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11月23日の米国10年物国債利回りは前日比0.04%高の1.66%と上昇し、一時は1.68%と1カ月ぶりの高水準をつける場面もありました。
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米国の長期金利が上昇した主因は大きく2つで、「FRB議長人事」と「原油先物高」です。
まず「FRB議長人事」ですが、バイデン米大統領は11月22日、パウエルFRB議長を再任する方針を決めました。市場では、パウエル氏より「ハト派寄り」とされるブレイナード理事が議長に指名される可能性が囁かれていましたが、それが見送られたことで、米国の利上げ時期が遅れるとの期待がしぼんでしまったのです。それと同時に、米国の金融政策の正常化が金融市場の想定通りに進むとの見方が強まって、長期金利が上昇したのです。
一方、「原油先物高」は、11月23日のWTI期近の1月物が前日比1.75ドル高の1バレル78.50ドルに上昇しました。バイデン米政権が23日、日本などと協調して石油の戦略備蓄を放出すると発表したものの、事前に備蓄放出の観測が広がっていたために当面の材料出尽くし感が強まり、買いが加速したようです。米国政府は、今後数カ月かけて5000万バレルの備蓄を放出するとのことです。
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また、「米国政府の備蓄放出に対抗して、石油輸出国機構(OPEC)加盟国やロシアなどが石油の供給を減らす」との観測も原油先物の買い材料となったようです。
なお、米国の長期金利が上昇して日米の金利差が拡大したことで、外国為替市場では“円売り・ドル買い”が加速しています。11月23日のNY外国為替市場で円相場は続落し、前日比25銭円安・ドル高の1ドル=115円05~15銭で取引を終えました。一時は115円19銭と、2017年3月以来の安値をつける場面もありました。
米国の長期金利上昇により、NYダウが上昇する一方で
割高感が意識されやすいハイテク株などのグロース株は下落!
米国の長期金利の上昇によって利ざや改善期待から金融株が買われたことや、原油先物高を受けて石油株のシェブロン(CVX)が買われたことを主因に、11月23日のNYダウは続伸し、前日比194.55ドル高の3万5813.80ドルとなりました。
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一方、長期金利の上昇により、PERなどの株価指標で割高感が意識されやすいハイテク株などのグロース株は売られました。この結果、ハイテク株などのグロース株の比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、同79.619ポイント安の1万5775.138ポイントで取引を終えました。
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米国の長期金利が上昇基調の間は、米国株式市場ではバリュー株、特に金融株が買われ、ハイテク株を中心にしたグロース株が売られるのでしょう。また、原油先物高が継続している間は、石油関連を中心に資源関連株が買われる見通しです。
米国の長期金利の上昇が一服しない限り、
日経平均株価やTOPIXは膠着した展開が継続
一方、日本でも、米国の長期金利が上昇基調の間は、高PERのグロース系の銘柄は売られやすい状況が続くと見ています。ただし、円安が見込まれるため、自動車など輸出関連株にとって追い風となります。
また、米国と異なり、日本では超絶金融緩和が長期化する見込みのため、金融株の先高観が強まることはなさそうです。さらに「円安・原油先物高」で仕入れ・製造コストが上昇しても価格に転嫁できない企業の株価も、冴えないものとなりそうです。
このように、米国の長期金利の上昇が一服しない限り、上がりやすい株と下がりやすい株が混在するため、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数は、値動きが少なく膠着した展開となる見通しです。
11月22日の日経平均株価は、前週末比28.24円(0.09%)高の2万9774.11円と小幅ながら2日続伸しました。5日移動平均線(22日時点2万9723.01円)、25日移動平均線(同2万9331.21円)、75日移動平均線(同2万8907.45円)、200日移動平均線(同2万8930.25円)をすべて上回っており、テクニカル的には非常に良好な状態でした。
しかし、翌営業日の11月24日の日経平均株価は、前営業日比471.45円(1.58%)安の2万9302.66円と反落しました。ただ、5日移動平均線(23日時点2万9621.93円)と25日移動平均線(同2万9342.30円)は下回ったものの、75日移動平均線(同2万8930.37円)と200日移動平均線(同2万8938.45円)は依然として上回っています。
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米国の長期金利が上昇基調の間は、目先で5日移動平均線や25日移動平均線を割り込む場面もあると想定していました。そのため、今後に関しては、75日移動平均線と200日移動平均線を上回っている限り、日本株については「強気一択」で良いと見ています。
信用買い残が積み上がり、株価が下落している銘柄は、
年末に向けて「損切り・節税売り」を浴びやすいの要注意!
しかし、日本株が「強気一択」とは言え、米国の長期金利の動向により物色傾向が猫の目のようにコロコロと変化するため、儲けるには難易度の高い相場が続く見通しです。
個別銘柄の戦略としては、高PERのグロース株は米国の長期金利の上昇が一服するまでは、買いは見送って「スルー」しましょう。グロース株は新興市場を中心に中小型株が多く、個人の関与率の高い銘柄が多いという特徴があります。つまり、米国の長期金利の上昇傾向が続く限り、個人の関与率の高い銘柄は避け、内外の機関投資家の関与率の高い東証1部の大型株を主戦場にしておきましょう。
一番触ってはいけない銘柄は、信用買い残が積み上がり、株価チャートが悪化(例えば、株価が25日移動平均線を下回っているなど)している銘柄です。この手の銘柄は、年末に接近すると損切り・節税売りを浴びやすいからです。したがって、株価が下がっているからといって“値惚れ(ねぼれ)”し、安易に押し目を買うことは厳に慎むべきだと考えています。
逆に、当面の間、触るべき銘柄は、信用取り組みが良好で、株価が年初来高値・上場来高値圏で推移し、株価チャートが良好な(例えば、株価が25日移動平均線を上回っているなど)銘柄です。
東証マザーズ指数は、米国の長期金利の上昇が一服するまで
200日移動平均線付近での攻防が継続する見通し
最後に東証マザーズ指数に関してですが、11月22日に前週末比12.62ポイント(1.09%)高の1166.63ポイントと4日ぶりに大幅反発し、200日移動平均線(22日時点1161.41ポイント)は上回りました。しかし、翌営業日の24日には前週末比23.59ポイント(2.02%)安の1143.04ポイントと反落し、200日移動平均線(24日時点1161.09ポイント)を再び下回ってしまいました。
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200日移動平均線については、11月16日にようやく上抜きましたが、19日にあっさりと割り込みました。そして22日には再び上回ったものの、24日にはまたしても下回りました。つまり、東証マザーズ指数は、現在は200日移動平均線での攻防になっていると見ています。
確かに、25日移動平均線(24日時点1135.13ポイント)、75日移動平均線(同1117.57ポイント)は上回り続けていますから、両線を割り込むまでは「弱気」になる必要はないでしょう。ですが、200日移動平均線を安定的に上回って推移しない限り、「強気」を継続することもできません。
結論として東証マザーズ指数は、米国の長期金利の上昇が一服するまで不安定な動き(200日移動平均線を上回ったり、下回ったりする動き)が続く見通しです。どうしても師走相場でも中小型株を触りたい投資家の皆さんは、この点に十分留意したうえで、上手く立ち回ってください。
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