された3月の卸売物価指数(PPI)の上昇率が前月比0.2%と、2月の0.6%から縮小し、市場予想0.3%も下回りました。しかしながら、10日に発表された3月の米・消費者物価指数(CPI)の上昇率も前年同月比で3.5%と、2月の3.2%上昇から加速し、市場予想の3.4%も上回りました。ガソリンや住居費の伸びが目立ち、インフレの根強さが改めて意識されました。
このCPIの発表以降、市場では、利下げ開始時期の予想が6月から9月に後ずれし、年内に予想される利下げ回数も従来の3回から2回に減りました。
イスラエルがイランに対する大規模攻撃を見送れば、
米国のインフレ再燃への懸念は収まり、米国株は上昇へ!
一方、中東の地政学リスクの高まりについては、4月12日にウォール・ストリート・ジャーナル電子版が「イランが早ければ12日か13日にイスラエルを攻撃する可能性に備え、米国はイスラエル防衛のために軍艦を移動させている」と報じました。この報道を受け、市場はイランとイスラエルの本格的な武力衝突に身構えました。
当然のことながら、中東の地政学リスクの高まりは原油価格の上昇要因のひとつです。原油高はガソリン高に直結し、米国のインフレ再燃への懸念を強めることになりかねません。
そして、事前の報道通り、4月1日にシリアにあるイラン大使館が攻撃を受けたことへの報復として、イランは13日から14日にかけて、イスラエルに向けて多数の無人機やミサイルによる大規模な攻撃に踏み切りました。この攻撃に対してイスラエルは、アメリカなどの協力も得て、そのほとんどを迎撃したとしています。そして現在、イスラエルは戦時内閣の閣議を開いて今後の対応を協議しています。
このような緊迫した事態に対して、日本時間の4月14日夜、G7はオンライン形式で首脳会議を開き、議長国のイタリアが攻撃を「もっとも強い言葉で非難する」との首脳声明を発表しました。また、14日にイランのイスラエル攻撃を受けて開かれた国連安全保障理事会の緊急会合で、米国のウッド国連次席大使は、イランに責任を取らせるための措置を検討すると表明しました。
今後に関しては「今回のイランの攻撃に対して、イスラエルが大規模な反撃をするか否か」が最大のポイントになります。
ただし、4月14日に米国のニューヨーク・タイムズは、2人のイスラエル官僚の言葉を引用して「イスラエルのネタニヤフ首相は4月13日(現地時間)、イランの空襲以降に報復を考慮していたが、米国のバイデン大統領との電話会談直後にこれを撤回した」と報じました。また、ロイターは14日、「バイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相に対し、イランに対するいかなる対抗措置にも米国は参加しないと伝えた」と報じています。
これらの報道通りならば、中東情勢はいったん落ち着いて地政学リスクは低下し、原油価格も上がりにくくなるでしょう。その結果、米国のインフレ再燃への懸念は収まり、米国の長期金利の低下と米国株の上昇(調整一巡)が見込めると見ています。
ただし、万が一、予想に反してイスラエルがイランへの報復に踏み切った場合、金融市場は動揺し、混乱する見通しです。
米国を中心とした「NATO派」と中国を中心とした「SCO派」に
現在の世界は二分され、すでに「新たな冷戦」の状態に!
ところで、地政学リスクが強く投資家に意識されているため、ここで世界情勢を今一度確認しておきたいと思います。結論として、私は「新たな冷戦がすでに始まっている」と見ています。
アメリカ合衆国を中心にした西側とソビエト連邦を中心にした東側との東西冷戦は、1991年12月26日、ソビエト連邦が最高会議で自ら「消滅」を宣言したことで終了しました。そして2022年2月24日に、ロシアがウクライナに侵攻したことを契機に、米国を中心にしたNATO(北大西洋条約機構)派と、中国を中心にしたSCO(上海協力機構)派に、ほぼ明確に世界が二分されたと考えています。
東西冷戦は「資本主義」対「共産主義」の対立でしたが、今回の冷戦は「パックス・アメリカーナ(アメリカの覇権)肯定派」と「パックス・アメリカーナ否定派」との対立という構図です。
ちなみに、NATOの加盟国は欧米を中心とした32カ国です。一方、SCOは中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、インド、パキスタン、イランの9カ国による国家連合ですが、オブザーバー国や対話パートナー国を合わせると26カ国を擁する大きな組織になっています。
どちらの陣営にも核保有国が属しています。このため、今後も小さな代理戦争的な紛争は発生するでしょうが、両陣営が本格的な戦闘状態に陥る可能性は「ほぼゼロ」だと思っています。だから「冷戦」なのです。米国政府が日本やオランダ、ドイツ、韓国に対し、中国による半導体技術へのアクセスを厳しく制限していることでわかるように、先端科学や宇宙などの分野での陣営内での囲い込みなどが、今後ますます激化していくことでしょう。
「日米首脳共同声明」「脱炭素分野の日米間で閣僚級会合」が
今後の「国策テーマ」と「国策銘柄」を探る重要なキーワードに!
日本については、4月10日の日米首脳共同声明の表題が「未来のためのグローバル・パートナー」であったことで分かるように、米国と一心同体の状況です。その共同声明では「防衛・安全保障協力の強化」「宇宙における新たなフロンティアの開拓」「イノベーション、経済安全保障および気候変動対策の主導」などが挙げられています。
さらに、脱炭素分野では日米間で閣僚級会合を立ち上げ、斎藤健経済産業相とジョン・ポデスタ米大統領上級顧問(国際気候政策担当)が4月10日午後(日本時間11日未明)にワシントンで初会合を開いたことも忘れてはなりません。
この「日米首脳共同声明」と「脱炭素分野の日米間で閣僚級会合」を具体的な投資テーマに落とし込んだのが以下の表です。
これらの投資テーマがど真ん中の「国策テーマ」であり、それに沿った事業を展開している企業が「国策銘柄」となります。「国策に売りなし」です。株式投資で成り上がりたいのであれば、あなたのポートフォリオを可能な限り、国策銘柄で埋め尽くすことをおすすめします。
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