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前回当コラムで「今後の投資戦略に関しては、日経平均株価が少なくとも75日移動平均線と200日移動平均線の両線を上回ってくるまでは『慎重な運用スタンス』で相場に臨むべきです。両線を上回るまでは、資金管理を厳格にして、仮に相場が想定外の下落に見舞われたとしても、一発退場とならないように用心することをおすすめします。ただし、両線を上抜いたら、即座に『強気転換』しましょう」としました。現時点では、その投資方針に変更はありません。
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⇒2021年12月の日本株の値動きは「新型コロナ変異株」と「IPOラッシュ」で、変動が激しい不安定な展開に!75日・200日移動平均線を上回るまで慎重な運用を!
ちなみに、12月7日の日経平均株価の終値は、前日比528.23円(1.89%)高の2万8455.60円と大幅に上昇し、5日移動平均線(6日現在2万8020.31円)は上回っています。しかし、25日移動平均線(同2万9100.55円)、75日移動平均線(同2万8989.37円)、200日移動平均線(同2万8909.75円)はすべて下回っています。したがって、中期の下落トレンドが継続中と見ています。
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パウエルFRB議長の発言やオミクロン株の感染拡大により、
日米の株式市場の値動きが激しくなり、VIX指数が上昇!
パウエルFRB議長が11月30日、高インフレを「一時的」とする表現を事実上撤回して、金融引き締めに前向きな「タカ派」に豹変し、12月14〜15日のFOMCで、テーパリングの加速を議論する意向を表明したことや、新型コロナウイルスの新変異株オミクロン株の世界的な感染拡大を主因に、日米金融市場が不安定となり、値動きが激しく(ボラタイル)になっています。
例えば、12月3日のNYダウは前日比59.71ドル安の3万4580.08ドルと小動きでしたが、ナスダック総合株価指数は大幅に下落し、同295.848ポイント安の1万5085.472ポイントでした。
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12月3日は、この日発表された11月の米国の雇用統計で、非農業部門の雇用者数が前月比21万人増と市場予想の57万3000人増を大幅に下回った一方、失業率が低下しました。これを受け、市場ではFRBが金融政策の正常化を加速させるとの見方が維持されたため、高PERのグロース株(ハイテク株)が売られました。
また、同じく12月3日、S&P500オプションの価格をベースに計算されるVIX指数(恐怖指数)は、前日比9.73%高の30.67で取引を終え、一時は35.32まで上昇する場面がありました。つまり、この日のVIX指数は、不安心理が高まった状態とされる20を大幅に上回っていました。
この流れを受け、週明け12月6日の日経平均株価の終値は、前週末比102.20円安の2万7927.37円でした。この日は、前週末3日のナスダックの大幅安を反映し、ナスダックとの連動性が高いとされるソフトバンクグループ(9984)が前週末比456円(8.20%)安の5103円で取引を終えましたが、この1銘柄で日経平均株価を96.43円押し下げたことが話題になりました。また、オミクロン株の感染者が確認された国・地域が増えたことから、リスクオフムードも続いていました。
しかし、12月6日の米国の株式場は大幅に反発しました。NYダウは大幅に反発し、前週末比646.95ドル高の3万5227.03ドルでした。ナスダック総合株価指数も反発し、同139.681ポイント高の1万5225.153ポイントでした。
12月6日は、バイデン米政権のファウチ首席医療顧問が12月5日に米国のCNNで、オミクロン型について「明確な見解を示すには時期尚早だが、感染者の重症化の度合いはそれほど高くないようだ」との見方を示したことで、経済活動の停滞による景気への影響は限られるとの観測が強まり、リスクオンムードが強まりました。ちなみに、6日のVIXは前日比3.49(11.38%)安の27.18と下落しましたが、引き続き20を上回っています。
海外投資が買いに転じない限り日経平均株価の上値は重いものの、
テクニカル的には「売られ過ぎ」なので下値も限定的
ところで、足元で海外投資家が日本株を積極的に売っています。11月第4週(22~26日)の投資部門別株式売買動向では、海外投資家の売り越し額が2483億円でした。売り越しは3週連続です。また、11月第4週(22~26日)の日経平均先物とTOPIX先物の投資部門別売買動向によれば、海外投資家の売り越しは4006億円でした。こちらは3週ぶりの売り越しです。
私は、海外投資家が買い越しに転じない限り、日本株が上昇トレンドに回帰することはないと見ています。今後、海外投資家の売り越し額が顕著に減少するか、買い越しに転じてくるまでは、日本株の調整は続くことを覚悟しておくべきでしょう。
そうは言っても、日本株の下値も限定的でしょう。なぜならば、底値発見機能として優れているとされるテクニカル指標のひとつ「騰落レシオ」が、現在の相場水準は「底値圏である」というアラートを発したからです。東証1部の騰落レシオ(25日)は、12月2日、69.23%と70%を下回りました。一般的に、騰落レシオは70%を下回ると売られすぎで底値圏にあると判断されます。
したがって、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数については、海外投資家が売り越しを続ける限り、上値は重いものの、テクニカル的に売られ過ぎのアラートが出ているため、下値余地は限定的と見てみています。
ただし、短期のトレンドは下向き(25日移動平均線が下向き)のため、日経平均株価については、状況次第では8月20日の2万6954.81円程度までの押しは覚悟しておきましょう。
一方、リバウンドの上限は25日移動平均線(6日現在2万9118.03円)と見ています。年内に25日移動平均線を超えるには、相当なポジティブサプライズが起こらないと厳しいでしょう。
現時点での日本株のメインシナリオは、12月14、15日のFOMCまでは「調整継続」で、結果発表後「アク抜け」し、日経平均株価が大納会に向けて25日移動平均線を目指して「リバウンド」に入るというものです。
年末に近づくにつれ、個人投資家が株式市場の主役に!
12月20日以降、マザーズ指数のリバウンドに期待
なお、12月17日はクアドルプル・ウイッチング・ディ(QWD)です。QWDとは「アメリカ市場で、株価指数先物取引・株価指数オプション取引・個別株先物取引・個別株オプション取引の4つの取引が同時に期限を迎える日」で、日本市場のメジャーSQに相当する需給イベントです。これを通過すると、海外投資家の多くはクリスマス休暇入りする見通しのため、12月20日以降、大納会までの主役は国内勢ということになるはずです。
また、国内機関投資家も徐々に年末に接近することで、余程の情勢変化がない限り、積極的な売買を手控えることでしょう。となると、12月20日から30日の大納会までの主役は個人投資家になる見込みです。
ちなみに、松井証券によれば、12月6日時点のマザーズ銘柄の信用評価損益率(松井証券店内)の買い評価損益率はマイナス28.876%とのことです。経験則では、買い評価損益率がマイナス20%を下回ると「追証」が発生してくる水準と言われ、連続して追証が発生してくる急落局面につながります。また、マイナス30%程度まで悪化すると相場は底入れし、上昇に転じることが多いです。つまり、東証マザーズ指数も相当いいところまで調整し、現在は大底圏である可能性は高いでしょう。
東証マザーズ指数は、11月17日の1189.00ポイントで天井をつけた後、ほぼ一本調子で下落を続けています。このため、信用取引を積極的に活用し、短期スタンスで投資を行う個人の手の内は悪化し続け、かつ、彼らが感じる相場の体感温度はマイナス50度くらいまで冷え込んでいることでしょう。
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また、足元では、信用取引における「維持率」を意識したポジション調整の売りが連日出ていることも想像に難くありません。ですが、そのような売りも、FOMCやQWDといったイベントの通過後に一巡すると考えます。
したがって、東証マザーズ指数の調整もFOMCやQWD辺りまでで終了し、個人が東京株式市場の主役になるであろう12月20日以降、本格的なリバウンドに入るというシナリオをメインに据えます。
それにしても、パウエルFRB議長がいきなり豹変して「タカ派」に転じたことで、「買い」で儲ける難易度が非常に高くなってきました。市場からの退場を避けるべく、リスク管理を徹底して師走相場に臨んでください。当面の投資戦略は「命大事に!」を強くおすすめします。
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