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7月6日の日経平均株価は、前日比45.02円(0.16%)高の2万8643.21円でした。足元で米国株は非常に強い動きを見せていますが、日本株は相変わらず上値が非常に重く冴えない動きが続いています。
実際、NYダウ、ナスダック総合株価指数、S&P500種株価指数という米国の株式市場における主要3株価指数が、7月2日にそろって過去最高値を更新したにもかかわらず、週明け5日の日経平均株価は前週末比185.09円(0.64%)安の2万8598.19円、TOPIXは同7.32ポイント(0.37%)安の1948.99ポイントと、ともに前週末比でマイナスとなって取引を終えました。
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7月2日発表の米国雇用統計を受けて米国株は過去最高値を更新!
しかし日経平均株価は影響を受けず、冴えない動きが続く
7月2日に米国の株式市場が堅調だったのは、この日に発表された6月の米国雇用統計が「FRBテーパリングを早めるほどの内容ではない」と受け止められたからです。具体的には、非農業部門雇用者数は前月比85万人増と市場予想の70万6000人増を上回ったものの、失業率は5.9%と5月の5.8%から上昇し、市場予想の5.6%よりも高かったのです。この失業率の悪化が好材料視されました。
ちなみに、7月2日のNYダウは4日続伸し、前日比152.82ドル高の3万4786.35ドルと、5月7日の過去最高値を上回り、約2カ月ぶりに最高値を更新しました。また、ナスダック総合株価指数も続伸し、同116.949ポイント高の1万4639.325ポイントと、3日ぶりに過去最高値を更新。そして、S&P500種株価指数も7日続伸し、同32.40ポイント高の4352.34ポイントと連日で過去最高値を更新しました。
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特筆すべきは、米国10年物国債利回りが前日比0.03%低下し、1.42%で取引を終えたことです。この長期金利の低下は株高の材料であり、とりわけ株価指標で割高とされるグロース系ハイテク株へのポジティブ材料でした。つまり、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数の押し上げ要因となったのです。
日経平均株価は、経験則上、ナスダック総合株価指数との連動性が高いとされており、本来ならナスダック高は日経平均株価の押し上げ要因となります。しかしながら、足元では、残念ながらこれまでのような相関性はまったく見られません。
7月12日以降、ETFの分配金捻出のための売り需要がなくなれば、
日経平均株価は米国株との連動性を回復する見通し!
このような状態になっている主因は、ETFの分配金捻出による売り需要が懸念されているからかもしれません。
日本は3月決算の上場会社が多く、それらの銘柄の配当金が6月下旬に支払われるため、日本株ETFの決算日は7月上旬に集中しています。ちなみに大和証券は、ETF分配金の支払いに伴い、7月8日に現物を約1400億円、先物を約1900億円、9日に現物を約2200億円、先物を約2900億円と、2日間の合計で約8300億円の売り需要が発生すると試算しています。同様に、SMBC日興証券も約7200億円の売り需要が発生する見込みと試算しているとのことです。
これだけの大量の売り需要が証券各社によって試算され、かつ見込まれていれば、多くの投資家が今週末まで積極的な買いを手控えることは頷けます。
しかし、このような特殊な売り需要がなくなるであろう週明け7月12日以降の日経平均株価は、米国株(特にナスダック総合株価指数)との連動性が回復し、米国株に対する出遅れを解消するべく、上昇を鮮明にする可能性が高いと見ています。
日本株が上昇すると見ている主因は、好調な企業収益です。日銀短観の6月調査では、大企業の2021年度の経常利益は製造業が前回の1.8%増から4.0%増へ、非製造業が同5.6%増から20.0%増へ、全産業では同3.6%増から11.0%増にそれぞれ上方修正されるなど、足元の企業業績は比較的良好な状態が確認できています。
もちろん、この程度の増益率では相場全体を押し上げるには力不足という見方はあるとは思います。しかしながら、国内ではワクチン接種が加速しており、市場の期待よりは接種ピッチが遅延しているとはいえ、経済正常化への階段を着実に上っていることは間違いありません。よって、今後、企業業績が大きく落ち込むリスクは非常に低いと考えるべきでしょう。
ワクチン接種の加速により新型コロナウイルスの影響力は薄まり、
個人消費の回復が牽引する形で国内景気は拡大する!
ところで、英国のジョンソン首相は7月5日、ロンドンを含む南部イングランドで、早ければ7月19日から新型コロナウイルス対策の行動規制をおおかた撤廃する方針を表明しました。公共交通機関内でのマスク着用の義務を含む一連の法的規制を撤廃し、「ウイルスと共生」しながら社会・経済活動の再生を模索するそうです。ワクチン接種が進んだことで、入院患者数や死者数が流行のピーク時ほど増えていないことが、今回の決断に至った理由とのことです。
そして、おそらく日本も早晩、英国同様に「ウイルスとの共生」に大きく舵を切ることになると見ています。結果として、新型コロナウイルスは従来の季節性インフルエンザのような存在になっていくことでしょう。
仮に感染者数が増加傾向を辿ったとしても、入院患者数や死者数が急増しない限り、市場は感染者数の増加を意に介さず、新型コロナウイルス絡みのニュースは、相場の材料にすらならなくなっていくと思われます。そうなってくれれば、個人消費の力強い回復(リベンジ消費)が強力に牽引する形で、国内景気が拡大していくはずです。今後の日本株に関しては、その景気拡大を織り込む形で上昇を鮮明にしていくというのが、私のメインシナリオです。
確かに、政府は新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」に関し、7月11日の期限を延長する調整に入っているようです。感染が再拡大している東京や埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に、東京五輪が閉幕する8月8日以降まで1カ月程度延長することを7月8日にも決めるようです。
しかし、このような措置を永遠に継続することは無理です。そして、ワクチン接種が加速していることや、東京五輪が終了するというスケジュールを考えれば、「まん延防止等重点措置」の延長は今回が最後になる可能性が高いと見てよいでしょう。
拙速なテーパリング開始の可能性が低下したことで、
「グロース系ハイテク株」の上昇余地が拡大!
なお、物色面では、引き続き「グロース系ハイテク株」を狙うべきとの見方は継続します。
というのは、6月22日のパウエルFRB議長の議会証言以降、米国の長期金利の上昇リスクが大幅に低下したと見られることに加え、6月の米国雇用統計の内容からもFRBが拙速なテーパリング開始は実行しない可能性が一段と高まったからです。そして予想通り、米国の長期金利が低位で安定的に推移してくれるのであれば、株価指標で割高とされるグロース系ハイテク株の上値余地が拡大すると考えるのは妥当な投資判断でしょう。
結論として、来週以降は、日本株の上昇相場の到来を想定して相場に臨むことをおすすめします。そうなると、今週は絶好の仕込み場ということになります。2021年のサマーラリーの発生を期待して、収穫の秋をイメージしつつ、積極的に市場に参加して「買いの種」をまきましょう。
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