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日経平均株価が史上最高値を更新する今、大型株の「押し目買い・噴き値売り」を狙え!「ハイリスク・ノーリターン」なグロース市場の中小型株の逆張りは避けよう!

2024年7月9日公開(2024年7月9日更新)
藤井 英敏
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S&P500とナスダック指数が連日で最高値を更新するなど、
足元の米国株式市場は非常に強い相場展開が継続!

 7月8日のNYダウは反落し、前週末比31.08ドル(0.07%)安の3万9344.79ドルでした。しかし、ナスダック総合株価指数は5日続伸し、同50.98ポイント(0.28%)高の1万8403.74ポイントで取引を終え、連日で最高値を更新。また、S&P500種株価指数も同5.66ポイント(0.10%)高の5572.85ポイントと、こちらも連日で最高値を更新しました。つまり、足元の米国株は非常に強い動きを続けていると言えます。

■NYダウチャート/日足・3カ月
NYダウチャート/日足・3カ月NYダウチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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■ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月
ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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■S&P500指数チャート/日足・3カ月
S&P500指数チャート/日足・3カ月S&P500指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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7月5日に発表された雇用統計の結果を受けて
長期金利が低下していることが米国株が好調な要因!

 米国株が好調に推移している主な要因は、米・長期金利の低下です。7月8日のNY債券市場では長期債相場が横ばいで、米国10年債利回りは前週末と同じ4.28%で取引を終えました。しかしながら、5日まで長期債相場は3日続伸し、米国10年債利回りは前営業日の3日に比べて0.08%低い4.28%で取引を終えています。

■米国10年債利回りチャート/日足・3カ月
米国10年債利回りチャート/日足・3カ月米国10年債利回りチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 米・長期金利が低下している主因は、5日に発表された6月の米・雇用統計によって米国の労働市場が緩やかながらも正常化に向かっていることが判明し、FRBの利下げが一歩近づいたとの見方が強まったことです。

 6月の米・雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比20万6000人増と市場予想の20万人増を上回りましたが、過去2カ月分の雇用者数はいずれも下方修正されました。その結果、4~6月の就業者数の伸びが月平均で17.7万人増と、約3年ぶりの低水準になりました。

 また、平均時給は、前年同月比の上昇率が3.9%と2カ月ぶりに4%を下回り、FRBが目指す「物価目標の2%と整合的」とされる3.5%前後に近づいてきています。さらに、失業率は前月より0.1ポイント高い4.1%に上昇しました。歴史的には依然として低水準ですが、徐々に水準を切り上げています。

 今週は、7月9〜10日に上下両院の委員会が開催する公聴会で、FRBのパウエル議長が金融政策に関する半期に一度の証言を行います。正直、ここで議長が利下げを示唆するとは思えず、「利下げには、インフレが落ち着いたと確信が持てるようなデータが相次ぐことが必要」という従来のコメントを繰り返すと見ています。

 また、7月11日には、6月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。こちらに関しては、6月のCPIがインフレ鈍化を改めて示せば、9月の利下げ開始が一段と現実味を帯びることでしょう。ちなみに、5月のCPIは前月比横ばいで、高インフレが緩やかな鈍化傾向であることが判明しています。

フランスの総選挙で極右政党RNが単独過半数を占める
「最悪のシナリオ」が回避されたことで、欧州の政治リスクは後退!

 ところで、7月7日に投開票されたフランスの国民議会(下院)の決選投票では、極右勢力の国民連合(RN)が単独過半数を占めるという、最悪シナリオが回避されました。

 主要な3勢力(マクロン大統領率いる与党連合、左派政党の連合、国民連合)がいずれも過半数を持たない「ハング・パーラメント(宙づり議会:議会においてどの政党も議席の単独過半数を獲得していない状態)」のため、政策立案が複雑化する恐れはあります。しかしながら、最悪のシナリオを回避したことで、フランス発の欧州政治リスクに関しては、当面、世界の株式市場の攪乱要因とはならないと見ています。

 確かに、格付け会社S&Pグローバルは7月8日、「債務拡大もしくは経済成長が持続的に低迷すれば、フランスの格下げを招く可能性がある」と警告しています。ですが、私は仮に格下げが実施されてもサプライズ感が乏しいため、国際金融市場が大きく動揺するような大きな材料にはならない、と現時点では考えています。

日経平均株価が4万1769円と連日で史上最高値を更新するなど、
海外投資家の買いに支えられた日本株は絶好調の状況!

 一方、日本株ですが、7月5日と8日は大引けにかけて売りに押されましたが、それは健全な押しであり、「足元は絶好調」と言ってよいでしょう。

 具体的には、7月8日の日経平均株価は前週末比131.67円(0.32%)安の4万780.70円と2日続落しましたが、12時48分には4万1112.24円まで上昇し、連日でザラ場ベースの史上最高値を更新。そして、9日も一時4万1769.35円とザラ場ベースの史上最高値を3営業日連続で更新し、最終的に前日比799.47円(1.96%)高の4万1580.17円となって終値ベースでも史上最高値を更新しました。

■日経平均株価チャート/日足・3カ月
日経平均株価チャート/日足・3カ月日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 また、TOPIXは7月8日に続落し、同16.57ポイント(0.57%)安の2867.61ポイントでしたが、前週末5日のザラ場には2906.80ポイントをつけ、連日でザラ場ベースの史上最高値を更新。そして、9日は3日ぶりに反発し、一時2907.21ポイントと再びザラ場ベースの最高値を更新し、最終的に同27.94ポイント(0.97%)高の2895.55ポイントで取引を終えました。

■TOPIXチャート/日足・3カ月
TOPIXチャート/日足・3カ月TOPIXチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 最近、日本株の上昇が加速している主因は、海外投資家が現物・先物ともに買い越しに転じたことです。

 6月第4週(24〜28日)の海外投資家は現物株式を6週ぶりに買い越し、買い越し額は1239億円でした。海外投資家は5月第4週から5週間で累計6959億円の現物株を売り越して、需給面で日本株の上値を抑える一因となりました。また、6月第4週の海外投資家は、株価指数先物も買い越しに転じており、買い越し額は4746億円と1月第2週の4881億円以来およそ半年ぶりの規模でした。日本株に関しては、急激な円安進行を受け、ドルなど自国通貨ベースで見た日本株の割安感・出遅れ感が強まったことで、海外投資家が買いに転じたと見られています。

 また、日本では、遅ればせながら東証が企業に資本効率の改善を要請したことを受け、経営指標の目標引き上げや増配など、株価を意識した経営が広がっており、これが海外勢に評価されているはずです。

 そして、足元の急激な円安を受け、輸出関連企業の業績が好調に推移している可能性が非常に高いことも、海外勢に評価されていると考えられます。実際、7月1日に発表された日銀短観(2024年6月調査)では、事業計画の前提となる2024年度の想定為替レート(全規模・全産業)の平均は1ドル=144円77銭(上期144円96銭、下期144円59銭)です。しかしながら、実際のドル円相場は、足元で1ドル=161円近辺と、大幅な円安水準で推移しています。

現在のグロース市場は「ハイリスク・ノーリターン」なので、
プライム市場上場銘柄の「押し目買い・噴き値売り」を狙え!

 東京株式市場における物色については、内外の機関投資家の買いが見込める東証プライム市場上場の大型株に絞り、引き続き、スタンダードやグロース市場上場の中小型株は避けるべきです。特に、現在のグロース市場は「ハイリスク・ノーリターンの市場」と私は考えており、この見方は現時点では不変です。

 例えば、7月8日の東証グロース市場指数は前日比1.43ポイント(0.17%)安の847.21ポイントでした。年初来高値は2024年3月7日の986.46ポイントなので、高値を大幅に下回って推移しています。日経平均株価TOPIXが史上最高値を更新しているにもかかわらず、相も変わらず、目を覆いたくなるくらいのダメさ加減です。

■東証グロース市場指数チャート/日足・3カ月
東証グロース市場指数/日足・3カ月東証グロース市場指数/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 よって、グロース市場への参加基準としては「東証グロース市場指数が200日移動平均線(7月8日時点で876.07ポイント)」を超えてくることに加え、「75日移動平均線(同840.93ポイント)が上向きに転換すること」が必要と見ています。

 とにもかくにも、日本株への投資環境は極めて良好です。無理して値動きの悪い中小型株を買わなくても、値動き良好なプライム市場上場の大型株の「押し目買い・噴き値売り」を徹底すれば、十分な収益の獲得が可能な局面が続いていると考えています。

 くれぐれもこの好環境を生かしてください。読者の皆様にとって最高の夏になることを、心より願っております。
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