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年初から右肩上がりの上昇が続いていた日経平均株価は、
7日に始まった機関投資家の「売り抜け」により調整相場に転換!
3月12日の日経平均株価は、前日比22.98円(0.06%)安の3万8797.51円でした。年初から好調だった日経平均株価は、3月7日が「上昇相場から調整相場への転換点」となりました。
3月7日の日経平均株価は始値が4万331.06円と、それまでのザラ場ベースの史上最高値である3月4日の4万314.64円を上回って始まり、その後、買いが加速して4万472.11円まで上昇しました。しかしながら、その後、怒涛の利食い売りが始まり、一時3万9518.40円まで下落した後、結局、前日比492.07円(1.23%)安の3万9598.71円と、ほぼ「安値引け」となりました。
日中の値幅は953.71円、また、ザラ場高値から終値までの値幅も873.40円と、大幅な下落となりました。この値幅を伴った下落が、国内外の大口の機関投資家による「売り抜け」がスタートした「シグナル」でした。
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ただし、この「売り抜け」は、予期できないタイミングで突然始まったわけではありません。というのは、翌日の3月8日が株価指数先物・オプション3月物のSQ算出日という需給面での一大イベントだったからです。特に、3月、6月,9月、12月は、先物(ラージ)のSQとオプションのSQが重なる「メジャーSQ」です。また、日本時間の8日22時30分には、米国の金融政策を占う重要な経済指標のひとつである2月の米・雇用統計の発表を控えていました。
つまり、国内外の大口の機関投資家は、3月8日に「日本株の需給関係の重大イベント(メジャーSQ)」と「米国の金融政策に関する重大イベント(雇用統計発表)」という2大イベントを控えていたことから、直前の7日に「売り抜け」を実行したのです。
上昇相場の象徴として人気化していた「さくらインターネット」と
「住石ホールディングス」が連日のストップ安で急落!
「売り抜け」が始まると相場のステージは「天井形成後の投げ売りによる下落局面(調整局面)」に移行します。この局面に入ると、日経平均株価のような株価指数のみならず、それまで“上昇相場の象徴”として株価が急騰していた人気銘柄群が急落します。今回の人気銘柄群の中では、さくらインターネット(3778)と住石ホールディングス(1514)の2銘柄が、私的には「ツートップ」でした。
まず、さくらインターネットについてですが、3月7日は1万980円の昨年来高値をつけ、終値も1万270円と1万円の大台をキープしました。事態が急変したのは翌8日で、この日は1万660円で始まった後、1万770円を高値に力尽き、一時7800円まで下落。その後は押し目買いやリバウンド狙いの買いが入ったものの、結局、前日比2150円(20.93%)安の8120円で取引を終えました。
そして、週明けの3月11日は売り物が殺到して前週末比1500円(18.47%)安の6620円、12日も前日比1000円(15.11%)安の5620円と、2日連続して「ストップ安売り気配(ストップ安でさらに売値気配が続いている状況)の一本値(寄り付きから大引けまで、株価が同じ値段でしか取引されなかった状況)」で取引を終えました。
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次に、住石ホールディングスですが、3月7日は5570円で始まった後、これが高値となり、安値は5370円、終値は前日比515円(10.59%)高の5380円と、ほぼ「寄り付き天井・安値引け(寄り付きがその日の高値、終値が安値となった状態)」となりました。ちなみに前日6日は、前日比700円(16.81%)高となる4865円の「ストップ高買い気配」で取引を終えていました。つまり、7日の日足のローソク足は、前日の「ストップ高買い気配」の余韻から買いが先行して窓を空けて始まった後、結局売り物に押された小陰線(実体もヒゲも短い陰線。星とも呼ばれる)となりました。
そして、3月8日は5000円で始まりましたが、これが高値となって急落し、結局、前日比1210円(22.49%)安となる4170円の「ストップ安売り気配」で取引を終えました。この結果、7日の小陰線がいわゆる「宵の明星」となりました。
「宵の明星」とは、3本のローソク足の組み合わせからなる「弱気への反転のサイン」と見なされるローソク足パターンです。上昇トレンドの天井で現れるとされ、テクニカル分析でたびたび注目されます。今回のケースでは、1本目が3月6日の陽線、2本目の「宵の明星」が7日の「小陰線」、3本目が8日の「大陰線(下方向へ窓を空けて、1本目の陽線の中心値より下で終値をつける陰線)」でした。
そして、週明けの3月11日は売り物が殺到して前週末比700円(16.79%)安の3470円、12日は前日比700円(20.17%)安の2770円と、さくらインターネットと同様に2日連続して「ストップ安売り気配の一本値」で取引を終えました。
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両社のような人気株の急落の悪影響は、当然のことながら他の人気株にも及びます。とりわけ、積極的に信用取引を活用し、レバレッジを効かせて身の丈以上の取引をしている個人投資家には「追証」が発生します。彼らによる「追証回避のための現金化」の加速により、これまでの人気銘柄群には「売るから下がる、下がるから売る」という負のスパイラルが発生していくことになるのです。
今回の日経平均株価の急落は「短期的な調整局面」であり、
75日移動平均線が「押し目の下限」と想定!
さて、日経平均株価の今後に関しては、「下落」と「短期的な反発」を繰り返しながら底値を模索、もしくは底値を固める展開が続くと見ています。
物色面ですが、バリュエーションを無視し、需給関係だけで株価が上昇していた銘柄群に関しては、高値掴みした投資家からの「戻り売り圧力」が強い状況が続く見通しです。一方、3月期末が接近していることもあり、バリュエーション面で魅力的(低PER、低PBR、高配当利回り、キャッシュリッチなど)な銘柄群に関しては、国内外の投資家からの配当・権利取りの買いが見込めると見ています。
このため、日経平均株価の今回の急落は、中長期の上昇トレンドのなかでの短期的な調整局面に突入しただけのことと認識しています。テクニカル的には、75日移動平均線(12日時点で3万5621.06円)付近を「押し目の下限」と想定しています。
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3月18〜19日開催の日銀金融政策決定会合において、
日銀による「ETFの買い入れ」が撤廃される可能性が高まる!
ところで、3月9日にJIJI.COM(時事通信)が「日銀が金融緩和の正常化を円滑に進めるため、先行きの国債買い入れ規模をあらかじめ示す、新たな『量的』金融政策の枠組みを検討していることが8日、明らかになった。長期金利を『0%程度』に誘導する『長短金利操作(YCC)』は撤廃する。早ければ18、19両日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除とともに決める」と報じました。この報道後の金融市場・外国為替市場は、このJIJI.COMの記事内容を織り込む形で動いているように感じます。
また、日銀は3月11日、TOPIXが前場の取引で2%以上、下落したにもかかわらず、ETFの買い入れを見送りました。このことから日銀は、18〜19日の金融政策決定会合で、ETFの買い入れ自体を撤廃する可能性が高まっていると考えています。実際、日銀の内田真一副総裁は2月8日に「(ETFとJ-REITの買い入れに関しては)大規模緩和を修正する時には、この買い入れもやめるのが自然」と述べ、一方で「(すでに保有している分の扱いは別問題だとし)非常に大きな規模なので、時間をかけて検討していく必要がある」と述べていました。
このように、日銀が18〜19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除し、国債の一段の金利変動を容認することに加え、株式市場への直接介入をやめるのならば、債券・株式の市場機能の回復が見通せます。そうなれば、わが国の金融政策が”異常事態モード”から、ようやく正常化します。それが実現することは、日本経済にとっても日本株にとってもポジティブな材料と考えます。
ただし、前述のように日本株の短期的な相場局面は、3月7日に上昇から調整へと完全に切り替わりました。よって、それを前提に相場に臨むべきです。具体的には、資金管理を通常モードよりも厳格化したうえで、投資対象の銘柄を厳選した運用を心掛けることを強くおすすめします。
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