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日経平均株価は12/13までは上昇しづらいが、年末に向けて個人の買いは活発に! ただし、機関投資家が買わない小型株は避け、時価総額上位の大型株を狙え!

2024年11月26日公開(2024年11月26日更新)
藤井 英敏
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トランプ次期大統領の政策への期待が米国相場を押し上げ、
NYダウとナスダック総合株価指数はどちらも好調に推移

 11月25日の米国市場ではNYダウが4日続伸し、前週末比440.06ドル(0.99%)高の4万4736.57ドルと、連日で最高値を更新しました。また、ナスダック総合株価指数は3日続伸し、同51.18ポイント(0.27%)高の1万9054.83ポイントで終えました。

■NYダウチャート/日足・3カ月
NYダウチャート/日足・3カ月NYダウチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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■ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月
ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 足元で非常に強い動きを続けている米国株については、トランプ次期米大統領の政策への期待が相場全体を押し上げていると見ています。

 例えば、米国のS&Pグローバルが11月22日発表した11月の米・購買担当者景気指数(PMI)速報値を見ると、サービス業は57.0と市場予想の55.0を上回り、総合は55.3と2年7カ月ぶりの高水準でした。トランプ氏の掲げる減税や規制緩和が米国の景気を支えるとの見方から、企業の購買担当者の景況感が良好なのでしょう。

 また、トランプ氏が、キー・スクエア・グループの創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるスコット・ベッセント氏を、税制や公的債務、国際金融、制裁措置など広範な分野について監督権限を持つ財務長官に指名したことも、好材料です。

 ちなみにベッセント氏は、2011年から2015年までジョージ・ソロス氏のソロス・ファンド・マネジメントで最高投資責任者(CIO)を務めていた人物です。つまりベッセント氏は、ウォール街出身の“マーケットフレンドリー”な人物であり、かつトランプ政権とウォール街の橋渡しを期待できる人物なのです。この人事も、米国の株式相場の押し上げ材料となっています。

トランプ氏がSNSで「中国に10%の追加関税を課す」と
発言したことなどが嫌気され、日経平均株価は軟調な展開に

 堅調な米国株とは対照的に、日本株は軟調な展開となっています。

 週明け11月25日の日経平均株価は前週末比496.29円(1.30%)高の3万8780.14円と、5日移動平均線(25日時点で3万8371.38円)、25日移動平均線(同3万8686.99円)、75日移動平均線(同3万8027.04円)、そして200日移動平均線(同3万8596.18円)をすべて上回りました。

 しかしながら、トランプ氏が日本時間の11月26日朝、自身のSNSに関税を強化する意向を投稿したことが嫌気され、26日の日経平均株価は下落。前日比338.14円(0.87%)安の3万8442.00円と、5日移動平均線(26日時点で3万8376.90円)と75日移動平均線(同3万8077.60円)は上回ったものの、25日移動平均線(同3万8666.49円)と200日移動平均線(同3万8607.60円)は下回りました。

■日経平均株価チャート/日足・3カ月
日経平均株価チャート/日足・3カ月日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 トランプ氏は自身のSNSで、米国で社会問題化している合成麻薬「フェンタニル」などが流入している問題に対して中国が十分な対応をしていないなどとして、中国製品に10%の追加関税を課す方針を表明。また、2025年1月20日の就任初日には、麻薬や不法移民の流入が止まるまでメキシコとカナダにも25%の追加関税を課す大統領制にサインすると宣言しました。

 つまり、11月26日の東京株式市場では、トランプ氏の関税強化策による影響で、わが国の企業収益が悪化することへの警戒感が高まったのです。また、いずれ日本製品への関税も引き上げられるのではないかとの懸念も強まっています。

 先日行われた選挙により、米国の上下両院の過半数と大統領を共和党が占める「トリプルレッド」が達成されたため、トランプ氏の選挙公約やSNSでの投稿は実現する確度が非常に高いので、今後も市場はトランプ氏の投稿や発言に過敏に反応し続ける見通しです。

12/13のメジャーSQまでは国内金融法人からの売りが
上値を圧迫し、日経平均株価は冴えない展開が続く見通し

 日本株については、11月第2週(11〜15日)の投資部門別株式売買動向を見ると、生損保が16週連続で、銀行が6週連続で売り越しています。これは、政策投資(株式の持ち合い)の解消と、多額の含み損を抱える外国債券の損失処理への対応のために保有株式の益出し売りをしていることが主な要因と考えています。この国内金融法人の売りが一巡するまで、日本株は上値の重い状況が続くでしょう。スケジュール的には、12月13日の先物・オプションのメジャーSQまでは売りが出続けると見ています。

 一方、11月25日の日経速報ニュースで「フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドの試算では、11月20日〜12月23日の間に合計で約8.1兆円の配当が株主の元に届く」「ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは『年末にかけてNISA(少額投資非課税制度)枠の使い切りに動いたり、ボーナスを投資に回したりする個人の買いもある』と分析する」と報じられました。

 こうした配当の再投資やNISA枠の使い切りは、年末に向けての需給面での好材料と考えています。よって、当面の東京株式市場は、上値では国内金融法人の売りが出て、下値では個人投資家の押し目買いが入るため、日経平均株価などの株価指数は膠着状態が続きそうです。

 ただし、小型のグロース株については、足元で冴えない動きを続けており、年末に向けて個人投資家からの「節税売り」が断続的に出てくることが予想されます。信用買い残が積み上がり、かつ株価が25日移動平均線や75日移動平均線を下回っているなどチャートが悪化している銘柄については、とりわけ売り圧力が強まることになると見ています。このため、年末に向けては、値動きが弱い銘柄を避け、値動きが強い銘柄に資金を寄せることを強くおすすめします。

 また、トランプ氏による高関税や積極財政は米国のインフレ圧力につながる可能性が高く、米国の長期金利は高止まりする見通しです。このため、株価指標で割高なグロース株は避け、低PER・低PBR・高配当利回りのバリュー株の押し目を狙うことを推奨します。さらに、国内外の機関投資家の買いが見込めない小型株は避け、時価総額上位の大型株に狙いを絞ることも忘れないでください。
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