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日経平均株価が上昇し、一時は6月高値に迫る局面が見られるなか、
「NF・日経ダブルインバETF」を買って損失に苦しむ投資家が増加
日経平均株価は8月5日、8日と2営業日連続、終値で2万8000円を上回りました。また、8日高値は2万8279.12円と、6月9日の直近高値2万8389.75円に迫る局面がありました。
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このような状況下、NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(1357)の信用買い残の急増が市場の一部で話題になっています。7月15日の信用買い残は6947万口だったのが、7月22日には1.32億口、そして7月29日には1.35億口と急増しました。一方、価格は7月15日の399円から7月22日が366円、7月29日が369円と下落し、8月5日には358円の年初来安値をつけました。
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このNF・日経ダブルインバETFは、日経平均ダブルインバース・インデックスという指数を対象指数として、それに連動する投資成果を目指しています。日経平均ダブルインバース・インデックスは、日々の騰落率を日経平均株価の騰落率の-2倍(マイナス2倍)として計算される指数で、2001年12⽉28日の指数値を 100000ポイントとして計算されます。つまり、日経平均株価が下がることを見込み、信用取引を活用してNF・日経ダブルインバETFを買い建てている個人が急増したものの、彼らが価格下落に苦しんでいる様子が窺えます。
なお、レバレッジ型ETFやインバース型ETFは、時間の経過とともに減価が生じるため、長期保有には向いていないことが一般的に知られています。このため、日経平均株価が下がることに賭けるのであれば、私は、単純に日経平均先物を売り建てることをおすすめします。
ナスダック総合指数とマザーズ指数が6月以降に改善したことで、
グロース株や小型株に投資する個人投資家も最悪期を脱する
ところで、ソフトバンクグループ(9984)が8月8日に発表した2022年4~6月期の連結決算は、最終損益が3兆1627億円の赤字でした。なお、傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の投資損益は2兆9191億円の赤字(前年同期が5073億円の黒字)でした。世界的に株価が下落し、多くの投資先で評価損失が出たことが主因です。
なお、ナスダック総合指数については、2021年11月の1万6212.23ポイントから2022年6月の1万565.14ポイントまで下落。下落率は34.83%でした。また、東証マザーズ指数も2021年10月の1368.19ポイントから2022年6月の607.33ポイントまで下落し、下落率は55.61%でした。
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ナスダック総合指数や東証マザーズ指数の大幅安からわかるように、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の損益状況と同様に、膨張した評価損や投資資産の大幅減少に苦しんでいる個人投資家は、現在、相当数いると見ています。バリュー株や大型株メインに投資している個人はあまり懐が傷んでいないものの、グロース株や小型株をメインに投資している個人の懐の痛みは大きいと推察しています。
しかし、ナスダック総合指数は、2022年6月の1万565.14ポイントから8月には1万2855.16ポイントまで上昇し、上昇率は21.68%でした。一方、東証マザーズ指数も2022年6月の607.33ポイントから8月には737.20ポイントまで上昇し、上昇率は21.38%でした。
このため、グロース株や小型株をメインに投資している個人の損益状況は、6月以降、やや改善していることでしょう。最悪期を脱し、多くの個人投資家のマインドがやや改善していると見ています。
東京エレクトロンとエヌビディアが「悪材料出尽くし」となれば、
ハイテク株を中心にグロース株の上昇が継続する見通し
ただし、東京エレクトロン(8035)が8月8日に発表した2023年3月期・第1四半期の連結決算では、売上高が4736.54億円(前年同四半期比4.8%増)、営業利益が1175.19億円(同17.1%減)、経常利益が1176.92億円(同17.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が880.95億円(同12.2%減)と、営業利益の段階から減益でした。テレビ用大型液晶パネル向けの設備投資が一巡したことにより、FPD TFTアレイ向け製造装置の市場全体が減速傾向だったことが影響したようです。
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また、米国では8月8日、画像処理半導体のエヌビディア(NVDA)が、2022年5~7月期の売上高を従来予想の81億ドルから67億ドルに下方修正しました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「巣ごもり消費」の一巡や、景況感の悪化でゲーム部門の売上高が3割減と大きく落ち込んだことが響いたようです。また、データセンター部門は大幅増収で四半期として過去最高を更新したものの、サプライチェーンの混乱による部品不足で会社予想を下回ったとのことです。
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日米を代表する半導体関連企業である東京エレクトロンとエヌビディアの株価が、今後「当面の悪材料出尽くし」という動きとなるようなら、ハイテク株を中心にグロース株の戻りが継続することでしょう。そうなれば、多くの個人投資家の損益状況はさらに改善し、活性度も上がってくるはずです。当面は、そのような展開になる可能性が高いと見ています。
ただし、日経平均株価が200日移動平均線(8月8日現在2万7556.70円)を下回ってくるようだと、シナリオを変更せざるを得ないと考えています。あくまでも、「強気シナリオ」は、日経平均株価が200日移動平均線よりも「上」で推移することが必要条件としています。
「好調な米国経済+インフレ圧力の低下+円安」により、
日本株を取り巻く環境は良好な状況が継続
日経平均株価が200日移動平均線を割り込むとすれば、やはり、そのきっかけとなるのは米国株の急落でしょう。しかしながら、8月5日に発表された7月の米・雇用統計を見ると、非農業部門の雇用者数は前月比52万8000人増と、増加幅が6月の39万8000人から拡大し、市場予想の25万8000人も大きく上回りました。また、失業率は6月の3.6%から低下し、3.5%と2020年2月以来の低水準となりました。そして、平均時給の伸び率は前年同月比5.2%と、市場予想の4.9%を上回りました。このように、米国の労働市場は堅調です。
もちろん、労働市場の需給逼迫を受け、FRBが7月に続いて9月も0.75%の利上げを決める確率は大きく上昇しました。ですが、8月8日の米国10年債利回りは2.75%と3%を下回り、インフレを過度に警戒している水準ではありません。
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また、FRBの大幅利上げは、外国為替市場での円売り・ドル買い要因です。
この「米国経済が好調を維持+利上げによるインフレ圧力の低下+円安メリット」により、当面、日本株を取り巻く環境は良好な状況が続くことが期待されます。結論として、足元の日米株式市場の「サマーラリー」に上手に乗って、収益を積み上げていく投資戦略をおすすめします。
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