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日米株式市場は、引き続き強い動きとなっています。この背景はやはり、世界的な経済活動再開の動きが加速していることでしょう。例えば、新型コロナウイルス感染の震源地となったニューヨーク州のクオモ知事は、5月11日の記者会見で、15日から一部の業種や地域で経済活動を再開することを明らかにしました。
また、国内では、西村康稔経済財政・再生相が5月10日、「特定警戒都道府県」以外の34県について「多く(の県)で緊急事態宣言の解除が視野に入る」と述べました。さらに、西村氏は11日、経済再開へ向けた出口戦略の議論を巡り、「経済・社会の影響に見識の深い専門家に、基本的対処方針等諮問委員会に加わっていただく方向で現在調整している」と明らかにしました。
このような出口戦略策定に「経済」を重視した姿勢を鮮明にしたことは、今後の日本の景気・経済、株式市場にとって好材料といえるでしょう。
韓国や中国、ドイツでは、感染拡大の第2波の兆候が!
今後は、いかに感染対策と経済再開のバランスを取るかが重要に
ただ、その一方で、新型コロナウイルス感染拡大の第2波に対する警戒が必要なことも事実です。例えば、5月6日に防疫態勢を緩和したばかりの韓国では、9日にソウル市内のクラブで集団感染が発生しました。また、中国当局は11日、武漢において2日連続で新規感染者が確認されたことを明らかにしました。そしてドイツでは、1人の患者から新たに何人が感染するかを示す「再生産数」が、10日に1.13まで上昇し、感染収束の目安である「1」を2日連続で上回りました。
各国の政策当局にとって、感染の第2波、第3波をいかに抑えるかが課題となると同時に、今後は経済との両立という面でいかにバランスを取るかが重要になります。
ワクチンや特効薬ができるまで、人々が自宅などにずっと待機し、経済活動をせずに生きることは現実的ではありません。このため、今後は、「人の移動などの規制緩和」→「感染再拡大」→「規制再強化」→「感染ピッチ抑制」→「再び規制緩和」というプロセスを何度か繰り返すことになりそうです。その過程において、人々の生活様式や慣習は、「コロナが感染拡大する前のもの」から、「コロナが存在し続けることを前提としたもの」に大きく変化する見通しです。
そしてそれは、これから伸びる企業・業種、衰退する企業・業種を決定する最重要ファクターになることでしょう。つまり、投資家目線では、「With Coronaの時代の到来」が収益にとってプラスに寄与する企業の株に投資するべきです。
日経平均株価は3月19日に底打ちし、順調にリバウンド中!
ただし、中長期では下落トレンドが継続中
なお、米国市場ではナスダック総合指数の強さが際立っています。5月11日の米国株式市場では、ナスダック総合株価指数が6日続伸し、前週末比71.02ポイント(0.8%)高の9192.34ポイントでした。
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この日は、GAFAM[アルファベット(GOOG)、アップル(AAPL)、フェイスブック(FB)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)]が軒並み上昇し、画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディア(NVDA)がほぼ2カ月ぶりに上場来高値を更新するなど、半導体株が総じて上昇しました。この米国での物色傾向は、日本でも発生する可能性が高いでしょう。
日経平均株価に関しては、1月17日の2万4115.95円からの下落は3月19日の1万6358.19円で底打ちし、現在は順調にリバウンドしている状況です。5月11日の終値は2万390.66円で、5日移動平均線(11日現在2万11.51円)と25日移動平均線(同1万9329.57円)の両方を上回っており、「短期の上昇トレンド」が発生中と認識しています。
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一方、75日移動平均線(同2万782.72円)、100日移動平均線(2万1516.78円)、200日移動平均線(同2万1717.34円)のすべてを下回っているので、「中長期の下落トレンド」が継続中と見ています。
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「75日移動平均線を上抜けするかどうか」が、
今後の日経平均株価を占う“最重要ポイント”に!
今後の最重要ポイントは、「75日移動平均線を上抜けることができるか否か」と見ています。上抜ければ、まずは200日移動平均線をトライするというのが現時点での私のメインシナリオです。
一方、75日移動平均線を上抜けることができないようなら、25日移動平均線付近までの調整を覚悟します。そして、万が一、25日移動平均線を下回るようなら、最悪、今回の3月19日を起点としたリバウンドはいったん終了ということになると考えています。
ただし、75日移動平均線を上抜けるにしても、25日移動平均線を下抜けるにしても、相当なエネルギーが必要だと見ています。つまり、現時点では認識されていない大きな好材料・悪材料の出現が必要でしょう。そのような大きな材料が出るまで、日経平均株価は25日移動平均線と75日移動平均線に挟まれたゾーンで「保ち合い」となる見通しです。
なお、短期のトレンドは上向きのため、現時点では若干「上抜け」に分があると見てはいます。
相場の先行きに関する市場関係者の見通しは、
「8割の弱気派」と「2割の強気派」が混在
ちなみに、私の周りの市場関係者へのヒアリングベースでは、相場の先行きに関して「弱気派」がザックリ8割くらいというのが印象です。弱気派の多くは、「実体経済は冷え込み、企業収益は悪化傾向で、株価指標的には現在の相場水準は割高だ。新型コロナウイルスの世界的な感染問題は完全に沈静化したわけではないから、相場は早晩、実体経済を正しく反映するべく失速するはず」と見ているようです。
一方、残り2割の「強気派」は、「実体経済は悲惨な状況で、企業収益が悪化していることはすでに相場は織り込み済みだよ。新型コロナウイルスの世界的な感染問題による経済への影響は一時的だし。経済活動再開が加速すれば、悪化した経済や企業収益は劇的に改善するはずだ。そして、世界の中央銀行による未曽有の緩和マネーが株式市場に流入しバブルがくるはず」と予想しているようです。
現時点では、どちらのシナリオが実現するかはわかりません。しかしながら、日経平均株価が75日移動平均線を超えてくるようだと、2割の強気派が3〜4割程度まで増えるのではないかと見ています。そして、個人的にはそうなって欲しいなと思っています。
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