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衆院選で自民党と公明党が惨敗して「過半数割れ」となったが、
政権の枠組みが維持される可能性は高く、株式市場の動揺は限定的
10月27日に投開票された衆議院議員選挙で、自民党(191議席)と公明党(24議席)の与党は計215議席にとどまり、過半数(233議席)を下回りました。一方、野党第1党の立憲民主党は148議席へと躍進。ただ、自民党は議席数を大きく減らしたとはいえ、議席数が最も多い「比較第一党」の地位は守りました。
■衆院選による各党の議席数と増減 | |||
政党名 | 公示前議席⇒獲得議席 | 増減 | |
与党 | 自由民主党 | 247 ⇒ 191 | ▲56 |
公明党 | 32 ⇒ 24 | ▲8 | |
野党 | 立憲民主党 | 98 ⇒ 148 | 50 |
日本維新の会 | 44 ⇒ 38 | ▲6 | |
国民民主党 | 7 ⇒ 28 | 21 | |
れいわ新選組 | 3 ⇒ 9 | 6 | |
日本共産党 | 10 ⇒ 8 | ▲2 | |
他・無所属 | 24 ⇒ 19 | ▲5 |
この選挙結果を受けて、自民党総裁の石破茂首相は10月28日に党本部で記者会見を開き、「職責を果たしてまいりたい」と述べて続投する意向を表明しました。
このような状況下、10月29日の朝5時、読売新聞オンラインは「石破首相(自民党総裁)は28日、自民、公明両党が衆院選に大敗して衆院で過半数に満たない少数与党となったため、野党の国民民主党の玉木代表に対し、政策ごとに連携する『部分連合』を呼びかける方針を固めた」「自民幹部によると、首相は玉木氏が重視する電気・ガス代の値下げなどの家計支援策を経済対策や補正予算案に盛り込み、国民民主の賛同を得て臨時国会で予算案を成立させたい意向だ」と報じました。
また、同じく10月29日の朝5時半、NHK(オンライン版)は「玉木氏は党が選挙戦で掲げた政策の実現などにつながると判断した場合は、総理大臣指名選挙でほかの党の党首に投票することもありうるとしています」と報じています。
これらの報道を鑑みると、日本の政治は不安定な状況が続く見通しですが、政権の枠組みが維持される可能性は高いため、株式市場が動揺することはなさそうです。
また、国民民主党は2024年重点政策として「手取りを増やす。インフレに勝つ。」を掲げています。具体的には「減税・社会保険料の軽減・生活費の引き下げで、みんなの手取りを増やす」としています。そのため、今後、自民党が国民民主党の重点政策を受け入れ、国会運営に関して協力を仰ぐなら、積極的な財政支出が期待できるため、日本経済及び株式市場にとってポジティブな政治状況になったと考えています。
株式市場は選挙前に「与党惨敗」を織り込んでいたため、
週明けの日経平均株価とTOPIXはともに反発!
東京株式市場では、10月23日まで、日経平均株価とTOPIXは11日連続で「陰線」を引いていました。24日は日経平均株価、TOPIXともに12営業日ぶりに「陽線」を引きましたが、週末25日には日経平均株価もTOPIXも再び「陰線」を引きました。
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この調整過程で、株式市場は「与党惨敗」を、ほぼ織り込んでいたと見ています。だからこそ、選挙結果を受けた週明け10月28日は、日経平均株価が前週末比691.61円高の3万8605.53円、TOPIXが同39.46ポイント高の2657.78ポイントと、どちらも反発したのでしょう。
繰り返しますが、今回の選挙結果を受けて日本の政治が不安定になったことは間違いありません。しかし、政権の枠組みが180度変わったわけではないため、当面は、日本の政治リスクに対して過度に神経質に反応する必要はないと見ています。
米国の長期金利の上昇とそれに伴う円安の流れから、
日経平均株価はNYダウに対して相対的に強い動きに!
一方、米国では、10月30日に7〜9月期の米・実質GDP速報値、31日に9月の米PCE物価指数、11月1日に10月の米・雇用統計と10月のISM製造業景況感指数などが発表される予定です。さらに、11月5日には米国の大統領選挙を控えています。
重要なマクロ指標の発表が相次ぐうえ、最大の政治イベントである大統領選も間近に迫っているため、目先の米国の株式市場は「ボラタイル(値動きが激しい状態)」になる可能性があります。
米国に関して気になるのは、長期金利の上昇です。10月28日の米国10年債利回りは、一時4.30%と7月中旬以来の高水準をつけ、最終的に前週末比で0.04%高い4.28%で取引を終えました。
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米大統領選に関する世論調査では、共和党候補のトランプ前大統領が勢いを強めています。トランプ氏は関税引き上げや移民政策の強化に加えて法人税減税などを掲げており、「トランプ氏が勝利すれば、インフレの再加速や米国の財政悪化への懸念が強まる」との見方から、米国の長期債が売られているのです。
このような状況下で、10月28日のNYダウは6営業日ぶりに反発し、前週末比273.17ドル高の4万2387.57ドルで引けています。ただし、前週(21~25日)のNYダウは1週間で1161.51ドル(2.68%)安と7週間ぶりに下落しており、これは米国の長期金利の上昇が嫌気された結果と認識しています。
なお、米国の長期金利の上昇は、金利面での「ドル高・円安」要因です。そして、円安は我が国の輸出企業の収益および株価の下支え材料となります。よって、長期金利の上昇でNYダウが下落しても、円安効果が期待できるので、日経平均株価はNYダウに対して相対的に強い動きが見込めると考えています。
FRBによる利下げと大統領選後の経済政策により、
当面、米国経済が失速するリスクは非常に低い
ただ、米国の長期金利が上昇していると言っても、腰を抜かすような良好な経済指標の発表が続かない限り、今後、FRBは米国の労働市場に配慮しながら粛々と政策金利を利下げするはずです。
また、大統領選に関しては、民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領のどちらが勝利しても、米国経済を成長させる方向で経済運営を目指すでしょう。このため、米国経済が失速するリスクは非常に低いと見ています。
よって、衆院選前まで調整色の強かった(押し目を形成していた)日本株も、当面は反発していく可能性が高いと見ています。
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