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米国経済の強さが米・長期金利の下落につながり、
結果として日経平均株価が下落する要因に!
今週も最初に米国市場の動向を見ていきましょう。米国経済があまりに強いため「FRBが利下げを当面休止する」との見方が強まり、長期金利の上昇が止まらない状況が続いています。これが株価指標で割高な米国のハイテク株の上値を圧迫すると同時に、ハイテク株指数の色彩の強い日経平均株価の下押し材料となっています。
1月10日に発表された2024年12月の米・雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比25万6000人増と市場予想の15万5000人増を大幅に上回り、失業率も4.2%から4.1%に低下しました。平均時給は前月比0.3%増と市場予想と一致したものの、総じて強い内容でした。また、NY連銀が13日に発表した12月の消費者調査では、3年後の予想インフレ率が前月の2.6%から3.0%に切り上がりました。このように、米国では強い経済指標の発表が相次いでいます。
さらに、1月20日に大統領に就任するトランプ氏の不法移民排除の方針や関税の引き上げ政策により、「インフレが再燃しやすい状態が続く」との観測が広がっています。
この結果、米長期債が売られているのです。1月13日の米国10年債利回りは前週末比0.02%高い4.78%で終え、一時は4.80%と2023年11月以来の高水準をつけました。
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なお、関税に関しては、ブルームバーグが1月14日、「関係者によると、関税を月ごとに約2〜5%引き上げる案がひとつの選択肢として浮上している。国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく措置になる見通しという」と報じています。
段階的な関税引き上げだとしても、引き上げることに変わりないため、インフレ圧力として機能するはずです。また、実際に米国が関税引き上げに動けば、相手国も報復関税に踏み切る可能性が高く、あちこちで貿易戦争が起きかねません。
米国のハイテク分野での「対中政策」は、
次期トランプ政権で一段と強硬になる見通し
このような状況下、1月13日のNYダウは反発し、前週末比358.67ドル(0.85%)高の4万2297.12ドルでした。前週末10日のNYダウは前営業日の8日比で696.75ドル(1.63%)安の大幅安だったため、リバウンド狙いの買いが入って反発した形です。一方、13日のナスダック総合株価指数は4日続落し、同73.53ポイント(0.38%)安の1万9088.10ポイントでした。
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ナスダック総合株価指数がNYダウに比べて弱いのは、米長期金利が上昇基調のため、高PERのハイテク株への売り圧力が強まっていることが主因と考えています。
なお、半導体に関しては、バイデン政権が1月13日、AI向け先端半導体に関する輸出規制の見直し案を発表したことも悪材料となりました。この規制の狙いは、海外での先端半導体の流通・在庫データを把握し、中国への迂回輸出を封じることです。規制案には120日の意見募集期間を置き、一部は施行まで1年の準備期間を設けるとのことです。
この規制に関してロイターは、「アナリストや投資家は1月13日、米国の半導体大手エヌビディア(NVDA)の売り上げが大きな影響を受ける恐れがあるとの見方を示した」と伝えています。
そして、このような米国のハイテク分野での「対中政策」は、トランプ2.0(第2次トランプ政権)では一段と強硬になる見通しです。
ちなみに、米国の標的になっている中国の2024年通年の貿易黒字は、9921億ドルと前年から21%増えて過去最大となりました。過剰生産により国内であふれた製品を安値で海外に出荷した結果としての巨額の貿易黒字です。このような状況を、トランプ次期大統領が看過するはずはないので、米中の貿易摩擦が激しくなることは必至の情勢と認識しています。
1月23〜24日開催の日銀金融政策決定会合で追加利上げが
見送られたとしても、利上げの実施は時間の問題
一方、日本ですが、国内の債券市場で長期金利が上昇基調となっています。1月14日午前、新発10年もの国債の利回りが前週末比0.045%高い1.245%と、2011年4月以来、13年9カ月ぶりの高さをつけました。
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この背景には、米国の金利上昇が国内金利の上昇圧力となっていることに加え、日銀の早期利上げ観測が浮上していることがあります。早期利上げ観測が強まったきっかけは、1月10日にブルームバーグが「日銀が物価見通しを上方修正の公算大、コメ価格上昇と円安-関係者」と題した記事を報じたことでした。物価見通しの上方修正を根拠に、日銀が追加利上げを決断するのではないかとの見方が強まったのです。
なお、日銀の氷見野良三副総裁は1月14日、「(23〜24日に開く金融政策決定会合で)利上げをするかどうか政策委員の間で議論し、判断したい」「実質金利がはっきりとマイナスがずっと続くのは普通の姿とはいえない」「2025年度の賃上げは、2024年度に続いて強い結果を期待できるのではと願っている」などと述べました。
これらの発言から、追加利上げは、今回の会合で見送られたとしても、実施されるのは時間の問題と見ておいたほうがよさそうです。ただし、利上げとなっても、米国経済が強いため、2024年8月に起きた「令和のブラックマンデー」のような株式相場の急落が起きる可能性は低いと見ています。
5日移動平均線を上回り、かつ5日移動平均線自体が上向かない限り、
現在の日経平均株価の調整トレンドは継続する見通し
FRBの利下げが当面休止となる可能性が高まった一方で、日銀が早期の追加利上げに踏み切るとの見方が強まったことで、外国為替市場においてドル/円相場が円高に振れやすくなっています。
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円高は自動車など輸出関連株の売り材料です。米国のハイテク株安に加え、円高推移となるようだと、当面の日経平均株価は調整色を強める見通しです。
しかしながら、米国の経済が非常に強いため、日経平均株価の上値は重いものの、下値も堅いと見ています。ただし、テクニカル的に日経平均株価が5日移動平均線(11日時点で3万9466.83円)を上回り、かつ5日移動平均線自体が上向きに転じない限り、現在の調整は続くと考えています。
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以上のことから、当面の日経平均株価の想定レンジは3万7000~4万円程度で、「トランプリスク」を主な要因として日米株式市場のボラティリティは高止まりすると見ています。
日経平均株価が想定レンジ上限の4万円を超えて上がっていくためには、米国の長期金利の上昇が一服し、米国のハイテク株(特に半導体関連株)の調整が一巡することが必要と考えます。それが実現するまでは、下落する半導体関連株が日経平均株価の足を引っ張り続ける可能性が高く、半導体関連株の調整が一巡すれば、日経平均株価の調整も終了することになるでしょう。
残念ながら、現在の株式相場の地合いは悪いため、無理して売り買いする必要はないと感じています。「休むも相場」です。相場全体の底打ちをじっくり待つ戦略をおすすめします。
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