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最大震度7の揺れを観測した能登半島地震では、
陥没などによる道路の寸断が迅速な復旧を妨げる一因に
2024年は元日から大変な年となりました。1月1日に最大震度7の揺れを観測した能登半島地震が発生し、建物の倒壊や火災のほか、道路や水道などインフラにも甚大な被害が生じました。この事態に岸田総理大臣は、能登半島地震ついて、復旧にかかる費用を国が支援する「激甚災害」に指定する方針を固めました。「激甚災害」への指定は、災害復旧事業の国の補助率が1割程度引き上げられるなど被災自治体の財政負担が軽減し、早期復旧を後押しすることになります。
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1月10日時点において被災地ではライフラインの復旧が進まず、広範囲で断水や停電が続いています。どうやら道路の寸断や渋滞によって作業車や電源車が現地に入りにくい状況が続いていることが復旧を妨げる一因となっている模様で、早急な道路の補修が望まれるところです。まずは、地割れなどで寸断した道路の整備を進めることで、その後の復興が本格化していくことになるでしょう。
インフラ施設のすべては地盤の上に成り立っています。インフラ施設にとって構造物を支える地盤を構成する土質・地質の調査は「インフラのインフラ」とも呼ばれ、インフラ整備にとって重要な基礎情報資料となります。今後、道路の陥没や地すべり、液状化、海底隆起などに見舞われた被災地の本格的な復旧にあたっては、広範な地質調査が実施されることが見込まれます。
高度経済成長期に集中的に整備された社会インフラが
今後、一斉に老朽化が進むことが社会的な課題に!
近年は、地震に限らず、台風など全国で激甚な自然災害が頻発していることから、国民の生命や財産を守り続けることを目的に、2023年6月に「国土強靱化基本法」が改正されました。この改正によって継続的・安定的に事業費が確保され、より一層、迅速かつ強力に国土強靱化が推進されることが期待されます。
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この「国土強靭化」のなかでも大きなウエートを占めるのが「既存インフラの修繕」です。
インフラの適切な維持管理には、「点検」「診断」「評価」「劣化予測」のメンテナンスサイクルが欠かせません。しかし、道路や電気、通信、上下水道などの社会インフラは高度経済成長期の1960〜1970年代に集中的に整備されたため、建設後50〜60年が経過し、今後、老朽化が一斉に進むことが深刻な課題となっています。
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そこで今回は「道路の整備・補修・補強」関連する銘柄を取り上げます。
【ショーボンドホールディングス(1414)】
社会インフラの補修・補強に特化した総合メンテナンス会社
ショーボンドホールディングス(1414)は、社会インフラの補修・補強に特化した総合メンテナンス会社です。橋梁やトンネルなどの道路構造物をはじめ、鉄道、電力、港湾、建築などに関して、公共インフラと民間インフラの双方を広くカバーし、補修・補強に関する工法や製品の開発、施工などを手掛けています。株価は、1月1日の大発会にマドを空けて上昇し、2022年10月以来の高値を更新しました。上昇トレンドが継続しているため、押し目を狙いたいところでしょう。
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【ニチレキ(5011)】
アスファルト乳剤などの道路舗装材料を手掛ける
ニチレキ(5011)は、道路舗装材料の製造・販売や施工を手掛けています。道路舗装の新設・リサイクルに用いる各種アスファルト乳剤や、舗装の長寿命化・高性能化・多機能化の観点から開発した各種改質アスファルトなどを手掛けています。株価は1月4日に2544円まで買われましたが、その後は持ち高調整の売りに押されています。25日移動平均線が下値支持線として意識されるなか、リバウンド狙いのスタンスです。
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【酒井重工業(6358)】
舗装用ローラーなど道路建設機械のパイオニア
酒井重工業(6358)は、土工用振動ローラーや舗装用ローラー、さらにはロードカッターやロードスタビライザーといった道路の維持補修用の機械など、道路建設機械のパイオニアです。2024年度中に実際の施工現場に投入予定の自律走行式ローラー「SV514D」は、有人作業と比較して約20%の作業省力化が可能となります。株価は、1月5日に急騰して2018年3月以来の高値を更新。その後は高値圏で推移していますが、いったんは達成感が意識されやすく、押し目値狙いのスタンスになりそうです。
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【日本道路(1884)】
廃漁網をリサイクルした舗装材の実証実験を開始
日本道路(1884)は清水建設(1803)の子会社で、舗装や土木、建築工事のほか、アスファルト合材・乳剤、その他舗装用材料の製造・販売などを手掛けています。2020年に使用済みPETボトルなどの廃PETを使用した舗装材を開発。さらに2023年12月には、廃漁網(使用済み漁網)をリサイクルした舗装材の実証実験を開始しています。株価は1月4日に急伸し、一時2410円まで買われて1994年以来の水準を回復。その後は反動安から急伸前の水準まで調整したため、仕切り直しからの上昇を期待したいところです。
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【東亜建設工業(1885)】
港湾や空港などを中心に鉄道、道路などのインフラ整備に取り組む
東亜建設工業(1885)は、港湾土木に強みを持つ中堅土木会社。主力の国内土木事業では、港湾や空港などを中心に鉄道、道路などのインフラ整備に取り組んでいます。また2023年4月から、国内土木部門と国内建築部門に営業本部を新設し、受注増に取り組んでいます。株価は、2023年12月21日につけた3345円をボトムにリバウンドが続き、直近で11月半ば以来の水準を回復。9月の高値3860円が射程に入っており、高値更新からの一段高が期待されます。
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【ナラサキ産業(8085)】
建設・エネルギーなど4つの事業を手掛ける技術系商社
ナラサキ産業(8085)は、電機や機械、建設・エネルギー、海運の関連事業を手掛ける技術系商社です。建設・エネルギー関連事業では、セメントや生コンクリート、コンクリートパイル、石油製品、アスファルト、コンクリートポンプ車、路面切削機、ローラーなどを販売しています。株価は、上向きで推移する25日移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが続いており、1996年5月高値の3805円(分割調整済)が意識されます。
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以上、今回は「道路の整備・補修・補強」関連の銘柄を発掘しました。
なお、国土交通省は2018年11月に、2019年度から2048年度の30年間に必要となる道路や河川などインフラの維持管理、更新のための費用を、最大194兆6千億円になると推計しました。また、インフラの維持管理費用だけでも、2030年頃に年間5兆円に拡大すると推計されています。
近年、この巨大な市場を狙って、IoTやAI(人工知能)、ロボットなどの技術を有する電機メーカーやTechベンチャーなどの新規参入が相次いでいます。その背景には、2019年2月に国土交通省が橋やトンネルの「定期点検要領」を改定し、従来管理者の負担となっていた「近接目視」点検について、ドローンや医療用画像診断、カメラ技術などの新技術を活用した代替手段の利用を認めたことがあります。
これまで点検業務を担っていた建設関連などとは異なる業種の大手企業が、主戦場で培った技術を応用し、AIなどの先端技術を組み合わせたサービスで巨大なインフラ維持管理市場に積極的に参入しているのです。「道路の整備・補修・補強」関連銘柄の一角として、そうした電機メーカーやTechベンチャーもチェックしておくといいでしょう。
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