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2024年の年初における米国の株式市場は
「強いNYダウと弱いナスダック」でスタート
謹んで新春のお慶びを申し上げます。昨年は大変お世話になりました。本年も変わらぬご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。また、本年1月1日16時頃に発生しました、石川県能登地方を震源とする「令和6年能登半島地震」によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。そして、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
さて、2024年の米国株式市場ですが、1月4日までの値動きの特徴としては、相対的に強いNYダウ、弱いナスダック総合株価指数といった具合でした。
1月2日のNYダウは、前営業日の2023年12月29日と比較すると25.50ドル(0.06%)高の3万7715.04ドルと、2023年12月28日以来の最高値で取引終えました。その後は伸び悩みましたが、4日終値は3万7425.28ドル、5日は3万7466.11ドル、そして、8日は3万7683.01ドルと最高値をわずか32.03ドル(0.08%)下回る水準でした。
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一方、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は、2023年末にかけて大きく上昇した「マグニフィセント7(アップル、アマゾン、アルファベット、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラの7銘柄)」を中心に株価が軒並み下落したこともあり、12月28日~1月4日まで5日続落し、5営業日で(終値ベースで)588.88ポイント(3.90%)下落しました。その後、ナスダック総合株価指数は、5日に6営業日ぶりに反発し、前日比13.77ポイント(0.09%)高の1万4524.0ポイント、8日も大幅に続伸し、前週末比319.69ドル(2.20%)高の1万4843.77ポイントまで値を戻しました。それでも、5営業日続落する直前の2023年12月27日の終値1万5099.18ポイントを、255.41ポイント(1.69%)下回っています。
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年明け発表のFOMCの議事要旨や雇用統計を見る限り、
米国の長期金利が約3.8%を大幅に下回ることはない見通し
ハイテク株が相対的に軟調に推移している主因は、米国の長期金利の低下が一服していることです。米・長期金利(終値ベース)は2023年12月8日に4.25%だったのが、12月27日には3.79%まで低下しました。
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長期金利の低下は、12月12~13日のFOMC以降に弾みがつきました。12月のFOMC後の記者会見で、パウエルFRB議長が「利上げサイクルのピークにいるか、それに近い状態にある」と述べたことに加え、FOMC参加者の政策金利見通しで、2024年に3回の利下げという予想が示されました。この結果、米国の長期債券市場は、前のめりになって「早期かつ大幅な利下げ」を織り込んでいったのです。
ですが、1月3日に発表された12月開催のFOMCの議事要旨で、金融引き締めの早期縮小については慎重な見方がなお根強く、物価が2%の目標に向かい続けると明確になるまでは金融引き締めを続けるという点で、参加者の意見がおおむね一致していることが判明しました。
また、1月5日発表の2023年12月の雇用統計が、市場の事前予想を上回る強さを示しました。具体的には、非農業部門の雇用者数が21.6万人増と、市場予想の17万人増を上回りました。失業率は3.7%と横ばいで、市場予想の3.8%を下回りました。そして、平均時給は、前年同月比では4.1%上昇と伸びが前月から加速し、FRBが物価安定に見合った水準とみる3%台半ばを引き続き上回りました。
このように、米国の労働環境は良好で賃金の伸びも高水準が続いているため、米国における物価安定の回復は道半ばなのです。このため、米国10年債利回りが12月27日までの利回り急低下で織り込んだ水準(約3.8%)は「投資家が、はしゃぎ過ぎてついた水準」と言えるでしょう。よって、当面の米国の債券市場は冷静さと落ち着きを取り戻し、少なくとも短期的にはよほどのことがない限り、FRBによる「早期かつ大幅な利下げ」を期待しつつ、長期金利が前述の約3.8%を大幅に下回ることはないと考えています。
このような米国経済の現況に関して、イエレン米財務長官は1月5日、CNNとのインタビューで、「今見られる状況はソフトランディングと表現できると考える。これが続くことを期待している」と述べました。イエレン氏の見立て・期待通りに米国経済が推移するならば、米国株式場の下値は相当堅い状況が維持されることでしょう。
能登半島地震の影響でドル高・円安が進んだことから
日経平均株価は上昇し、一時はバブル経済崩壊後の高値を突破
米国の長期金利の低下余地が限られるならば、これは外国為替市場でのドル高・円安要因です。というのは、能登半島地震の発生を受け、日銀は少なくとも1月の金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除には動きにくくなったとの見方が強まっており、日米の金利差拡大の思惑が「円売り・ドル買い」の材料となっているからです。
実際、5日のNY外国為替市場でドル/円相場は下落し、一時1ドル=145円97銭付近と、2023年12月中旬以来およそ3週間ぶりの円安・ドル高水準をつける場面がありました。
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この円安は、わが国の輸出企業にとって収益改善材料ですので、当然のことながら電機・ハイテク株指数の色彩の強い日経平均株価への追い風です。このため、1月5日の日経平均株価は4営業日ぶりに反発し、終値は前日比89.13円(0.27%)高の3万3377.42円、翌6日も続伸し、前日比385.76円(1.16%)高の3万3763.18円で取引を終えました。
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大発会までの日経平均株価は、米国のハイテク株安の影響で軟調に推移していましたが、足元の円安で投資家心理が上向き、輸出株などの主力株が買われて指数が押し上げられました。そして、今後、米国のハイテク株のリバウンドが本格化するようならば、日経平均株価の先高観が一段と強まることが十分に期待できる状況になっていると見ています。
実際、1月9日前場の日経平均株価は一時3万3990.28円まで上昇し、2023年11月20日のザラ場中につけたバブル経済崩壊後の高値3万3853.46円を上回る場面がありました。これは1990年3月以来、33年10カ月ぶりの高値水準です。
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新NISA開始で流入が期待できる個人投資家の資金は、
「高配当利回り銘柄」や「低PBR銘柄」へ向かう傾向に
一方、1月5日に4営業日ぶりに反発した日経平均株価とは対照的に、5日の東証グロース市場250指数は反落し、終値は前日比18.45ポイント(2.59%)安の694.28ポイントで、安値引けとなりました。週明け9日は上昇しましたが、先週末日11.36ポイント(1.64%)高の705.64ポイントにとどまっています。
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1月4日の大発会の東証グロース市場250指数は、2023年の大納会終値に比べて6.32ポイント(0.89%)高の712.73ポイントでした。この上昇に関しては、2024年1月から新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まったことで、個人投資家が売買を手掛けやすい小型グロース株に資金が流入した結果と見られていました。しかしながら、あっさりと、翌5日に大幅に反落したことで分かるように、どうやら小型グロース株は新NISA資金の受け皿にはならないようです。
一方、5日のNEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型ETF(1489)は、大納会終値比1010円(1.70%)高の6万270円でした。また、PBR1倍割れ解消推進ETF(2080)は、同14円(1.39%)高の1024円でした。両ETFとも9日は反落しましたが、依然として大納会終値を上回っています。
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2つのETFの力強い値動きから判断すると、個人投資家の資金は、低配当利回り・高PBR銘柄の多いグロース株は避ける傾向にある一方で、高配当利回り銘柄や低PBR銘柄に向かう傾向にあると見ておく必要があります。
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よって、当面の物色対象としては「高配当利回り銘柄」「低PBR・PER1倍割れ銘柄」に絞ることをおすすめします。とりわけ、今回の新NISAを機に投資を始める初心者に関しては、全国的に知名度の高い大企業に投資資金を集中させることになると見ています。
ちなみに、2023年3月、東証はプライム市場およびスタンダード市場の全上場会社を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を実施しており、2024年は、それに対する企業側の取り組みが本格化する見通しです。
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また、東証は2023年12月26日、親子関係や持ち分法適用関係にある上場会社に対し、少数株主保護やグループ経営に関する情報開示を充実するよう求める文書を出しました。
以上のことから、2024年の新春相場で注目するべきテーマは「高配当」「PBR1倍割れ改善」「ROE改善」「知名度の高い大企業(大型株)」、そして「親子上場解消」ということになるでしょう。当面は、これら5つのキーワードに合致する銘柄群に絞って投資することをおすすめします。
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