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トランプ政権の関税方針が二転三転することで
先行きの不透明が増し、株式市場の乱高下が継続
トランプ政権の二転三転する関税方針によって、日米の株式市場が乱高下しています。また、米国のFRB(連邦準備制度)や日銀も、トランプ政権の関税政策が経済に与える影響を警戒しています。
まず、FRBのパウエル議長は、3月19日に行われたFOMC後の記者会見で「(トランプ政権の動向を念頭に)見通しの不確実性は異常なほど高まっている」と述べました。一方、日銀の植田和男総裁は,同じく19日に行われた金融政策決定会合後の記者会見で「(米国の通商政策について)4月にならないと分からない、あるいはその後もいろいろ不確実性が続くということで、不確定なところは非常に大きいというふうに思っています」と述べています。
米国市場に目を向けると、3月21日にNYダウが反発しました。一時は前日比519.46ドル(1.24%)安の4万1433.86ドルをつけましたが、その後は買い戻され、前日比32.03ドル(0.07%)高の4万1985.35ドルで終えました。
トランプ大統領が3月19日夜、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、4月2日を「米国解放の日」と呼んだこともあり、貿易戦争の勃発や世界経済の混乱を招くとの懸念から21日は売りが先行しました。ですが、その後、トランプ氏が相互関税について「柔軟性がある」と発言したことで、何らかの例外措置が設けられるとの見方が市場で広がり、株式が買い戻されました。
そして、ロイターは3月24日に「トランプ政権は自動車など特定の産業を対象とした関税について4月2日の発表を見送る方向だ、とブルームバーグ・ニュースとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が政府高官の話として伝えた。ただ、状況は流動的で最終決定は下されていないという。一方、相互関税は予定通り4月2日に適用する可能性が高いとしている」と報じました。この報道の内容に沿った方向に軌道修正されれば、日米の株式のボラティリティは低下し、市場は落ち着きを取り戻すことでしょう。
トランプ氏は3月12日、「関税政策の方針が二転三転する」などと指摘されていることについて「(自身に)調整する権限がある」「一貫性がないとは言わない。柔軟性があると言うんだ」と述べています。おそらく、4月2日までトランプ氏の“調整”が続くため、どんな結論となるのかは依然として不透明です。
また、米国のベッセント財務長官は3月19日、米国の緊密な貿易相手国でありながら米国からの輸入品に高い関税を課す国々を「ダーティー15」と呼び、4月2日に発動予定の相互関税で集中的に対処する意向を明らかにしました。なお、「ダーティー15」に含まれる国名は明らかにされていません。
米国の景気悪化懸念の後退による長期金利の高止まりは、
ドル高・円安を進め、日本株へのポジティブ要因に!
そうは言っても、ここ最近の各種報道を受けて「トランプ政権の関税政策は、結局、米国の産業界に配慮する格好で穏当なものに落ち着く。そうなれば、関税政策が世界経済を混乱させるリスクは大幅に低下する」との見方が市場では強まっています。
そのため3月24日のNYダウは続伸して前週末比597.97ドル(1.42%)高の4万2583.32ドル、ナスダック総合株価指数も続伸して同404.54ポイント(2.27%)高の1万8188.59ポイントでした。

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一方、S&Pグローバルが、3月24日発表した3月の米・総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は53.5と、前月の51.6から上昇しました。この景況感指数の改善を受け、米国の景気悪化懸念が和らぎ、24日の米国10年債利回りは前週末比で0.08%高い4.33%で取引を終えました。

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米国景気への懸念が和らぎ、米・長期金利が高止まりすることは、外国為替市場でのドル高・円安要因なので、これは日本株へのポジティブ材料です。
また、日本市場では3月27日が配当金や株主優待など権利付最終売買日のため、27日までは、それらの株主権利を得るための買いが入り続ける見込みです。これは需給面で日本株の下支え要因となります。よって、少なくとも27日まで日本株は「上がりやすく下がりにくい需給関係」が続くと見ています。
日経平均株価は「デッドクロス」の出現など、
テクニカル的に強気になりにくい状況が継続!
ただし、2月28日、日経平均株価は25日移動平均線と75日移動平均線との「デッドクロス」が2024年8月9日以来、およそ半年ぶりに出現し、現在も25日移動平均線(25日時点で3万7781.06円)は75日移動平均線を下回っています。また、25日移動平均線自体も下降中です。よって「テクニカル的に、強気になりにくい状況が継続中」との認識です。

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売り方の買戻しが加速した場合、目先の上値メドは75日移動平均線(3月25日時点で3万8733.49円)と見ています。一方、下値メドですが、3月11日の3万5987.13円で底入れをしたと考えます。結論として、当面の日経平均株価の想定レンジは「3万5987.13円~75日移動平均線」です。
東証33業種別株価指数を見ると、外需セクターより
「銀行」「不動産」などの内需セクターが物色の中心に!
日本株で買われている銘柄を確認すると、3月21日の東証33業種別株価指数では、銀行業が4.14%上昇して値上がり率トップでした。21日発表の2月の全国消費者物価指数(CPI)で、生鮮食品を除く総合が前年同月比3.0%上昇と市場予想の2.9%上昇をやや上回ったことで、日銀による早期の追加利上げの可能性が意識され、金利上昇の恩恵を受ける銀行株が人気化したのです。
なお、日銀の植田和男総裁は3月24日、参院の財政金融委員会に出席して「基調的な物価上昇率が2%に向けて高まる見通しが実現していくとすれば、それに応じて金融緩和度合いを調整する」と話しています。この日銀の金融政策運営スタンスは、銀行株にポジティブな材料です。
また、3月24日の東証33業種別株価指数では、不動産業が3.35%上昇して値上がり率トップでした。この日は、アクティビストの米ヘッジファンド運営会社、エリオット・インベストメント・マネジメントが住友不動産(8830)を取得したことが伝わったことで、同社株が急騰して終値で前日比575円(10.52%)高の6042円となりました。ここからの連想により、他の不動産株にも買いが波及しました。
3月21日と24日の業種別株価指数の動きを見る限り、物色の中心は「銀行」「不動産」といった内需セクターになっていると考えられます。
ちなみに、3月25日のTOPIXは一時2818.36ポイントと昨年来高値をつけ、終値でも2797.52ポイントと25日移動平均線(25日時点で2738.36ポイント)と75日移動平均線(同2738.94ポイント)をともに上回っています。つまり、日経平均株価とは違い、チャートが良好です。

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外需の影響を受けやすい日経平均株価より内需の影響を受けやすいTOPIXが好調なことからも、当面は外需株は避け、内需株を狙う戦略をおすすめします。
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