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10月4日発表の9月の米・雇用統計は非常に良好な結果に!
来月の数字は落ち込む見通しだが不安視する必要はなし
10月4日に発表された9月の米・雇用統計は「米国の労働市場が急速に冷え込んでいる」という懸念を払拭させる強い内容でした。
具体的には、非農業部門の就業者数は前月比25万4000人増と、市場予想の15万人増を大幅に上回りました。また、就業者の伸びは7月が8万9000人から14万4000人に、8月が14万2000人から15万9000人にそれぞれ上方修正されました。また、失業率は4.1%と、市場予想の4.2%を下回る結果に。そして平均時給は、前年同月比で4.0%上昇と予想の3.8%上昇を上回り、前月比でも0.4%上昇と市場予想の0.3%上昇を上回りました。
■9月の米・雇用統計の結果 | ||||||
就業者数 | 25万4000人増(市場予想:15万人増) | |||||
就業者の伸び | 7月:8万9000人⇒14万4000人に上方修正 8月:14万2000人⇒15万9000人に上方修正 |
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失業率 | 4.1%(市場予想:4.2%) | |||||
平均時給 | 前年同月比4.0%上昇(市場予想:3.8%上昇) 前月比0.4%上昇(市場予想:0.3%上昇) |
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ただし、来月発表される10月の米・雇用統計に関しては、ボーイング(BA)のストライキやハリケーン「ヘリーン」の影響で、弱めの数字が出る見通しです。このため、10月の雇用統計が冴えない数値になっても、米国の労働市場が冷え込んでいると見る必要はないと思います。
まず、ボーイングについては、9月13日に従業員約3万3000人が加入する労働組合がストライキに突入しました。ストライキを続ける労働組合は、10月7日の交渉後に「終日協議したが、報告すべき有意義な動きはなかった」とコメントし、交渉を継続する方針を明らかにしています。このストライキがボーイングのサプライヤー(製品の部品などを製造して供給、納入する業者)の間で雇用懸念を引き起こしているのです。
次に、ハリケーン「ヘリーン」については、9月26日に米国に上陸した後、サウスカロライナ州、ノースカロライナ州、ジョージア州、フロリダ州、テネシー州、バージニア州の6州に豪雨をもたらし、各地で洪水による被害が発生しました。被災地では道路や電力の復旧に苦慮しており、被災地の企業の事業回復には時間がかかる見込みです。当然これは、被災地の雇用情勢を悪化させることでしょう。
中東情勢の緊迫化によって原油の供給不安が拡大し、
NYダウとナスダック総合株価指数はそろって反落!
9月の雇用統計を受け、米国経済のソフトランディングへの期待が高まり、米国市場では株式が買われました。10月4日のNYダウは反発し、前日比341.16ドル(0.81%)高の4万2352.75ドルと、9月30日以来、4日ぶりに最高値を更新。ナスダック総合株価指数も反発し、前日比219.37ポイント(1.22%)高の1万8137.85ポイントをつけました。
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一方、10月4日のNY債券市場では長期債相場が大幅に3日続落しました。米国10年債利回りは前日比0.13%高い3.97%で取引を終え、一時は3.98%と8月上旬以来、約2カ月ぶりの高水準をつけました。
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しかし、週明け10月7日のNYダウは前週末比398.51ドル(0.94%)安の4万1954.24ドルと反落。また、ナスダック総合株価指数も反落し、同213.94ポイント(1.18%)安の1万7923.90ポイントでした。この日の株価下落は、米国10年債利回りが一時4.03%とさらに上昇したことが一因でした。
しかしながら私は、長期金利の上昇よりも、中東情勢の緊迫化による原油先物の上昇のほうが悪材料視されたと見ています。10月4日は、イスラエルがイランのミサイル攻撃に対する報復に動き、原油供給に悪影響が生じかねないとの見方が強まったことで、WTI期近の11月物が一時は1バレル=77.40ドルと、期近物としては8月下旬以来の高値をつけたからです。
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9月の米・雇用統計の結果や石破首相の発言により、
日米金利差の縮小ペースは緩やかになる見通し
なお、米国の金利に関しては、9月の雇用統計を受け、FRBが11月6~7日開催のFOMCで、9月会合のような0.5%の大幅利下げを実施するとの見方が後退しています。
一方、日本の金利に関しては、石破茂首相が10月2日、日銀の金融政策について「現在、追加の利上げをするような環境だとは思っていない」と述べました。このため、外国為替市場では、日米金利差の縮小ペースが緩やかになるとの見方が強まっています。
よって、金利面から、対ドルで円高が一方的に進行しにくい状況になっていると見ています。
「堅調な米国経済」や「石破首相の方針転換」などにより
日本株の投資環境は大幅に改善し、収益獲得が見込める状況に!
ところで、10月4日に石破首相が所信表明演説を行い、「経済活動の基盤である金融資本市場の変革にも取り組みます。貯蓄から投資への流れを着実なものとし、国民の資産形成を後押しする『資産運用立国』の政策を引き継ぐとともに、産業に思い切った投資が行われる『投資大国』に向けた施策を講じます」と述べました。9月2日にテレビ番組に出演した際に「(金融所得課税の強化について)実行したい」と発言していた石破首相が、株式市場にとってポジティブな方向に豹変してくれました。
また、石破首相は10月4日、総合経済対策の策定に着手するよう閣僚に指示しました。「物価高への対応として、低所得者世帯向けに給付金を配ること」「自治体向けの交付金を大幅に拡充すること」、さらに「災害からの復旧を加速して防災・減災への取り組みや国土強靱化も進めること」などが対策の骨子です。
今回の経済対策の策定指示は、10月27日に投開票される衆議院の総選挙を強く意識した「選挙対策」の意味合いが濃いと感じています。なぜなら、バラマキ型の景気対策の色彩が強いからです。ですが、仮にそうだとしても、積極的な財政出動は日本の景気・株式相場にはポジティブな材料です。
「米国経済が堅調を維持している」「金利面から円高が進みにくい状況になっている」「石破首相がマーケットフレンドリーに変化している」、そして「積極的な財政出動が見込める」といったことを考慮すると、日本株の投資環境は大幅に改善していると考えています。よって、積極的な市場参加で収益獲得を目指すことをおすすめします。
11月5日から東証の現物市場と先物・オプション市場の
取引終了時間が「30分延長」されるので要注意!
最後に、ぜひとも認識しておいてほしいことがあります。それは、東証が2024年11月5日から予定している次期売買システム「arrowhead4.0」の稼働に併せて、取引時間の延伸を実施することです。現物市場に関しては、現状15時となっている立会内取引の終了時刻が15時30分まで延伸されることになります。
また、現在の現物市場はザラ場から大引けの板寄せまで連続しています。しかしながら11月5日以降は、大引けの売買について、現物市場の後場立会終了時において、海外では一般的な制度である「クロージング・オークション」が導入されます。具体的には、ザラバは15時25分に終了し、そこから5分間、売買が成立しない「注文受付時間(プレ・クロージング)」を設けた後、15時30分に板寄せが行われます。
さらに、先物・オプション市場に関しては、現在「8時45分~15時15分」の取引時間が「8時45分~15時45分」に延伸。夜間取引は現在の「16時30分~翌日6時」から「17時~翌日6時」に変更されます。先物・オプションの「クロージング・オークション(先物・オプション取引のプレ・クロージング終了後に板寄せを行う仕組みのこと)」の時間は、日中立会は15時45分に変更され、夜間立会は6時のままです。
「現物市場」「先物・オプション市場」ともに重要な売買制度の変更なので、ぜひとも覚えておいてください。
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