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日米の株式市場ですが、米国の大統領選挙前までは「売り方天国・買い方地獄」でしたが、選挙後は「買い方天国・売り方地獄」と景色が劇的に変化しました。
選挙直前までは、米国の政治リスクの高まりを理由に買い方のポジション調整の売りが断続的に出て、需給の悪い状況が続き、多くの株価指数は下落しました。しかし、今年最大のイベントである大統領選挙を無事に通過したことで、日米の株式市場は「リスクオン」一色となり、買いが買いを呼ぶ形で“短期急騰”となりました。
NYダウは、わずか5営業日で2232ドルも上昇!
日経平均株価も急騰し、一時は2万5000円の大台を突破
例えば、大統領選挙前の11月2日のNYダウの終値は2万6925.05ドルでした。その後、3日が前日比554.98ドル高、4日が同367.63ドル高、5日が同542.52ドル高、6日は同66.78ドル安と反落したものの、9日が同834.57ドル高の2万9157.97ドルと、わずか5営業日で2232.92ドル(8.29%)も上昇しました。特に9日には、一時前日比1610.43ドル高の2万9933.83ドルまで上昇し、3万ドルに肉薄する場面もありました。
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一方、日経平均株価も大統領選挙後に大きく上昇しました。選挙前の11月2日の終値は2万3295.48円でしたが、4日は前日比399.75円高、5日は同410.05円高、6日は同219.95円高、そして9日は同514.61円高の2万4839.84円と、わずか4営業日で1544.36円(6.63%)も急騰したのです。
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そして、11月9日のNYダウの大幅高を受けて、10日の日経平均株価の始値は2万5087.30円と、2万5000円を突破。その後、下落して終値は2万4905.59円となりましたが、ザラ場中に心理的な節目となる2万5000円の大台を上回ったのは、1991年11月5日の2万5100.68円以来、29年ぶりのことです。
日経平均株価の下落を見越した「売り方」が急増した結果、
「押し目があれば買い戻したい」というニーズが積み上がる
このような急騰を受け、「日経平均株価は短期間で上がり過ぎだ。どうせすぐに下落するはず」と判断する投資家が増加した結果、日経平均株価の2倍の騰落率で値動きするNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(1570)の貸株残高(売り残)が急増しました。11月2日の貸株残高は19万1040口でした。それが、4日が64万3836口、5日が134万1508口、6日が130万4261口、そして9日は87万4484口と減少したものの、いずれにせよ2日の貸株残高を大幅に上回っています。ちなみに、ピークだった5日の貸株残高は、2日時点の約6.8倍に積み上がり、150円もの逆日歩が付きました。
また、NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信のようなレバレッジETFではなく、株価指数先物やコール・オプションを売り建てたり、個別銘柄を空売りしている個人も多そうです。そして、相場下落で利益が出るポジションを保有している所謂「売り方」の手の内は、残念ながら、思惑が外れて相当厳しい状況になっているはずです。
このため、押し目があれば買い戻しをしたいというニーズが積み上がっており、そのニーズは、12月11日の先物・オプションのメジャーSQまで存在し続ける可能性が高いと見ています。
終値でボリンジャーバンドの「プラス3σ」を割り込んだら、
「スピード調整入り」のサインなので撤退を!
そうは言っても、現在の日経平均株価の上昇ピッチは流石に「スピード違反」であり、「早晩、スピード調整は来るはず」と考えてはいます。
この先、25日移動平均線ベースのボリンジャーバンドで、終値がプラス3σを割り込んだら、それは一時的な「スピード調整」に入るサインと見ます。そのケースでは、まずはプラス2σが第一押し目メドで、深押しするようなら第二押し目メドのプラス1σまでの調整があっても驚きません。
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なお、上昇トレンドの発生により、現在はボリンジャーバンド自体が広がる「エクスパンション」状態です。この場合、現在発生しているトレンドとは反対側のバンド、すなわちマイナス3σのバンドが「下向き」から「上向き」に転じてきたら、いったんそれまでのトレンドが一服する兆候になることが多いと言われているので、「向きの変化」にも注目しておくとよいでしょう。
投資初心者には、トレンドにケンカを売る「逆張り」ではなく、
トレンドを味方につける「順張り」がおすすめ
投資手法は十人十色です。特に自分のお金で運用している投資家は、何をしようが自由です。しかし、投資初心者には、トレンドを味方にする「トレンドフォロー(順張り)」をおすすめします。
例えば今回のケースでは、「急騰してきた。上がり過ぎだ。下がるだろう。だから、空売りしよう」とは思わずに、「急騰してきた。上昇トレンド発生で、これからもっと上がるかもしれない。買おう」と考えて行動するべきです。
その際には、多くの投資家が参考にしているテクニカル指標を活用しましょう。恐らく、最もポピュラーなテクニカル指標は「移動平均線」でしょう。見るのは5日移動平均線と25日移動平均線だけで十分です。
まず、11月2日の日経平均株価の終値は2万3295.48円、5日移動平均線は2万3301.77円、25日移動平均線は2万3438.05円でした。そこで、「今日は、終値で5日移動平均線も25日移動平均線も割り込んでいるから、弱いね。まだ買えないなあ」と考えます。
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しかし、翌営業日の4日の終値は2万3695.23円、5日移動平均線は2万3343.65円、25日移動平均線は2万3444.30円でした。すると、後場の取引終了間際に、「今日は終値で5日移動平均線も25日移動平均線も超えて終わる可能性が高い。強いから買いだな」と考えられます。
そして、買いポジションを持った後は、「明日以降は、5日移動平均線か25日移動平均線のどちらか上位に位置する移動平均線を割り込んだら、売って撤収しよう」と考えるのです。
実際の売買の統計を見ると、個人は「逆張り」を好み、相場が上がると売り、下がると買う傾向が顕著です。この手法は、相場がもみあっているときはそこそこの勝率で儲かるでしょう。しかし、大きなトレンドが発生した時の「爆益」を取り損ねてしまいがちです。
そもそも「逆張り」は、本来、友達にするべき「トレンド」にケンカを売っているようなものです。だからこそ、投資初心者は、いかにトレンドと仲良くして、トレンドに長く乗れるかを研究するべきだと思います。
異常な「売られ過ぎ」の局面では「逆張り」も有効だが、
その場合も素早く撤収する心構えはしておこう
ただし、相場の局面によっては「逆張り」していいタイミングもあります。それは今年の3月にように相場が急落し、前述の5日移動平均線や25日移動平均線とのマイナスの乖離率が異常値を示した後、「終値で5日移動平均線も25日移動平均線も超えてきたとき」です。このケースでは、トレンド自体は依然として「下向き」かもしれませんが、あえて買い向かいましょう。
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ただし、買いポジションを持った後は、「5日移動平均線か25日移動平均線のどちらか上位に位置する移動平均線を割り込んだら、撤収しよう」と意識して相場に臨むことを忘れてはいけません。
とは言え、こういった異常な売られ過ぎの局面以外は、原則として、投資初心者は「トレンドを友達にする順張り」で投資するようにしましょう。
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